日々是迷々之記
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私は焼き網の上の20粒の銀杏を見つめていた。ちりちりと弱火であぶりつつ、いつはぜるか待ちかまえていた。
先日購入した「シュシュ」という雑誌に今一番好きな料理人ケンタロウ氏の料理特集があった。そこに乗っていた「牛肉入りぎんなんおこわ」を作っていたのだ。
スーパーに行き食材を揃えた。レシピでは缶詰の銀杏を使うとあったが、あの小さい缶の中に一体何粒あるかわからないので、野菜売場にある乾燥した銀杏を購入した。しかし、どうしたらいいのかわからない。火を通すとはじけるので、皮を取り除くと、緑の中身が出てくるだろうと思い、火にかけていたのだ。
「どっぱ〜ん!ぴしっ!」 いきなり跳ねて二粒消えた。探すとガス台と壁の間に落ちている。アチチチチ!となりながら菜箸で引っぱり出す。もう一つは…。おお!魚焼きグリルの中だ。引っぱり出して洗って皮をむく。
「どぱぱぱぱ!」 「アヂ〜!!!」 3粒ほどが網上から脱走、1粒がわたしに襲いかかる。はぁはぁと熱い息をもらしながら床の上の銀杏を回収。やっとの思いで皮をむく。
あと15粒ほどだ。中でもこげこげの1つを箸でとり、乾いたふきんで包む。そして軽く指でつまむとぴしっと割れ目が入った。そこからむけるようだ。しめしめ、これなら飛んでこないでむけると思い、次々とむきに入る。
その時だ。1つの銀杏が力を加えたとたんにバクハツした。「※%&#@!!!」声にならない熱さだ。わたしはふきんを放り投げ、流水に指をひたす。ひりひりする。バクハツした残骸を見ると、ちょっと色が悪かった。きっと虫食いか、なにかで中に水分が溜まっていて、それがぬくもってバクハツしたようだ。これで人が殺せると真剣に思ってしまった。
負傷した後も網の上には4粒の銀杏が。とても手で触る気にはなれず、どうしたもんかと考えた。そうだ、あれがあるではないか。わたしは4粒の銀杏をふきんにつつみ、アウトドア物置部屋へと向かった。とりだしたのは、アイスハンマー。アイスクライミングをするときに登攀用具を氷の壁に打ち込むものだ。いくら銀杏といえども、氷をうちくだくハンマーの前では無力だった。わたしの思惑通り、ぴしぴしと割れ目が入り、するするとその皮を脱いでいくのだった。
そして牛肉を炒め、味を付けて、餅米と合わせ、炊飯器のスイッチを入れた。ふごふごと炊飯器が音を立てる中で、わたしはひりひりする指をもう一度水に浸した。世の中ではこの邪悪な銀杏をどうやってむいているのだろう。謎である。あぶるときにフタをするべきなのか、何か割る物があるのか?まだまだ知らないことは多いと思いつつ、赤くなった指を見つめた。
しかし、炊きあがったおこわは私が作ったとは思えないほど美味しかった。 にっとりとしたゴハンに、ジューシーなお肉、ほこほこで風味豊かな銀杏。いりゴマを多めにふっていただく。どうだ、どうだと一人悦に入り、世界遺産を見ながらおこわを食べた。
きっとかんずめの銀杏じゃこんなにおいしくできないし…。と勝手に思いこみながら。
| 2001年09月29日(土) |
さよならバンディット |
うちのトラックとして働いていたバイク、SUZUKI Bandit 1200Sを手放した。 これは丁度一年前、二人でタンデムしてバイクツーリングに行くために購入した。両サイド、後ろのトップ部分に箱を付け、キャンプツーリングに行った。
お盆の隠岐島では限界ギリギリを見せてくれた。二人分のキャンプ道具。ウェットスーツと素潜り3点セット。クーラーバッグに缶ビール1ケース。それにとても細身とは言えない二人の人間を乗せて灼熱の離島を駆けた。 さすがにリアサスは底付きし、後ろからみると曲芸状態だった。
その後、カヌーを購入し、ついに限界が来た。上の装備にカヌーを乗せると二人は乗れないのだ。しかも、カヌーはかさばるのでとても固定がしにくかった。
そして冬が来る。ダンナさんの住む町は豪雪地帯のすぐ横で、小さなスキー場まで30分ほど。そんな町ではバイクは冬場冬眠してしまう。その間約4ヶ月。オフロードバイクならスノーアタックで遊べるが、ロードバイクではそうはいかない。結局手放すことにした。
これでうちのバイクは、125のオフロードバイク、カブ90の2台になり、タンデムでツーリングは事実上できなくなった。
でも、それでもいいかなって思えるようになってきていた。タンデムも楽しいけれど、やはりバイクは一人でするスポーツで、自分で行きたいところに行く乗りものだと分かったから。前のように足の届かないようなオフロードバイクには乗れないかもしれないけれど、もっと別のバイクを選んでも楽しむことができる。
とりあえず、カブ90から始めよう。プルプルプルと走るカブに、水面をゆるゆると進むカヌー、スローペースの楽しさってあると思う。
また、アウトドアに飛び出せることに感謝! そして、気持ちをつないでくれたバンディットに感謝!
Thank you for everything, you were a little wing of my soul. カッコつけすぎ?(^_^;)
朝起きて病院へ行く。今日はさほど待たずにリハビリへ呼ばれる。いつも通りに終わり、帰路へ。昨日今日と自転車はお休み。先日スペアタイヤを使い切ってしまったので、パンクしたら後がないからだ。電車でごとごとと通う。電車の中には肩パッド力入りすぎで後ろ姿が正方形になっているおばちゃんがおり、「うぷぷ」と笑ってしまった。
お昼頃家に帰るとお腹が空いていたので、ベーコンエッグ丼を作って食べる。すると眠くなったので仮眠した。気が付くともう学校へ行く時間だ。週に一度だけ翻訳の勉強をしに行っていたがそれも今日で終わり。
学校へ行き、最後の授業を受けて、お疲れさま宴会。といっても、カタギの真面目な人ばかりなので、あくまで健全にまともに終わっていった。
また電車にがたごとと揺られ帰路へ。七分袖のシャツじゃ寒い感じだった。家に帰り、メールをチェックしているとダンナさんのご帰宅だ。「おつかれ〜」「寒いよ、外は。」などといいつつお出迎え。とりあえずお茶を飲んで、私はiMacの前に、ダンナさんはフトンでカヌー本をめくる。
すごい。今日は何も波風が立つようなことがなかった。 ひとつきにいっぺんはこんな日があるのだ。 これは「平凡」というより、「非凡な一日」。 むむ、貴重だなぁ。
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