天上天下唯我独尊

2007年03月10日(土) Dr.鍵穴

「これが世界のスーパードクター」という番組を見た。
こういう最前線で働く医者は大変だなあ。
名誉もあるが、同時に大きな責任があるもの。

主人は、頭が良い。
少なくとも私はそう思っているので、訊いてみた。
「ねえ、貴方ぐらい頭が良ければ、医学部なんて余裕で行けたんじゃない? 何故行かなかったの」
「んー、人が痛がっているのを見るのが嫌なんだよね。血も嫌いだし」
……詰まらんのう。
「それに、」
と彼は続けた。
「うちの親が言ったんだ。『医者や裁判官といった、他人様の生き死にに関わるような仕事に就くなら、それなりの覚悟をしろ』って」
……それは、重い言葉だなあ。
確かに半端な気持ちで医者になられたら、患者は堪ったものではない。
勉強が出来る子供は取り敢えず医学部に、と考える愚かな親や教師がいるが、そういう人達に聞いて欲しい言葉だと思った。
しかしそれと同時に、こうも思った。
「なるほどつまり、貴方にはそれだけの覚悟が無かったって事か」
「うん、そう♪ 他人の命に責任なんて、怖くて持てないや。僕はシオンだけでイッパイイッパイだよ」
うむう。

番組に登場した医師の1人で、福島孝徳という脳外科医が印象的だった。
この人の手術は、「鍵穴手術」という手法を用いるもので、手術による傷口が小さい分、患者への負担が少ないという。
確かに医療技術は素晴らしい。
しかし人格的にというか性格的に、「うわーこんな人と一緒に仕事したくないわあ」と思ってしまった。
手術が終わって、スタッフと一緒に飲みに行く場面があったのだが、ここでもDr.福島オン・ステージ。
「全てはねえ、キーの穴、鍵穴なんだよ」
長広舌で鍵穴手術を自画自賛する福島氏に、箸も動かさずにじっと俯くスタッフ。
そして、食卓の上で放置される河豚刺し……。
「ああ〜勿体ねえなあ! 折角の河豚刺しが乾いちまうよっ」
「ああいうジジイは『そうですよね〜、先生は凄いですよ!』と適当に持ち上げとけばいいんだから、スタッフも『ほらほら、河豚が乾く前に食べちゃいますね』ってさっさと食べちまえばいいのに」
と、遊びに来ている妹と盛り上がっていると、主人がこう言った。
「誰かさ、5mm程度の穴の開いた紙を、『さ、先生、この穴からどうぞ』って言って、この人の前に出してやればいいんだよ。『おっ、難しいな。しかしこれが鍵穴の極意! あっ河豚が穴に引っ掛かって取れないぞ?』と1人でやって貰えばいいのさ。そしたらこいつも、ああ鍵穴が全てじゃないんだって、自分の愚かさに気付くだろうよ」
どうしてこの人は、こういう事を思い付くのだろう……。
勿論、私と妹は腹の皮が捩れるほど大笑いしたのだった。

「ところで、脳外科医ってどうしてこういう、俺が俺がって自己顕示欲の強い人が多いんだろ」
と妹。
友人の医学生のところの脳外科の教授もこんな感じの、俺様タイプなのだという。
その教授の目下の望みはテレビ朝日の「本当は怖い家庭の医学」に解説役の医者として登場する事なのだが、未だ叶っていない。
そして、「福島さえいなければもっと俺様が脚光を浴びるのに」と思っているらしい。
色々な逸話のある人で、周囲からはアスペルガーの疑いを掛けられているという。
俺様だから脳外科を選ぶのか、脳外科医をやっているうちに俺様になってしまうのか、それは謎である。



2007年03月09日(金) セレブ生活

屋敷しもべ妖精がやって来たので、早速おニューの鞄を見せびらかす。
「凄い、本当に買ったんだ……。お義兄さん、優しいなあ」
と私の前では言っていた妹ドビー。
ところが主人の前では
「お義兄さん、お姉ちゃんを甘やかし過ぎですよ〜」
と来たもんだ。
それに対する主人の答え。
「まあ、世界で1人ぐらいはシオンに優しくしてやってもいいかなと」
「1人だけかよ!」
妹、大笑い。

朝、頭が痛くて起きられなかった。
出勤する主人を、布団の中からお見送り〜。
頭痛が治まった9時頃、漸く起きたのだった。
その晩、夕食の時に、妹に言われた。
「お姉ちゃんって、いい暮らししてるよねえ」
「何それ、どういう事さ」
と訊くと、
「だってー、朝ゆっくりしててもいいし、あんな高い鞄買って貰えるし、子供もいないし仕事もしていないのに、いい生活だなあと思って」
つまりニートって事か?
すると間髪入れずに、主人が言った。
「僕もそう思うよ」
ぶはあ。そう来たかっ。
私も妹も大笑い。
「でもさ、家の中の事はちゃんとやってくれるし、まあ偶にはご褒美もやらないとね」
家の事……してるかなあ。
と一寸考える私の横で、
「でも私がいると、家の事半分しかやらないよね、お姉ちゃん」
とブツブツ言う妹であった。


 < 過去  INDEX  未来 >


春 紫苑 [MAIL]

My追加