妹から電話があった。 用件はいつも通り、たいした事ではなかったが、秋になって漸く過ごし易くなったと喜んでいた私と違い、どうやら妹はそうではないらしい。 「涼しくなった途端、体調崩しちゃってさ」 とぼやくので、 「アンタ暑がりだから、布団撥ねて風邪でも引いたんでしょ」 と私がからかうと、妹は否定した。 「違うもん、朝目が覚めてもお布団はちゃんとかかってるもん。でもしょっちゅう頭痛がするんだよね。暑い夏の方がずっと快適だったよ!」 「ええ〜、どうして? お姉ちゃんなんて夏場はぐったりして、いつにも増して何もやる気が出なかったよ。暑がりの癖に暑い方がいいなんて、アンタどっかおかしいんじゃないの?」 「だって私、夏生まれだもん! お姉ちゃんは冬生まれでしょ」 確かに、妹は暑い盛りに、私は冬の寒い時に生まれたのだった。 でもそれって、暑さ寒さに対する耐性と関係はあるのか? 大抵の場合関係ありそうだが、今まで1人、例外がいた。 真冬生まれなのに、何故か寒さに弱く、真夏大好きという人が。 私も冬生まれだが、暑さには滅法弱いぞ。 寒さにも弱いが……単に我慢弱いだけ?
ダーリンは辛い物が大好きだ。 しかし私は味覚がお子ちゃまで、辛い物も苦い物もまるで駄目。 彼が食卓で朝鮮漬けを食べようものなら、私は眉間に皺を寄せて「ウンコを食べる人を見るような目付き」(ダーリン談)になるらしい。 彼は普段、自分が作る料理でも、一緒に食べる私のために味付けを辛くしたいのを我慢してくれている。 そして時々、 「嗚呼、思い切り辛い物を食べたいなあ……」 と呟くのである。
TVの地方情報番組で、美味しいと評判のカレー専門店を紹介していた。 「行ってみようか」 と私が言うと、 「カレーだよ? シオン大丈夫かなあ」 とダーリンは心配した。 専門店のカレーって、そんなに辛いの……? 急に不安になった私だが、辛い物しか無い店ならTVのように子連れで行ける筈が無い。 お品書きを見て、ダーリンはタンドリーチキンのカレーを、私は南瓜のカレーを頼んだ。 「あら……辛くなくて美味しい♪」 ナンにカレーを付けて恐ろしい勢いでパクつく私に、ダーリンはカレーを舐め取って、鶏を一切れ分けてくれた。 そのままでは辛くて私が食べられないため、キムチでも何でも、彼はいつもこうしてくれるのだ……子供を扱うように。 「このお店気に入ったわ。また来ようね」 と御機嫌な私に、ダーリンは言った。 「良かった、シオンが気に入ってくれて。そう言えばシオンが食べていたカレー、赤ん坊の軟便みたいだったな。色といい質感といい」 「…………」 普通言うかね? そういう事をさ。 私が抗議すると、彼は平然と言い放った。 「だから食事中には言わなかったじゃん。一応これでも気を遣ってるんだよ?」 本当に気を遣っていたら、言わないんじゃないのかしら……。
|