私は結構好きなのだが、主人は時代劇がさほど好きではないらしい。 理由を問うてみると、 「織田信長も武田信玄も、皆標準語で話すから。もっと史実に忠実に、当時の言葉を遣わないなんて、時代劇なんて嘘ばっかり」 なんだそうで。 それでは貴方が好きで飽きもせずに何度も読み返している、北方謙三や宮城谷昌光の「水滸伝」はどうなのさ? 時代小説こそ、細かい人間関係から台詞まで、その殆どが筆者の憶測によるフィクションじゃないのよ、と言い返してやると、 「いいの! 水滸伝も三国志も、ロマンなの、あれは」 と訳のわからぬ事を言う。 つまり、私が時代劇を好きなのに時代小説は苦手なのと同じか。 同じと言うか逆と言うか。
最初の何回かだけ観て、あとは観なくなってしまった大河ドラマ「風林火山」だが、同じ時間の「笑いの金メダル」がつまらなくなったので、最近またちょくちょく観るようになった。 去年の大河ドラマは面白そうだったが、今年はそんなに魅力を感じない。 主役の内野さんは好きなのに。 理由は、勘助スタイルが内野さんに似合わないからである。 でも、それだけではない。 何故だろう。
先日実家で「風林火山」を観た時に、謎は解けた。 「判った! 今年の大河は何だか観る気がしないと思っていたら、主役が仕える御屋形様が余りにも不細工だからなんだわ!」 と思わず叫んだ私に、大笑いする父。 「わははは、確かにそうだなあ」 「でしょ? こんな不細工でもTVに出られるって事は、歌舞伎役者の子供かしら」 「そうだなあ、市川ナントカって書いてあったから、そうかもなあ」 「いいよね〜歌舞伎の子は。歌舞伎の子だってだけで役者になれるし、不細工でもTVに出て、普通の人よりも稼げるんだもの。いいよね〜」 と、昨年末のM1グランプリで「ええな〜アタシも高橋英樹の子供に生まれてたら、フジテレビのアナウンサーになれたのに〜」と言った変ホ長調のような事を言って来たのだった。
そして今日も観ていてそれを思い出したので、主人に言ってみたところ、 「シオンは酷い事言うなあ……」 で済まされてしまったのだった。 アラ! 歌舞伎通じゃない普通の視聴者にとっては「誰?この不細工」としか思えないし、一兵卒なら兎も角主要な役柄なんだから、見た目も大事だと思うんだけど。 主人から酷い奴扱いされたので、「石原デブ次郎に似てるし、ゆうたろうみたいに笑いやった方がいいんじゃない?」という台詞は言わずに仕舞っておいた。
拉致被害者の味方になってお株を上げ、「権力の頂点」(この国会中継の時、私は、タイヤ交換かオイル交換の出来上がり待ちで、ガソリン・スタンドの煙草臭い待合室にいた。一瞬迷いの色がちらりと見えたが、あーあ言っちゃったよ安倍さん……と思いながら見ていた。亀井のしずかちゃんと対決した時だった筈)に上り詰めた安倍さんだが、就任以後はどうもパッとしない。 期待が大きかっただけに、その姿には、多くの国民が失望したのではなかろうか。 何だろうな〜と思っていたのだが、実家の家族が安倍さんを「安倍副委員長」と呼んでいるのを聞いて、なるほどと思った。
人間には、大きく分けて2種類ある。 それは、トップに立って統率力を発揮する人間と、2番手でトップを支える才能を持つ人間だ。 そして後者は、2番手にいてこそその力を惜しみなく発揮するのに、トップに立つとてんで駄目なのだ。 安倍さんは、まさにこのタイプなのだろう。 だから「副委員長」なのである。 母に言わせると、 「小泉委員長の指図が無いと、何も出来ない木偶の坊」 という事らしいが。
統率力に欠けているのは確かに困るが、私がそれよりも何とかして欲しいのは、安倍さんの国語力と発音である。 「〜でごじゃーます」という答弁に、苛々してしまうのだよ。 滑舌の悪さと言うのは、頭よりも、どうしようもないんだろうか。
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