何だか眠くなかったので、ごそごそと夜中に起き出した。 居間で家計簿を付けたりレシートの整理をしたりしていたが、天井からゴトゴト音がする。 上の住民もまだ起きているのか……と思っていたら、ドスン!と結構大きな音が。 ガトゴトと家具を移動しているような音に、ドタドタと人が歩き回る音。 こんな真夜中に模様替えか?と思って時計を見ると、2時30分……おいおい。 寝室のダーリンは、明日も仕事なんですけど。 物音で起きないといいけどなあ。
と思っていたら、朝、ダーリンは酷く眠そうに起きて来た。 明らかに寝不足の顔である。 「上が煩くて眠れなかった……昨夜は流石に天井蹴飛ばそうかと思ったよ」 「今日も仕事なのに、可哀相に……いっそ蹴っ飛ばしちゃえば良かったのに!(足が届くなら) 或いは私に言ってくれたら良かったのに。そしたら夜中でも文句言いに行くわよ!」 「だから我慢してたんだよ……シオンはどうしてそう波風立てたがるんだ」 いや、言うべき事はちゃんと言わないと!
辛そうに仕事に出かけるダーリンを見送り、洗濯物を干して掃除をしていると、駐車場に大きなトラックが停まったのが見えた。 少し離れた所にも同じトラックが1台あって、横にはTVCMで御馴染みの、引越し会社のロゴが書いてある。 銀行なら5月と10月に異動もあるらしいが、9月に異動の職種ってある? こんな半端な時期に、しかもトラック2台で引っ越すとは、もしやとうとう……離婚!? 自分達こそ半端な時期にここに引っ越して来たのも棚に上げ、荷物が次々にトラックの荷台へ消えて行くのを、私はカーテンの陰からわくわくしながら見守っていたのだった。
今回の選挙の共産党のキャッチ・コピー、「確かな野党」。 これを聞いたうちの主人。 「私だけ……? 『確かな野党』より、『確かな与党』が欲しいと思うのは、私だけ……?」 「ぶははは! 貴方うまいなあ〜。でもさ、『確かな野党』ってどんな野党かしら?」 「取り敢えず、何でも与党に反対するんじゃないか? 与党が『郵政民営化するぞ!』と言えば『郵政民営化絶対反対!』。そのうち与党が『9条護憲!』と言えば『護憲絶対反対!』、『戦争反対!』には『戦争賛成!』って言うぞ。それでこそ『確かな野党』だ。頑張れ共産党!」 ……本当か?
TVでは、選挙運動の様子を取り上げていた。 見ていると、話題の広島6区をノーヘルで颯爽と走る議員が。 ヘルメット被らなくていいの!?と吃驚したが、主人によると、あれは法律上ノーヘルでもOKな乗り物らしい。 (一応ネットでも調べてみたら本当だった。疑ってごめんよダーリン) すると今度はムネオちゃんが、車に乗って元気に手を振っていた。 「箱乗りだよね。あれもいいのか!?」 「いや、あれは駄目だろう! 道交法違反だよ」 幾ら北海道が生んだスーパースター・ムネオでも違法は違法だ。 地元警察、ちゃんと取り締まれよ! しかしなあ……真っ先に回るのが建設業関係かよ、流石ムネオちゃん。 未だに地元では彼の人気が高いというのは本当なのだろうか。 都会の人間は知名度の高い人間に弱いが、田舎の人間は伝統あるものに弱く、なかなか新しいものに変えたがらない。 未だに新潟の人間が田中角栄を、山形の人間がバ加藤紘一を、岩手の人間が小沢一郎を盲目的に支持するのと同じか。 それを考えると、今回刺客だの落下傘候補だの言われている、地元とは縁もゆかりも無い人間を候補に立てるのは良い事だと私は思う。 そもそも国会議員は、地元のためでは無く、国のために働くべきなのだから。
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