群青

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「TVピープル」
2010年01月15日(金)

 今なら僕にもそう思える。僕もそれなりに歳は取ったからね。でもその時はとてもそんなこと思えなかった。僕はまだただの子供だった。人間の心のささやかな震えというものが、僕にはまだまったく理解できなかった。だからただびっくりしただけだよ。正直にいって、もう本当にひっくりかえるくらい驚いちゃったんだ。

『TVピープル』村上春樹


















可能性について
2010年01月01日(金)




 母に同性愛者であることを告げる。結婚式とか孫だとかの素朴な希望を打ち砕く。混乱した母を居心地の悪い空気に置き捨てたまま家を後にする。私はただ悔しかった。なにものにも傷付けられまいという思い上がりが強かったため、しばらく認めることができなかったが、確かに私は自尊心を傷付けられたのだった。





 病院のベッドの上であまりの痛みに泣きながら懇願していたのは他でもない私だ。そういう側面もあるのだと一旦は了承し納得したと思ったけれど、消耗して自制が止むとやはり受け容れがたいという思いが強くなる。痛みは私の中の何かを打ち砕いた。それは身の丈に合っていなかったから打ち砕かれただけなのに、認めるのがただただ口惜しくて統合を躊躇い分裂しそうになる。





 決して認めたくないもの。受け容れがたいもの。加齢とともに生き易くなるものの、硬質なものの存在もまだ感じられる。そこになにかが当たってカチンと音の鳴るとき、不意に年齢を遡ったような気分になる。加齢とともに変えがたくなってくるものもある。その萌芽もそろそろ感じられる。しかし、可能性はいつも傍らにあるのだ。固いストレッチャーの上でもんどりうつ私の中に。泣きはらして目を赤く腫らす母の中に。










2009年12月「おそいひと」
2009年12月31日(木)

【講演】
「アートミーツケア学会『記憶の居場所』」慶應義塾大学三田キャンバス
・石内都「記憶の居場所」
・「障害とか性とか-NPOノアールの活動を中心に」
・犬飼岳史「大学病院小児病棟でのミュージアム活動の試み」
・宮本博史、西川勝「知らない記憶」
・弘田陽介「人と人との『間』にある身体
 -生活文化における『身体=メディア論』の実践-」
・鷲田清一、熊倉敬聡「生活のなかのアート、アートのなかの生活」

【音楽】
NHK交響楽団クルト・マズア「第九」NHKホール

【舞台】
contact Gonzo、柴幸男、他「HARAJUKU PERFORMANCE+
(PLUS)2009」ラフォーレミュージアム原宿
ZORA「イヨネスコ『椅子』」シアター・イワト

【美術】
「No Man’s Land」フランス大使館
「糸あやつりの万華鏡-結城座375年の人形芝居-展」INAXギャラリー
小谷元彦「Hollow」メゾンエルメス

【映画】
柴田剛「おそいひと」ポレポレ東中野


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