日々是迷々之記
目次


2002年03月27日(水) 食後のビジネス街見聞録・その一

今日も仕事で煮え煮えなアタマをかかえて、流し込むようにお弁当を食べた私は気分転換に外を散歩することにした。

散歩はよくするほうで、大体12時20分から12時55分くらいまでビジネス街をひたすらうろうろする。ビジネス街にはいわゆる住宅地や文教地区には無いものがいろいろあって面白い。

まず目立つのが街角のお弁当屋さん。ゲリラのように軽トラやワンボックスで現れて台を置き、ビーチパラソルのようなモノを立て、弁当を並べて売る。お客が買いに来ると大きな電気釜からゴハンをついで、ポットからカップにおみそ汁を入れて渡してくれる。これが380円から600円くらい。値段の差は純粋に量の差である。味はほか弁と50歩100歩。原価が安いのでハムの周囲がオレンジ色だったのが印象的だった。私はあれが好きでないので二度と買うことはないだろう。

次に目立つのは安売り薬局の存在である。薬局といっても、めがねをかけた薬剤師のオバチャンがガラスの向こうで上皿天秤に薬包紙を乗せて、薬を計量してくれるような薬局ではない。トイレットペーパーの横にブルボンのトリュフチョコレートが、モッズヘアのモイストフィニッシュシャンプーの横に生茶が並び、店員さんが真っ黄色のジャンパーをはおり、タイムサービスの立て看板を振り回し、いらっしゃいませ!と雄叫びをあげている。ふと、デンタルフロスを買いたくなったので物色しレジへ運んだ。するとレジが遅い。原因は店員にあった。店の方針だろうが、いちいち一人づつに5時からのタイムサービスの説明をしている。しかも声がデカくてマニュアル棒読みなので丸聞こえなのだ。うう、ウザイと思いつつ、私の番になると「はぁはぁ」と気のない返事をして店を出た。確かに安いけど、1割高くても静かな店で買いたいと思った。

--------------------------

と、ここで洗濯機がピーピーとジョブ完了のサインを出している。干しに行かなくてはならないのでこの続きはまた明日。(しかし続編のある日記って一体…。)


2002年03月22日(金) 涙の中小企業没落の宴

連休明けのその日は、日本の祝日とは全く関係ないサイクルで動く業界に属するこの会社には地獄の一日となった。

朝からビリリンと電話は鳴り響き、メールはどさどさとやってくる。そして、ちょっと直して欲しいねんけど、とおっちゃんたちが書類を持ってやってくる。私が作った書類が間違っているのはアンタの字が汚いからやと言うべきか言わないべきか、さっさと手を動かした方が得だと思う私はあくまでルーティンと割り切ってやる。

そして迎えた午後5時。電話はぱたりと止んで、やっとこさ本来自分に与えられている仕事をすることができる。その思いは輸入を担当している女子社員の彼女も同じで、黙々とキーボードを叩く。ちなみに私は輸出を担当している。

資料と首っ引きで電卓をびしばし叩き、原稿を作り、エクセルで入力。それをスキャンニングした書類と一緒に海外の代理店にメールで送信するのが私の仕事だ。コレがあと10件くらいある。時刻は午後5時半。

一本の電話が鳴り、おっちゃんが取った。何でも書類を訂正する必要があったらしく、訂正印を持って出ていこうとしていた。その後ろ姿に、支店長が声をかけた。

「月桂冠、買うてきてや。あとつまみも欲しいなぁ。」

これが本日、本当の地獄の始まりとなった。

30分後、おっちゃんは手に月桂冠とつまみの入ったコンビニ袋を携えて帰ってきた。宴会場はわたしの背後の資料を整理するときに使う、丸テーブルと4つのパイプ椅子のようだ。

「こんなんあるで。ワシ、炙ってきたるわ。」別のおっちゃんが食器棚の中からとりだしたのはエイヒレだった。なんでこんなモンがあるのかは謎だがとにかくエイヒレなのだ。かくしておっちゃんはエイヒレをもって、湯沸室へと向かった。

「ワシは燗がええわ。」

支店長はそういうとおもむろに湯沸かしポットのお湯を捨てに行った。オイ!何をする気や!と思ったがことの行く末を見守ることにした。戻ってくると月桂冠をドボドボと注ぎ、沸かしている。このとき私は月曜日からこのポットのお湯は使うまいとココロに誓った。

トイレに行こうと部屋を出ると、フロアは場末の飲み屋街のニオイが充満していた。炙ったエイヒレ、お燗をした日本酒のニオイが漂う。ええんか!これで!と憤りつつも用を済ませてデスクに戻った。

「なおぞうさんも飲まへん?」と言われた。酒は大好きだが、このシュチュエーション、このメンツ、そして、湯沸かしポットに突っ込まれて全開で沸騰させられた月桂冠、こんな酒は飲みたくない。「まだまだ仕事が残っていますから」と穏やかに断った。

そして私は書類を打つのに集中していたが、どうしても背後の会話に気が向いてしまう。中小企業の50才前後のおっちゃんというのはこんなしょーもないことを語る動物なのか?私はそう感じずにはいられなかった。その会話をかいつまんで箇条書きで書いて行く。

1.昨日のテレビ「大食いフードバトル」について
 「卓袱うどんを13杯食べるんやけどな、その前にあん巻き20個喰うてるねんで。それも細っそい女の子や。」

2.ツケのきく喫茶店Sについて。
(ちなみにその店はビジネス街の地下にあって、昼はミックスフライ定食、夜はスナックになるような店で決してオシャレでもなんでもない。)
 「あっこのな、ミート(スパゲティだと思う。話の流れからして。)がうまいんや。そやけどな、ママさんが気まぐれやからな、めっちゃミートが少ないときがあるんや。そのときはな、最後に麺だけ残しておいて、ミートをおかわりするんや。」
 「そんな、替え玉みたいなことができるんですか?」(30代社員の声)
 「言うたらやってくれるで。タダや。」

3.うまい?和食の店について
 「今度和食喰いにつれていったろか?」
 「おごりですか?」
 「もちろんや。うまいで。」
 「和食やったら、造りやらあって高いんちゃいますのん?」
 「まぁ造りもあるけど、ウマイんはだしまきや!」
 「それだけですか…。」

4.リーズナブルな飲み屋について
 「こんどな、ちょっと遠いけどあそこの飲み屋行き直さなアカンな。」
 「こないだ満員で入れませんでしたもんね。」
 「あっこのな、刺身がビショビショなんや。」
 「なんでですか?」
 「まな板を洗った後、布巾で拭かへんていうのもあるんやけどな、洗いよるんや。刺身のサクをな。ほやけどな、うまいねん。その刺身が。何で洗うんかようわからんけどな。」

こんな会話の集中砲火を浴びせられながら、私はもくもくと作業を続ける。エクセルに入力をしながら、ミートソースをお代わりする支店長、だしまきをほおばるおっちゃん、そして濡れた刺身がぐるぐるとアタマを回る。その間も、湯沸かしポットは月桂冠の蒸気を吐きつづける。頼む、給料倍くれ!

そこで私の目の前で書類を入力していた新入社員の彼女が暗い目をして立ち上がった。げげ!本当に顔色が悪い。

「なおぞうさん、私申し訳ないんですけど帰ります。ちょっと気分が…。」

彼女はお酒が飲めないので当然だ。この部屋は酒まんじゅうを蒸すせいろのようになっているからだ。気を付けて帰りやと声をかけるわたしの背後から支店長の声がした。

「なんや、気分悪いんかいな?ほなタマゴ食べ。タマゴ。」

いつのまにか、給湯室の電熱器でゆで卵を作っていたようだ。彼女は社員なので逆らうこともなくやんわりと、家で頂きますと行ってタマゴをカバンに仕舞って帰った。あのタマゴにはかわいそうだが、きっと帰り道で路上にたたきつけられるだろう。わたしならそうする。

「なおぞうさんは、気分悪くないんかいな。酒強いんやな。」

といって、背後で皆が笑っている。給料3倍増し、プリーズ!である。

このあとのことは記載するパワーもない。とにかく作業を終わらせて、メールを送り、私は8時15分に会社を離れた。

有給休暇を使い切ったら辞めようと思うのはこんな時だ。


2002年03月11日(月) 洗車体験記

ぼちぼち冬も終わりやろということで洗車をすることにした。

我が家のクルマはダンナさんが単身赴任先である滋賀県北部へ持っていっていたので、かなり汚れている。雪が降って、ちょっと溶けて、また凍っての繰り返しでホイールはどろどろ、ボディはガビガビ、とても納車3ヶ月とは思えない風格?だ。手で触ると手が汚れるのであまり触らないようにして乗り込んでいた。しかし、実用のクルマなんてのはこんなもんだと私は思っているのでさほど気にならず、ホコリまみれのまま放置していた。

しかし、あるきっかけがあって、洗車することにした。某ディーラーに勤めている友人が5年コート剤を売ってくれることになったのだ。「5年間ワックスがけ不要」というやつで、ワンボックスクラスをディーラーに頼むと5万5千円らしい。それを、コート前のシャンプー類など一式で9000円弱で手に入れた。しかも、ヒマなので洗車を手伝ってくれるという。日曜日に待ち合わせてカーピカランドへと行った。

まず、水洗いをした。うちのクルマは真っ黒なので水をかけただけでテラテラと黒光りをしてきれいになった気がする。しかし、スポンジに洗剤を付け、ごしごしこすると、スポンジにほこりがてんこもりだ。ステーションワゴンの背が高い版の形なので、私では屋根の真ん中を洗うことができない。以前所有していたCR-Xとちがってしんどい。表面積も広いし。しかし、ダンナさんは以前ビッグホーンに乗っていたので洗車は一日仕事、脚立持参でやっていたそうで、今のクルマはルンルンだと言っていた。そんなもんなんかな。

どうにかこうにか泡を行き渡らせて、一気に流す。しかし、いくら流しても隣のブースでステップワゴンを洗っているオッサンが泡をとばすのでいまいちキレイにならない。間のパーテーションがもっと高ければいいのにと思う。洗い終わると片隅に移動してコーティング作業にとりかかる。

ここからは友人の出番だ。毎日出勤後に毛ばたきと、やわらかい布で展示車を磨き込んでいるだけのことがあり、少ないアクションで的確に塗ってゆく。しかも早く、少ないコーティング剤で塗っている。むらが少ない。さすがにプロはちがうなぁと感心した。ファイブミニくらいの大きさのコーティング剤を4分の1ほどしか使わずに全てを塗り終えた。

次はベルベットのような布でコーティング剤を拭き取ってゆく。拭き取った端から鏡のようなボディが現れる。むむ、めっちゃキレイではないか。ほんまに新車のようだ。「黒はちゃんとやれば映えるで。」という言葉はほんとなのだ。

気合いを入れて磨き込むように拭き取る。ボディに映る自分の顔を見ながら拭いてゆく。汚れたクルマもいいけど、きれいなのもいいなぁといつもながらにテキトウ思考をくりかえす。わーいわーいキレイになった。

帰りに皆でファミレスに行きゴハンを食べながらしゃべる。4月になったら夏タイヤに戻すのだという話をすると、「いかつくなるなぁ。」とのコメントが。そうなのだ。夏タイヤのホィールは金色なのだ。

黒光りするボディに、金色のホイール。とても30代夫婦の乗る車には見えない。純正マフラーもブボブボ最初っから重低音系だし。これにレカロシート、サベルトの4点式シートベルトを付けると、ますます冠婚葬祭には行けない車になってしまう。

が、そんなものを付けるのはまだまだ先(付けるんかい!)なので、とりあえず、まわりの友人達には長生きして欲しいと思う今日この頃である。


nao-zo |MAIL

My追加