今年の夏はどこに行こうかなあ♪ などというわくわくは、我が家には無い。 主人が休みを取れるのはお盆の前後だし、お盆にはお墓参りに行かなきゃならない。 但し、主人の実家は跡取り問題で揉めたらしく、一寸複雑なので、主人の両親が墓参りに行かなくていいやーと言えば、私としては、ア、そうですか……と引っ込めざるを得ない。 でもお墓参りしてお墓の掃除をしないと、お肌が綺麗にならないって細木数子が。
愚妹は9月に入ってから夏休みを取るらしい。 両親を連れて旅行に行こうと画策したようだが、結局都合が合わないようで、 「お姉ちゃん、一緒にどっか行こう〜」 と言って来た。 うちの主人は寛容なので、じゃあ姉妹で仲良くどこか行っといで、と言ってくれた。 妹にいいよ、と言うと、 「じゃあお姉ちゃん、どこに行くか決めて〜。んで、お宿も探して♪」 ……全部私が手配すんのかい。
でもどこかには行きたい。 外国は無理。だって旅券の有効期限が。手続き面倒だし、言葉が通じないしチップが要るし汚いし不便だし。 やっぱり国内がいいよねえ。 東京行って、サントリー・ホールあたりでクラシック聴くのもいいなあ。 9月なら東京も、死ぬほど暑いって事はないよね? 足を伸ばして横浜中華街もいいなあ。 横浜なら、Dホテルに泊まってみたいなあ。 と、主人相手に希望を語ってみた。 「Dホテルって、何?」 と言われたので、 「えーとね、Dみたいな、西瓜を切ったような形のホテル。名前、何だっけか?」 正解は、ヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルであった。 「あのね、あのね、前からあそこに泊まってみたいと思っていたのー! 形が面白くて素敵でしょ?」 と私が目を輝かせて言うと、主人は冷静に言った。 「でもさ、あの中に泊まっちゃえば、ホテルの形なんて見えないじゃん」 「……」 そういう問題じゃないのー!
ある日、街中に出てみると、ビラ配りをしている団体があった。 労働組合か共産党系だろうと思って素通りしようとすると、看板の文字が目に入った。 「えん罪・JR浦和電車区事件」 事件の内容は知らないが、冤罪事件なら興味はある。 署名も募っていたようだが、事件の名前も知らない人間が一方の言い分だけで署名するのは如何にも無責任なので、ビラだけ貰っておいた。 帰宅してネットで調べると、被告達の怒りが伝わって来た。 志布志の事件もあったし、大の大人が7人もいてちゃんと主張をしているところを見ると、冤罪なのかも知れない。
しかし当たり前だが、被告が冤罪と主張する全ての事件が冤罪とは限らない。 北海道恵庭市でOLの焼死体が見付かった事件も、被告女性は冤罪だと訴えているし支援者のホームページもあるが、新潮45編集部編「殺ったのはおまえだ」(……最早このシリーズは愛読書か?)は全く違う結論を出している。 真実を知っているのは死んだ被害者と犯人だけだが、彼等をよく知る人間には、真実に近いものが見える筈。 縁もゆかりも無い赤の他人が、「この人は無罪だ」という根拠の無い勘で無罪を信じるのは、危険なように思う。 誰かを犯人に仕立てればそれで良いとは決して思わないが、真犯人を逃してしまうのはそれと同じぐらい愚かだろう。
海に赤ん坊を投げ落とした男に、名古屋高裁は逆転有罪を言い渡した。 「疑わしきは被告人の利益に」と言うが、現行犯でもない限り、どんな事件でも「疑わしい」レベルに過ぎないのではないか。 世の中に、嘘吐きは確実に存在する。自分で吐く嘘を信じてしまう人間もいる。 真実は、犯人以外には、死人と神様しか知らない。 冤罪を作らないためには、超能力捜査官やイタコを雇うしかないのか?
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