日々是迷々之記
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2006年02月18日(土) 哀愁の左えっち

今日、バイク屋の帰りにある信号で停車した。信号が赤だったので。それ自体は普通なのだが、ふと傍らにある看板を見てはっとした。

「左Hお断り。」

そこは右手に特殊な用途のホテル、左手に特殊な映画が3本立で上映している映画館。そこでお断りなんである、「左えっち」が。

これはどういうことなのだろうか。そもそも「左えっち」とは何なのだろう。私は軽く混乱してしまった。後ろのクルマに軽くホーンを鳴らされて我に返り、信号が青になったことに気が付いたくらいだ。

家に帰るまでずっとそのことを考えていた。左えっち、左えっち、それは物なのだろうか、状況なのだろうか。状況だったらそれはあまりよくない方向だ。えっちが左なのだから。いや、これは「左えっち」という物体が存在すると考えるべきだ。Hで始まる単語をいろいろ考えた。ホテル、ホモ牛乳、ホルモン焼、どうもある方向性を持ってしまう。ああいかん。

また信号で止まった。そして再びはっとした。そこのパチンコ屋の駐車場の誘導路の入り口に看板があったのだ。「ハイルーフ、左ハンドル車はご遠慮ください。」おおお!「左えっち」とは「左ハンドル」のことなのだ!

「そんなん、省略せんと書けよなぁ。」と思いっきり他人のせいにして、私は家路を急いだのであった。


2006年02月14日(火) フォーマルという鬼門

人生にはいくつかの鬼門があり、先日そのひとつである指輪についていろいろと考えてみたわけだ。すると各方面からご意見感想を頂き、とりあえずどうにかなりそうである。今回は次の鬼門、スーツについて書いてみようと思う。

私はスーツを持っていない。じゃあ面接とかどうしてんの?と訊かれるが、スーツに準じた格好で、と言われることがほとんどなので、黒のパンツとジャケットとかで適当にごまかしている。そして次にじゃあ冠婚葬祭は?と訊かれるが、実は私は結婚式に出席したことがない。あるといえばあるのだが、外国でしかもカジュアルなやつだったので、ジーンズと紺色のジャケットで十分だったのだ。葬式にしてもしかり。身の回りで誰も亡くなってないのでお葬式も経験がない。子供の時にじいちゃんが亡くなったくらいか。

しかしまあ、このたび結婚式に招かれた。それ自体は喜ばしいことなのだが、着る物がない。面接用でたらめスーツでごまかそうかと思ったが、その結婚する当人に申し訳ない。しかも荘厳なかんじがする寺社仏閣でとりおこなわれるのだ。

冗談で「ジーンズに黒のジャケットでええよなあ。アップルの社長、スティーブジョブズもそういう格好でステージに上がってるし。」と当人にメールしたところ、(^^;)←こんな感じのレスだった。いや、あの冗談さ、はははは!とメールしておいたが、軽くヒヤアセがでた。

一緒に出席する家人は世間的にはまともなおっさんなので、スーツも礼服も持っている。私が、貸衣装でドレスでも借りようっかなーと言うと、うぷぷぷ!ドレスやて!はまるサイズないで!と笑われた。まあそうだろうな。この体型で叶姉妹みたいな格好ができるわけがない。マジで筒じゃないか。

このへんのことを友人に相談してみた。友人一同、スーツと礼服は絶対必要なので今からでも遅くない、作れ、とのことだった。あ、やっぱり…というかんじだ。でも、なんか躊躇してしまう。というのは私はあの裏地というものが好きではないのだ。なめらかな甲虫といったあの肌触り。あれがフトモモに触れたりするとさぶいぼが出てしまう。あとパンストってのも好きじゃない。足の裏がねたねたしてくるのが不快だ。ついでにパンプスも避けたい。だんびろ甲高なので幅に合わせると靴がでかくなり、パンプスで甲の部分が十分に覆われず、足の指の付け根が露出してしまうのだ。

しかし女のフォーマルというのは何と脆弱なことよと思ってしまう。あんな靴じゃ走ることはままならず、歩くのすらしんどいし、スーツは動きにくく、ドレスは肩やらチチやらいろんなものを露出して冷えて体に悪そうだ。

それにそんな格好だと財布やケータイをどうやって持てばいいのか分からない。私は普段、財布はジーンズの尻ポケットに入れっぱなしなのだ。スーツは物をしまえるように出来てないので不便ではないのだろうか。

この手の問題は考え出すときりがない。服をちゃんとすれば次は靴、次はバッグ、そして化粧にヘアメイク。どれもこれも苦手な物ばかりが芋蔓式に出てくる。しかも今回ばかりはちゃんとしないと結婚する当人に申し訳ない。

そのリミットは4月15日。私はドレスというものを借りるのか、スーツを作るのか、はたまたパンプスやストッキング、ハンドバッグというものを手に入れるのか?いやはや、その翌週の四国キャンプツーリングのことなど考えている場合ではない。

ピンチですよ!


2006年02月05日(日) 指輪と勇気

昨日の日記を書いた後、私はやはりこんなことではいけないと思い立ち、小雪の降る中、巨大ショッピングモールに赴いた。

目的は宝石屋、もといジュエリーショップである。私はここで勇気を出して正しいサイズを測り、手の造形にマッチした正しい指輪を選んでみようと思ったのである。(あくまで選ぶだけである。財布の中は3000円しか入ってないし。)

まず入店し、カウンターを目視する。20代前半とおぼしきカップルがムフンと指輪を選んでいる。エビちゃんを百叩きにしたような今風の女子はたくさんの指輪を臆することなくとっかえひっかえ指にはめ、芸能人オーラを取っ払った妻夫木くんのような彼氏にどれがいいか訊いている。これが結婚を考えつつある若いカップルの姿のようだ。

指輪と値札を見比べ、いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、と心の中でつぶやきながら、どしゃー!36万円。パワーブック買えるし、などと一人脳内ツッコミをやっていたら、どのようなものをお探しですか?とお店の人が来た。

これがよく行くソ○マップなどとは違うのは、店員さんがメガネをかけていないことだ。パソコン系ショップの店員さんてメガネの人多いような気がする。さて、そのジュエリーショップの店員さんは、KABA.ちゃんを若返らせたような好青年だった。威圧感もなく話しやすい。私は正直にサイズを測りたい、どんなデザインが自分の指に合うかわからないと伝えた。膝のうらにたらりと汗をかいたような気がする。

そのKABA.ちゃんはこれまたKABA.ちゃんスマイルで、サイズを測るための指輪の束のようなものを取り出して「こちらでいかがですか。」とはめてくれた。15号、これは指の真ん中で止まった。17号、ふぬん!と鼻に力をこめてはめてはずす感じ、一応入る。18号、するっと入るが手を振ったら飛んでいく可能性もあるなと思った。

よく考えたら21号だったときはデブ全盛期の時だ。回転寿司を20皿くらい食べていたころだ。今は10皿がほどよい。多少は痩せたようだ。

サイズが分かったので、次はデザイン。私は細い物だと指肉に埋もれてしまいそうなので、太い物がいいのかと思っていた。が、しかし、それは逆で、指が短くて、根っこが太いタイプだと、細くて動きのあるデザインがいいらしい。爪が丸くて小さいので、石は小さめがいいとのこと。ふむふむ、専門家の意見というのは参考になる。選んでくれた指輪はそれ単品で見たら、なんか特徴がなくて凡庸だったが、指にはめると一気にわたしの労働者風の手が、女子の手に変わる。

なんかステキやなと思った。女の子がこういうもんが好きな気持ちがちょっとわかった。それを付けてる自分がかわいい気がするんだろうなあ。かわいい子ならなおさらそうなんだろう。齢33にして初めて知る世界だ。

買ってしまおうかこれを、と一つの指輪を見て思った。プラチナで出来ており、小さなダイヤモンドがつぶつぶと楕円形に固まって配置してあり、地味だが上品で成金くさくない。

しかし、26万円なんである。さすがに衝動買いできる値段ではない。今までの人生で20万円以上するものを買ったのは、数回しかない。バイク4台、クルマ1台、パソコン1台。メカものはスペックでその価値を推し量ることができるが、アクセサリーは1000円でも10万円でも言うたもの勝ちではないか。

値段に対する価値が数値化できないものは買うのが苦手である。CDや本は大好きなアーティストや作者さんに対する感謝の対価と思うことで買えるが、化粧品、ブランド物の財布、バッグ、そしてジュエリー関係はその価値がむっちゃわかりにくい。

私は、ちょっと考えてみます、と言い立ち去ろうとしたら、そのKABA.ちゃんは親切にも、「お安い買い物ではありませんからね。また気が向いたら寄って下さい。」とお店のカードに指輪の名前、サイズ、値段を書いて渡してくれた。ありがとう、最初はネタのつもりだったのが何だか申し訳なかった。

そしてその名刺型カードをしまおうと財布を開いた。ビリビリビリ!静かな店内にマジックテープの音が響く。私の財布はアウトドアショップで吊されているような1980円のマジックテープ式三つ折り財布である。こんなもん持ってるやつが26万円の指輪なんか買うわけないよなって、KABA.ちゃんは思っただろう。

本当にスミマセンでした。指輪の前に財布を買うことも必要かもしれないなあと思った。


nao-zo |MAIL

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