寄稿 - 2003年09月30日(火) 縁あって、他所の文芸サイトに短歌と短文を寄稿させて頂いた。 精力的に執筆・運営なさっている様子を拝見していると、ぼんやりと日録を続けているだけの自分が何となく恥ずかしいような気持ちさえしてくるけれど、そういう方に対して頼もしいなあと思うのもまた事実。 (リンクページがないので、文中にて紹介させていただきます。多種多様なジャンルの文章を楽しめるサイトです。) ……………… ごく反動的なる電脳社会における古典的な文藝同人誌メールマガジン、「電藝」のホームページ http://www.indierom.com/dengei/home.htm - 収束 - 2003年09月28日(日) 停滞していた懸念事項が、ひとつずつ片付いていく。 添削は割とあっけなく完了し(優秀な答案ほどこちらの作業は簡単になる)、和訳は訳合わせを通していないものの一応終了したし(それにしてもプロジェクトは本当に実現するのだろうか、あれは単なる徒労に終わるのか)、よそ様に寄稿するための原稿をメールで送り(ここ以外のページに短歌を載せるのは久しぶり、そういえば以前お世話になっていた方はお元気でいらっしゃるのだろうか。サイトも日記もなくなってしまったから、きっとお忙しいのだと思う。きっともうここも読んでおられないだろう)、暫くぶりにつながった人と隣街でお酒を共にする約束をした(痛いくらい劣等感を刺激されるけれど、やっぱり好きなものは好きなので会いたいと思うのは仕方ない)。 自分のがさつさと好奇心がもとで目覚まし時計を2つも壊してしまって、かなり深刻に反省する。特にデザインが気に入っていた方は小さな部品を紛失してしまった為に保証外の扱いになってしまうそうで、「直すくらいならその金額で新品を2つ買えます」 と言われて、アラームが鳴らない状態のまま持ち帰ってきた。いいもん、靴箱の上に時計が欲しかったんだもん、と自分を何とか納得させようとするけれど、それは嘘ではないのにどこか空しくなる。 立て続けに2つも壊しちゃったの、と告げると少年が「投げたのか叩いたのか」 などと尋ねてくるので、ちょっと腹立たしいと思いながらもおかしくて笑ってしまう。…失敬な。 - 一生を - 2003年09月26日(金) 一生をくださいと言えず俯いて指だけが絡みあう白き闇 ………… - 葉末の小舟に - 2003年09月25日(木) 頼りない葉末の小舟にのせたまま ゆうべみた甘い夢を見送る 頼りない葉末の小舟にゆうべみた甘い夢をのせそっと見送る ***************** ****** *** ** * 「さっき聞いたんだけど…このプロジェクト、ひょっとしたら、なくなるかもしれないらしいよ」 大きな目を怪訝そうに細めた友人が囁いて、「当初の予定より、予算が少なくなりそうなんだって」と続けた。 「ええそれじゃ、ここ数日の私たちの徹夜って」 何の意味もないかもしれないということだろうか。あの関係代名詞だらけの冗長な表現の英文、かなり無理をしつつも何とか期日通り間に合わせたのに。彼女も訳を負担しながらポスターを用意していたところだった筈だ。「ああもう! そんなことになったらほんとショックで!」 と彼女は半ばイライラした様子で声を荒げ、私はそれに「はは、本当に…」 と力なく応じながら、泣くが嫌さに笑って候という言葉があったけれど、あれはこういうことかなと考えたりしている。 - 善きもの - 2003年09月22日(月) 手の内の善きもの優しきものたちに さよならと名付けきみに渡さむ ………… - 和訳 - 2003年09月19日(金) 眠たいのを我慢して淡々と英文を訳す、たまっていたツケが一気に来ていると思いながら作業していると、明日添削の仕事が2件届くことを知らせるメールが舞い込む。もしかして、ちょっとまずいことになってきたんじゃないだろうか。 - 三年ぶりに - 2003年09月12日(金) 京都に着く直前で窓の外は一瞬にして大雨、まさかと思って瞠目しているうちにまたさあっと世界が光り渡ったので安心した。でも降りてみると思ったとおりじっとりと暑い、前後して京都入りした友人から観光の誘いの電話が入るけれど、やっぱり体力的に無理と思って予定通り伊勢丹美術館のエミール・ガレ展に入る。一番感動したのはホタルブクロのランプ、あたたかみのある薄山吹に近い卵色の地に落ち着いた藍緑の模様が幽玄、きれい、きれい、きれい、ほしい、と気付いたら思ってしまっていて苦笑する、手に入るわけないのだけれど、それにしても目が離せないくらい好きで、厚みのある硝子から漏れる光は夢にも出てきそうな美しさ。ここだけ世界が違うみたいだ。この落ちついた灯り、旧い造りの洋館にはもちろんだけれど、黒光りするような深い色合いの木を使った日本家屋にも合いそう。 都路里で白玉パフェを食べていると二度目の電話、「もうだいぶ涼しくなってきたよ。清水寺は六時半までOKだって」 そうなんだー、と暢気に返していると、 「…と言うか、一箇所くらい、観光しろ!」 と半強制的な勢いで決められる。もうどうやっても私に観光させたいらしい。赦してくださいと言う気にもなれなくて、恐ろしい湿度の中を泣きそうになりながら清水に連行されて夜景を見た。 - 満ち足りて消える - 2003年09月11日(木) 涼やかに暮れて十五夜ふたりきり 満ち足りて消える泡になりたし 涼やかに暮れて名月照らす道 満ち足りて消える泡になりたし ************************ ***** ** * 夕刻、昨日から出張の為に上京してうちへ泊まっている母と外食する為に駅へと向かう、冷夏だった分を取り戻そうとするみたいに厳しい残暑、それでも空の色はしんと静まった涼やかさで、日が暮れれば一斉に虫の声が響く。母は明日の仕事を終えたら帰ってしまう、私も午後のひかりに乗って京都へ移動するから、朝見送ったらそれが暫しのお別れになるだろう。今日までにこなそうと思っていたことはほとんど解決していないのに、このままマンションを離れるのは少し不本意な感じがする。 - 一握り - 2003年09月09日(火) 完璧でなくていいどうか一握り優しさを捨てぬひとになってね **************** **** ** * なんとなく延ばしのばしにしていたけれど、新幹線の切符をとらないといけない。向こうの天気情報をネットで調べてみて、晴雨の具合の前にまず気温を見て目を見張った。わあ、連日三十度を超えているなんて、…そんな。学術目的で訪れるとはいえ観光のために一日スケジュールを空けてある、しかしこの気温では私はきっと朦朧としてしまっているんじゃないだろうか。じわじわと心配になりつつ、行かないという選択肢はないので、もうどうにでもしてくれという気持ちでブラウザを閉じる。見なかったことにしてしまいたい。 火星が月の頬に触れそうで危うい、もうじき重なると思いながらメールを打つと、暫くの後「よく見える? 一階だからかな、わからない」と返信が届く。残念、もう火星食に入っている時間帯。 - 宵の風吹く - 2003年09月06日(土) ことばへと変えねば伝わらないものを 宵の風吹くうちにおくろう …………… 東からあなたへと風が吹くように 穏やかに巡れはるか夕星 -
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