先月24日、浪人生による妹殺し&死体損壊事件の後、加害者被害者の両親が手記を公表していた。
この度は息子勇貴の事件によって、世間の皆様に対し、大変なご心配をおかけしお騒がせ致しましたことを、紙面をお借りして心よりお詫び申し上げます。 私ども家族にとりましては、事件を知ったこの正月3日から今日まで、正直申し上げ、どのくらいの日時が経ったものか、正確には考えられない精神状態でございます。 娘亜澄の死亡と二男の凶行とがどうしても結びつかないということが、私ども家族の苦しみ悩むところでございます。家族でさえこの情況でありますから、世間の皆様にはご理解できないことは尚更のことと存じます。 事件から約20日が経ち、警察のお調べが進むにつれて、事実については少しずつ解明されてきていますが、何故息子があれほどまでの凶行をしてしまったのかという点につきましては、未だに理解できないのです。 しかし、時間の経過にともない、お陰様で少し落ち着いて考えることができるようになりましたので、現在の心境を少ししたためさせていただきます。 そこでまず、亜澄と勇貴の関係についてですが、「3年間も口をきかなかったような冷たい関係」と報道されていますが、それは若干事実と違います。亜澄が在籍していた短大の入学についても、勇貴が懸命にパソコンで探し当て、やっと入学期限に間に合ったという経緯からも、兄妹の関係は決して険悪というものではありませんでした。 しかし、亜澄の他を顧みない自由奔放な性格と言動は、家族から理解されていなかったのは事実です。こうした亜澄の生活態度を見ているうちに、亜澄と一歳しか違わない勇貴は、妹が両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないかと思います。 また勇貴の性格ですが、優しく、家族に対し暴力を振るったりするようなことは一度もありませんでした。しかし、残念なことに、妹の亜澄は大変気が強く、絶対と言っていいくらい自分から非を認め謝るということのできない子供でした。 とはいえ、二人とも私たちにとっては掛け替えのない子供たちです。今となっては、何故あの時、亜澄が「ご免なさい」と兄に謝ってくれなかったのか、もし、謝ってさえいてくれれば、兄も我に返り、このような凶行に至らずに済んだのではないか……、と今更ながらせん無い繰り言を繰り返す日々でございます。 今後私ども夫婦は、生涯にわたり亜澄の霊を弔うとともに、勇貴が一日も早く更生できるように支え続けたいと考えております。
「二人とも掛け替えのない子供たち」と言う割りに、事件の責任は妹にある、というような文章である。 でも実際にそうだったのだろうし、私は、殺された妹が可哀相!酷い親!とも思わない。 世間では、暴力はいかん、人殺しはいかんと言うが、人を殺すにゃ刃物は要らぬ。 妹の過ぎた言葉が兄を傷付けた事もまた、事実であろう。 そして毛色の違う妹は、3浪した次兄よりも、この親にとっては「いらない子」だったんだろうなあ、と思った。 手記によると「亜澄は大変気が強く、絶対と言っていいくらい自分から非を認め謝るということのできない子供」だそうだが、そのような子供に育てたのも、この親なのだ。
最近は身内による人殺しが多くなって来ていると聞くが、その方がまだ、赤の他人に迷惑をかけるよりはましなんじゃないだろうか、と私などは思ってしまう。
主人の携帯電話が、とうとうぶっ壊れた。 通話不能である。 まあ、本体0円だったしな……仕方ないか。 私の携帯も写真機能が立ち上がらない上、データも飛んだし、どちらも買い替え時か。 本当は土日に一緒に買いに行きたかったのだが、携帯嫌いの主人が渋ったのだ。 これを機に、もう携帯から自由の身になりたいと言う。 しかしそれでは、彼の友人知人仕事仲間が困るだろう。 私は一日中家にいる身なので、本当は携帯など必要無いのだ。 しかし写真機として欲しい。それに、出掛けた時などあると便利なので持っている。 まあ一応持っとけば?と言い聞かせ、主人も渋々買い替えに同意した。 「でも、薄くて軽くて、折り畳みじゃないのがいい」 ポケットに物が入っている状態が、邪魔で気になって嫌なのだそうだ。 以前喫煙者だった頃も、煙草は胸ポケットには入れず、鞄に入れて持ち歩いていたという。 彼がポケットに入れるのは、ハンカチだけ。何かが触れている、締め付けられているのが嫌いなのだ。 じゃあ裸でいれば……と私が言うと、それじゃ寒いし捕まるだろと大真面目に言うのだ。 ハァもう好きにしなよ。 「じゃあ、薄くて軽くて、折り畳みじゃないのがいいのね」 「うん。それで、機能もあれこれ付いていないのがいい」 ネットで探すと、良さそうなのがあった。 「これだ。これしか無いでしょ!」 とサイトを開いて見せた。 薄くて軽くて折り畳みじゃなくてシンプル機能。 リクエスト通り、主人の理想の携帯電話である。 「う……でもこれって、所謂ジジババ携帯では」 「そうよ。まさにジジイ携帯。でも貴方のご希望通りの携帯ですよ。文字盤も大きくて見易いし、きっと使い易いわよ〜」 理想形に喜ぶかと思いきや、彼は首を振った。 「これはもう少し、年を取ってからでいいよ。流石に悲し過ぎる」 自分でも探してみるから、早まって買って来ないでね、と釘を刺されてしまった。
|