9月上旬にそれまで住んでいた夫婦(参照1、参照2)が引っ越して以来、上の部屋は空き家になっている。
風呂上がりにトマトジュースを飲んでいた主人が、居間に入って来てこう言った。 「ねえ、上の部屋に誰か越して来た?」 「ええっ、知らないよう。暫く前にハウスクリーニングは来てたけど、引っ越しトラックも見ていないし」 もし上に入居者が入っていたら、夜遅くのドアの開け閉めなどに気を付けないとならない。 「待って。一応見て来る」 と言うや否や私は立ち上がり、自分のブーツを履くのが面倒なので主人の靴をつっかけて外に出た。 ぐるりと窓の方に回って見ると、暗くてよく判らないが、カーテンはかかっていないように見える。 一応、階段を上がってドアを見たが、郵便受けにはガムテープが貼られている。 つまり、まだ誰もいないと言う事だ。 部屋に戻り、主人にそれを報告すると、 「そうか……おかしいな」 と言って、黙り込んでしまった。 い、嫌な予感……。 「ええと、あの、まさか」 恐る恐る聞くと、 「うん。さっき台所で跫が聞こえたんだよね」 「本当に上から? 下とか横とかじゃないの?」 「下からだと、それはそれで怖いと思うが……」(∵我が家は1階) と言いながら、彼は台所の天井を指差した。 「この端っこからあっちの端っこまで、横切るように、パタパタパタって走って行ったんだけど」 や、 やめろおおおお! 「そんな怖い事言わないでよっ。夜中に水飲みに起きて来られないじゃないのさ!」 「だって本当に聞こえたんだもん……」 聞こえても言うなっっ。
| 2005年12月12日(月) |
ボーナスの使い途2005冬 |
先週末、公務員にボーナスが支給されたそうだ。 公務員の給料を下げろ!だの、民間が苦しい思いをしているのに公務員にボーナスとは何事だ!などと言う人がいるが、そいつは如何なものか。 確かに、こいつを血税で食わせてやる必要は無い!と思うような、例えば不適格教員みたいなのもいるが、きちんと働いている人なら月給もボーナスも貰う権利はある。 それに民間は、バブルの時期に散々良い思いをしたのではなかったか。 アリとキリギリスとまでは言わないが、民間がバブルでウハウハだった頃に民間に比べれば低い給料で頑張っていた公務員に、民間は苦しいんだからお前等も苦しめと言うのは如何なものか。 私立大学が国立大学の授業料も私立並みに値上げしろと言うのに、どこか似ている気がする。
お金の話は聞く人間を卑しくするのでしない方が良いのだろうが、主人が(妻が、じゃないよ)病身に鞭打って働いてくれたお蔭で、我が家にもボーナスが来る。 しかし今年は私が旅行に行ったせいで、殆ど飛んじゃうなあと思っていたら、それだけでは済まなかった。 先日実家から持ち帰った着物のお直し代で、足が出そうな予感(大汗)。 実家の母は、それぐらい出して上げるわよ〜と言ってくれたが、実家には頼りたいようで頼りたくないのだ。 そこまで実家に頼ったら、まるで亭主の稼ぎが悪いみたいじゃないか。 天童荒太原作のドラマ「永遠の仔」(非常に興味はあるが実は未読)で、主人公の少女の家庭がそんな感じだったのだ。 母親はいつまでも娘気分で実家にベッタリ、高価な物も親に買って貰っちゃうという人で、父親は妻の親の手前、苦い思いをしてそれを我慢している、という描写があった。 父親のその鬱屈した思いが実の娘に性的虐待という形で噴出するのだが、これは父親も悪いが原因を作った母親も悪いだろーと、観ていて思った。 そして私は、結婚したら実家に経済的に頼っちゃいけないのだわと、このシーンを通して学んだのだった。
それでもお金はあったら嬉しい。 「ねえねえ、結婚する時に着物作らなかった分、着物のお直し代をうちの親が出してくれるって言ってるんだけど」 と主人に言ってみたところ、キッパリ即答された。 「駄目。シオンはもう僕の奥さんなんだから、シオンの事は僕の稼ぎで面倒看るの」 「ハイ……」 そうだ、そうだよね、と私は言ってしまった自分を恥じた。 「確かに僕の稼ぎはそんなに多いとは言えないけれど、足りないかい?」 「ううん、そんな事無いっ。充分です」 ごめん、もう2度と言わない。
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