数年振りに、友人に会って来た。 小学校からの付き合いなので、一応幼馴染という事になるのか。
彼女も結婚して、子供がいる。 子供には初めて会ったが、これが予想外に可愛い。 一般的に「悪魔の2歳児」と言うので、どれほど悪魔なのだろうと覚悟して行ったが、天使じゃん! 丁度ご機嫌の良い時間帯だったからか、騒ぎも泣きもしないし、とても良い子だった。 彼女と私が話をしていると、隣室から次々と指人形を持って来て、 「これはドキンちゃん、これはアンパンマン……」 とテーブルに並べてくれる。 おいでーと言うと、とことことやって来て、私の膝にちょこんと座る。 軽いわあ。 そして頭をくんくんすると、いい匂いがした。 子供の匂いだ。 本人の了承を得てほっぺにも触らせて貰ったが、つるつるすべすべのぷにぷに! 羨ましいわ〜……。 しかし友人曰く、 「でもねえ、赤ん坊のほっぺはもっとつるつるのすべすべなんだよ。人間って、生れ落ちた瞬間から老化の一途を辿るんだねえ」 と。 なるほどなあと思った。 携帯のカメラを向ければ何故か決めポーズは全てヘン顔、そして1秒しかじっとしてくれないので、撮れた写真は全てボケボケであった。 そう言えば、ペット屋で犬の写真を撮らせて貰った時もそうだったなあ。 携帯のカメラもデジカメも、シャッターボタンを押してから実際に写真が撮れるまで、タイムラグが生じる。 その間に犬が動くので、私が撮る写真は全て、犬のおしりだったり犬のいない風景だったりするのだ。 どうも私は、写真家としての才能が無いらしい。 今回撮れた子供の写真も、どうにも微妙なのばかりであった。
まだまだ可愛いけれど、これからどんどん重くなって、どんどん悪い言葉を覚えて、どんどん可愛くなくなって行くのよね……。 でもそれに(反)比例して、どんどん賢くなって、どんどん役に立つようになって行くのだ。
またの再会を約束して別れたが、自分の母親に育児を丸投げしている様子も無く、きちんと躾もしているようだったし、彼女がいい母親の顔をしていたのに、とても安心した。
夕方の報道番組の1コーナーで、妻が夫に暴力を振るうという、逆DV夫婦を取り上げていた。 その推定年齢30歳台の夫婦は、気の弱そうなご主人と太り気味の奥さんという組み合わせである。 一見普通の夫婦なのに、どこがどう問題なのだろう。
夕食後に2人でTVを見ていると、ご主人がうとうとし始める。 すると、奥さんは怒るのだ。 「折角の2人だけの時間なのに、どうして寝るの!?」 ええっ、そりゃ仕事して帰って来て、その上家事まで全部させられるんじゃ、疲れて眠くもなるでしょ。 それにお腹が膨れてるんだし、そんなの当たり前だと思うんだが。 奥さんは怒り続ける。しかもねちねちと。 そしてご主人の足を蹴る! 私も仕事で疲れた主人に食事の支度から後片付けをさせる事もあるし、大概鬼嫁だと思うが、この女に比べたら天使だよ。 感謝の心も無いなんて、あり得ないよ、この思考回路。 ところがご主人は、その間ずっと、黙って俯いているのだ。 昔「おしん」であったなあ。 「下を向いていれば、嵐は頭の上を通り過ぎて行くものだ」 というような台詞が。 しかし彼には非が無い筈なのに、何故言われるまま? こっちもこっちであり得ないよ……。
その後、専門家が言っていた。 「暴力を受ける方も、止めて欲しいという意思表示をしないと、どんどん暴力はエスカレートする」 と。全くその通りだと思う。 しかしこれは、暴力亭主を持つ妻でも同じ事だ。 妻が被害者の場合、大抵夫だけが悪いと言われる事が多いが、それを助長する妻も悪い。 ガンジーだったか、「無抵抗の抵抗」という人がいたが、そんなのは加害者にとっては屁でもない。 大抵こういう暴力は、被害者の死で終わりになる。 生きて離婚した堀ちえみもいるが、彼女も暴力亭主に逆らわず、びくびく怯えて暮らしていたという。 ところがその態度が、暴力亭主の中の加虐嗜好に火を着けるんだよな。 そして加害者にも良心はあるので、暴力を振るってすっきりした後我に返り、埋め合わせのためにすんごく優しくなるのだ。 しかし時が経つとまた同じ事の繰り返し。 下手すると、どんどんエスカレートして行く。 因みに私は加虐嗜好の気があるので、暴力亭主の気持ちは少しはわかる。勿論私は配偶者に暴力は振るわないが。 (私が振るう暴力は、睡眠中の肘打ちだったり、抱き着こうとして加減がわからず腕で首を締めてしまったりだったりする。いずれにせよ暴力の意思は無いので、無罪という事で……)
帰宅した主人にこの話をすると、やはりあり得ないと言っていた。 そして、そんな女を妻にした夫も馬鹿だと。 まあ結局、割れ鍋に綴じ蓋なのか。
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