1年振りに漢方薬を飲み始めてから、あっという間にアトピーは快方に向かった。 1週間でつるつるのお肌〜♪
虐待夫婦がいなくなって暫くすると、私の順番が回って来た。 よし、今日こそ。 今日こそ「K社のお薬を出して下さい」と言うぞ。 そう決意して、診察室に入った。 変わりはありませんねと言って、ドクターが処方箋を出そうとPCに向かった時に、 「T社ではなく、K社でお願い出来ませんか」 と頼んでみた。 「K社ですか。えーとえーと……」 高齢のドクターはまだまだコンピューターに不慣れならしく、いつもの処方でも苦労しているのに、いきなり患者から難題を出されて、カーソルをうろうろさせていた。 看護婦さんが隣りから覗き込んで、先生そっちじゃなくてこっち、とクリックする場所を教えている……永年のやり方を急にハイテクに変えられて、大変なんだなあ。 「うーん、K社のはありませんね」 どういう事?と訊いてみると、病院で指定した薬じゃないと処方出来ないらしい。 これでは、医薬分業した意味が無いではないか。 何のための医薬分業なんだよ、と言いたいのを我慢して、 「なんとかお願い出来ませんか」 と、まずは低姿勢で頼んでみた。 実際、出して貰えないと困るのはこっちだからな。 手立てが無い訳ではないようで、今日のところは手書きの処方箋を出して貰える事になった。 てか、今日のところは、って……次回以降も手書きじゃ駄目な訳? 大きい病院のシステムは、色々と面倒臭いようである。 「患者様」とか、サマ付きで呼ぶぐらいなら、そっちの方を改善してくれと思うんだが。
システム上の問題だけではなくて、K社のお薬はマイナーなので、取り扱っている薬局が殆ど無いらしい。 取り寄せにも時間がかかるので、私が利用している薬局に病院が連絡してくれるという。 それまでは、残っているT社の薬で凌ぐ事になる訳だが、次回以降来院の際には、予め病院に連絡を入れるようにと言われた。 そして、病院から薬局に、薬を入れるように頼んでくれるらしい。 なんか、思ったよりも面倒な事になってしまった。 もっとK社がメジャーになってくれるといいんだが、私が先駆けになれという事か。
私が通っている総合病院の待合室は、診療科目毎に分かれておらず、色々な科を受診する患者が1箇所に集められている。 そこで、一組の夫婦を見掛けた。 年の頃は、多分ご亭主が70歳代、奥さんが60歳代ではないかと思われる。(他人の年齢を推測するのは、非常に苦手だ。元々人間に対する興味が薄いので) 私は持参した文庫本を読むのに熱中していたのだが、奥さんの声が余りに大きくて耳障りなので、顔を上げた。 太った奥さんは、隣に座った亭主に 「ほら、いつまでもお菓子持っていないで、さっさと仕舞って! もたもたしない!」 と大声で言っている。殆ど、怒鳴っているに近い。 白髪がぽやぽやと残った禿頭のご亭主だが、そんなに耳が遠いのだろうか。 それなら耳元で話せば良いものを、具合の悪い患者もいるであろう病院の待合室で大声を出すとは、何と迷惑な。 眉間に皺を寄せて見ている私に目もくれず、奥さんは尚も亭主を叱る。 見れば、ご亭主の細い腕は、ぷるぷる震えている。 脳外科の患者だろうか。 だとすれば、動作がもたもたするのは仕方ない事なのに……と思ってみていたが、奥さんは怒りっ放し。 怒っても、どうにかなるものでもないのだが。 確かに健康体からすれば、病人がもたもたするのは、もどかしくて苛々するのだろうが、余りに愛が無さ過ぎる。 見兼ねた看護婦さんが、 「奥さん、もう少し旦那さんに優しくして上げてね」 と声をかけていたほどである。 暫くすると受付番号を呼ばれて、その夫婦は診察室に入って行ったが(やはり脳外科だった)、小さい歩幅でよろよろと歩くご亭主に手を貸すどころか、奥さんは後ろから、まるで汚い物に触れるかのように、指で「早く行け」とばかりに突付いていたのだった。
……あんまりだよ(涙)。
夫婦の事は本人達にしかわからぬものだが、ああはなりたくないと思った。 夜、帰宅した主人にその話をし、 「私はなるべく(←絶対じゃないのかよ)、貴方がヨイヨイになっても大事にするからね」 と決意表明をしたのだった。 すると彼はこう言うのだった。 「そうだねえ。シオンが寝たきりになったら、僕は下の世話も何でもしてあげるつもりだけれど、逆の立場だと、おしめの交換は3日に1度ね!とか言われそうだなあ」 「流石にそこまではしたくないけれど、未来の事はわからないから、私より先に寝付いたり呆けたりしないでね。それに、もっと痩せてくれないと介護も出来やしないわよ」 いやホントに切実ですよ、そのお腹。
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