紀宮清子様がご結婚を前に、天皇皇后両陛下にご挨拶をなさった。
清子内親王殿下:謝恩の辞(天皇陛下へ) 「今日までの長い間、深いご慈愛の中でお育て頂きました事を、心より有り難く存じます。ここに、謹みて御礼申し上げます」 天皇陛下のおことば 「この度の結婚は誠に喜ばしく、心からお祝いします。内親王としてその務めを立派に果たし、また、家族を優しく支えて来た事を、深く感謝しています。結婚の上は、これまでの生活の中で培って来たものを更に育み、2人で力を合わせて楽しい家庭を築き、社会人としての務めを果たして行くよう願っています。2人の幸せを祈ります」
清子内親王殿下:謝恩の辞(皇后陛下へ) 「今日までの長い間、深いご慈愛の中にお育て頂きました事を、心より有り難く存じます。ここに、謹みて御礼を申し上げます」 皇后陛下のおことば 「この度はおめでとう。これまで内親王として、また、家族の一員として、本当によく尽くしてくれました。どうか新しい生活においても、家庭を大切にしつつ、社会の良き一員となって行かれますように。お2人の健康と、幾久しい幸せを祈ります」
予め決められた台本の台詞なのだろうが、皇室にはこういうきちんとしたものがあるのだなあと感心した。 ドラマなどでは庶民の家でも、嫁ぐ日の朝には、花嫁衣裳に身を包んだ娘がきちんと両手をついて、 「お父さん、お母さん、今まで有難うございました」 と挨拶をする場面が出て来る。 しかし私は、それをしなかった。 実家から遠くに嫁いだので、引っ越しの支度にいつも通りぎりぎりまで時間がかかり、 「じゃあねっ」 と家を出て来たのだった……。 主人にその話をすると、 「まあシオンはそうだろうな。目に浮かぶよ」 と溜め息を吐かれた。 まあ実際に時間があったとしても、私は絶対に言わないがな、そんな照れくさい台詞は。
主人はバスに乗るのが嫌いで、職場の1泊旅行でも自家用車で行きたがる。 私もバスの匂いは苦手だが我慢ならないほどではないので、新婚旅行の時、空港に向かうバスの中で彼が苦悶の表情を浮かべたのには驚いた。 本当に嫌いらしいという事が判ったので、私の実家に行く時も、2人だと割高な鉄道を使わざるを得ないのだった。 バスならもっともっと安いのに!
そんな不経済な主人が、週末に同僚の結婚式に出る事になった。 遠方なのだが、職場からも大勢出席するため新郎がバスを用意するというのに、彼はやっぱり自家用車で行くと言う……。 私から見たら、我慢しなくてもいいような所で我慢するくせに、ヘンな所で協調性が無いなこの人は。
「シオンも行こうよ。僕が式に出ている間に、久し振りに都会の空気を楽しんでおいで」 と主人が言ってくれたので、迷ったが、一緒に行く事にした。 「で、やっぱり車?」 「うん。皆バスで行くって言うけれど、乗った途端に宴会になるからな。付き合いきれません」 「そか……なるほど」 主人は体質的にアルコールに弱く、お酒の匂いも嫌いなのだ。 時々私が酎ハイを飲んで、気分が良くなって彼に抱き付こうものなら「アッチ行け」と言われ、不意打ちでキスしようものなら露骨にイヤ〜〜〜な顔をされるぐらいである。
「貴方って本当にバスが嫌いよね。修学旅行とかどうしてたの?」 「あんまり覚えてないけれど、我慢してたと思う。僕より先に友達が吐いてたしな」 「貰いゲロしたの?」 「ううん、『大丈夫だよ』って声を掛けて、後片付けしたなあ」 「ええーっ、偉いのねえ、バスに弱いのに」 「だって可哀相でしょ。自分だったらと思うと、そうして欲しくない?」 「う……うん、そうだね。でも私は、仮令そういう立場になったとしても、顔で『大丈夫よ〜』と笑って、心で『畜生、何で私がこんな事をっ』と怒るんだろうなあ」 「うん、シオンはそうだろうね……。でも僕には、『自分で洗え』って言ったよね」 「え?」 何の話?と私がぽかーんとしていると、 「覚えてないのか。結婚した年の夏に車で旅行した時、」 と、彼の話を聞くうちに、私の眠っていた記憶が呼び起こされた。
纏まった休みが取れたので、主人が車で旅行に連れて行ってくれたのだ。 しかし間の悪い事に、彼は体調を崩していた。 お腹が痛いと言う彼のために、我々は早目に宿に入った。 それなのに、彼は間に合わなかったのだ……トイレに。 「ごめん、パンツ汚しちゃった。ズボンも少し」 しょんぼりしてトイレから出て来た彼に、少しだけれど旅行の日程を狂わされた私は、 「そのままそれ持ってお風呂にどうぞ」 と冷たく言い放ったのだった……。
「思い出した! そう言えばそんな事もあったわね。今の今まですっかり忘れていたけれど」 「あの時シオン、何だか怒ってたよね。『自分で汚したんだから、自分で洗ってね』って言われたし」 と彼に冷たさを指摘され、 「じゃあどうしろと!? 汚れ物を私に洗って欲しかったの!?」 と逆切れする私。 「ううん、そうじゃないけれど……」 「私だって、貴方が死にそうだったらそれぐらいしますよ! でも動けたからああ自分で出来るなって判断したんじゃない。何かご不満でも! キー!」 「そりゃ動けたけど……。まあシオンはこういう人なんだな、って思った。悪い意味じゃなくてね」 そうは仰いますが、どうあっても良い意味には取れませんがっ。 ごめんね、冷たい妻で。 貴方は私のおむつの世話もするよと断言してくれるけれど、私は……出来るのかしら(汗)。
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