日々是迷々之記
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2003年12月17日(水) 雨に降られて

今日は雨の確率10%だったにもかかわらず、夕方から雷雨だった。夕方からの銀行周りはつらい。しかも修理したはずのままちゃりがまたもパンクしている。が、歩いていくと間に合わないので、ロードレーサーの方の自転車を出した。

これがまた路面が濡れていると走るのが怖い。スピードは確かに出るんだけど、止まらない。必殺靴底ブレーキで止まるのだ。私は6時5分前に滑り込み、どうにか出金に成功した。さっさと帰ろうかと思ったが、雨は止んでいる。

ついでに本屋に行ってアウトルックのマニュアル本を見にゆこうと思って走り出した。すると、突然のいなびかり。どわわ〜っと雨が降ってきた。とほほと私はつぶやきながらもしょうがないので家に帰ることにした。

が、降りすぎである。雨が。もうなんか水滴が当たると痛い。ギャグマンガのようにびしょぬれで、もう自転車に乗るどころではなくなってきた。私はずるずると自転車を引きながら家に帰ることにした。

なんかほんとにろくなもんじゃないのだ。必死こいて時間をやりくりして銀行に行けば、雨に降られるし。この自転車だって家に帰ったらオイルを差さないとさびてしまうし。

とか、ぶつぶつ言いながら歩いていると、ふと、ふわりとした柔らかい香りが鼻先にふわふわとやってきた。公園の椿の木の植え込みに、椿の花が満開なのである。風雨が強かったのにぽとりと落ちることもなく、しっかり木に咲いていたのでなんとなく大したもんだ!と思った。こういうことでもないと、この植え込みには気づかなかっただろう。いつもならバイクでびゅんと通り過ぎる道だ。

雨足は弱まってきたが、通りに人はいない。たまに車が通るくらいで、夕方ラッシュの時間とは思えない様子だった。雨でもいいことはあるもんだ。

家に帰ってシャワーを浴びた頃、やっと雨が止んだ。私はまたもあんまり空腹でないけれど、カレーを作って食べた。これが結構邪道というか、いいかげんなもんだったが、うまかったのでちょっとだけご紹介。

「やっつけ邪道カレー」
材料・ウィンナー適量/じゃがいも1個/にんじん半分/たまねぎ1個/にんにく1かけ/ブイヨン(今回は鶏はむのゆで汁)500ccくらい/カレーのルー2かけら
作り方
1.ウインナーは一口に切り、みじんぎりのニンニクとともに圧力鍋でぱりっと炒める。
2.ウィンナーを取り出した圧力鍋に4つに割ったじゃがいも、一口に切ったにんじん、適当に切ったたまねぎを入れて軽く炒め、ブイヨンを入れて蓋をして加熱する。
3.高圧で3分。火を止めて圧力が下がるのを待つ。
4.圧力が下がったらルーを入れて適当なとろみがつくまでちょっとかきまわす。
5.食べ頃になったら先のウィンナーを入れ、適当にかき混ぜる。
6.ごはんにかけて、いただきます。

全部で20分程度で出来るが、100円均一のカレーよりうまいし安い。この量で2〜3食分くらいだった。じゃがいもでとろみがつくのでルーは少なめでよいようだ。ルーを入れてからは、圧力をかけないのが唯一の注意点か。我が家の圧力鍋はとても密封性がよいようで、パスタなどちょっとでも粘性があるものを加熱すると、結構吹きこぼれる。今まで何度ガス台を外して掃除をしたものか。

雨に打たれてなんだかな〜という一日で終わりそうだったが、ウィンナーカレーはなかなかの実力者で私はちょっと満足だった。


2003年12月16日(火) 今どきの安売り

私はモノの値段に興味津々だ。わかりやすく言えば、安いモノを買うのが好きだが、好きなモノは高くてもいい。例えばウィンドウズのパソコンが30万円だとハァ?と首をかしげてしまうが、パワーブックが30万円でも安くなったなぁと思う。

が、食料品の値段というのはどうなってるんだ!と激しく感じることが多々ある。今日は帰りに隣の区のスーパーに寄った。ここは激安系だが、素材系はイマイチでお菓子、調味料などが安い。オイスターソースを切らしていたのでふらりと立ち寄ったのだ。

すると入り口右手のインスタントラーメンの棚がすごかった。とにかく特価。袋の「日清やきそば」なんて28円だし。「昔ながらの中華そば」も同じく。でも、賞味期限が切れているわけではない。キューピーマヨネーズが私の中の底値からまだ3割は安い。なんつー店だ。

これが「わらびもち5円」で冷蔵庫にも入れず通路に平積みで売っている某スーパーなら、「ああ、どっかあやしいやつだな。」とも感じるが、このスーパーに怪しさはなかった。ただ、客もレジのおばちゃんも妙に押し黙って黙々と作業をこなしてゆく。夕方に価格がダンピングされた総菜を買いあさるオババのような浮かれたところは全くない。皆、無駄口をたたかずに黙々としている。鼻ピアスの近所の高校の男子ですら、「100円未満の菓子パン全品58円」の山から、「ハムチーズロール」と「サンミー」なんかを手に静かにレジに並んでいる。

しかもここは袋をくれない。どうしても欲しかったら10円で購入するしくみだ。この仕組みはわたしも賛成だ。家が袋だらけにならないし、カバンも何も持たずに買い物に行くことはまず考えられないからだ。トートバックからサトウの切り餅がはみ出していても私は気にしない。

わたしはここでオイスターソース、「日清焼そば」、パン、「ゴールデンカレー辛口」、たらこスパゲティのもと、餅を焼くフッ素加工の網などを購入した。

餅網は愛用の布でできたバケツ型バッグに入らず、自転車のかごに入れ、がちゃがちゃと鳴らしながら渡船場へ向かった。

家に帰って買い物を整理しつつ、食事をしようとしたが余り空腹でない。昨日に引き続きなのだ。少しでも空腹になるようにと自転車で通勤したのに。

わたしはまぁいいやと、焼酎をロックにしてぐびりと飲みながら、セットアップはしてあるけれども電源の入ってないコタツにもぐりこんだ。


2003年12月15日(月) まさに迷々之日

朝から洗濯物を干し、いつもより3分だけ遅く家を出た。というのも、今まで7時59分に出勤しても会社のドアが開いてないことが多々あり、ちょうど誰かが出勤したタイミングを狙おうというわけだ。うちの会社は寒風潮風吹きすさぶ、大阪の港湾地帯のがけっぷちにある。ぼろい一軒家を改造した我が社は雨の中通勤しても鍵が閉まっていると、ヘルメットをかぶったまま雨の中突っ立って誰かがくるのを待たなければならない。それが最近苦痛だったのだ。

が、今日は専務が早く来たようで明かりが見えた。が、どっかに行っているようでドアは閉まっている。やられたって感じだ。派遣社員に鍵を渡せないのは分かるけど、待つのも給料のウチと思えということだろうか?

幸い経理のねぇさんがすぐにやってきて鍵を開けてくれた。

私はこのねぇさんがいなかったらとっくにこの会社を辞めていると思う。9時過ぎに社長が出勤してきたが、大風邪をひいているようでとてもしょぼんとしている。イヤミの一つも出ない。が、今日は倉庫で作業をする日だ。これはフォークリフトの作業がいるので社長か専務がやることになっている。社長は肩で息をしつつ、コートも脱がずにストーブの前でちいさく丸くなっている。67歳のおじいさんだ。

そこに登場したのが能天気な専務だ。当然フォークリフトの作業は専務がやるもんだと思っていたら、社長が電話しているすきを狙ったかどうか分からないが、じゃ、行ってくるわとあっさりどこかに出て行ってしまった。

昼になっても専務は戻らず、社長はコートの下にフリースのベストを着込んで倉庫へ行った。私はねぇさんと、ちょっと今日の専務は問題や、というようなことを話した。風邪をひいてぐったりとした初老の父親に、倉庫の作業を任せて自分はどっかにいってしまうなんてと。すると、なんかわかんないんだよね、あの家族。表向きは円満そうだけど、お互い気持ちを見せるようなことはなくて、裏で第三者にぶつくさ言ってばかりいるんだよと、ねぇさんは言った。

一代でこの会社を創った社長。(今は零細企業だが、10年くらいまえまでは従業員が何人もおり、年商○億とかだったようだ。)そして明るく社交的な奥さんと子供達。私にとってはテレビドラマのように平和そうな気がするが…。

家族はいつかこんなふうになってしまうのかもしれない。生まれたときからいくらなんでもお互いをないがしろにはしないだろうし。まぁ、私の育った家族も問題だらけだったもんで、偉そうなことは言えないけれども。

結局社長は、つめたいみぞれが止みだしたころ、倉庫から戻ってくるとねぇさんの入れたココアを飲みながらソファでうとうとしだした。専務が帰ってこないので、無言で空気が重い。嫌な意味での存在感。そして何だか社長が可哀想な気持ちになってきた。

私は結露したガラス戸を丸めた新聞紙で拭いてから、家に帰る準備をした。出しなに、お疲れ様です。社長、お大事にしてください。と一言言うと、社長は目を開けて「ありがとう、ご苦労さん。」と言った。何だか日記で悪口ばかり書いていたのを一瞬で反省してしまった。

きっと社長には社長の世界があって、私の世界とは全然違うのだ。当たり前といえば、当たり前だけど、一瞬でアタマが沸騰してしまうとそういうことは忘れてしまう。30年も生きてもそんなこととも折り合えないのはやっぱりちょっと実力不足だ。

明日は8時何分に会社に到着しよう。


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