夕暮塔...夕暮

 

 

一人反省会 - 2003年09月05日(金)

上の妹に頼まれた書類を出す為に、職場から一つ先の駅でJRに乗りかえて区役所へ向かう。初めて降りた駅、空はもう秋のようにさらりと高いのに実際歩いてみると陽射しはなかなかきつくて、日傘をたたんで建物の陰にひっそり立ち止まったら小さいため息が出た。晴天の下知らない街を歩くのは楽しいのだけれど、久しぶりに履いた淡いピンク色のサンダルは思ったよりヒールがあって、足が前のめりに下がりがちになるので、履き口のところに靴擦れができてしまった。絆創膏はあんまり効果ないようで、歩くたびにしくしくと痛む。カットソーの下を汗が伝う、帰るまでにはかなり消耗するんじゃないかなとぼんやり考えて、やっぱり今日は夜遊びしないで帰宅しようと決めた。昨日一度断ったお酒の誘い、昼頃にもう一度メールが届いて迷っていたのだけれど、明日出勤することを考えたら少しきつい。…電話じゃなくて良かった、電話であんな風にかわいらしくダダをこねられたら、きっと流されて承諾してしまう。

自宅の最寄駅に着いて、潤むように夕暮れてゆく坂道をゆったり上りながら、最近こんな事ばかりと思って一人反省会を開始した。人と誠実に付き合うという事を考えてみたらわたしには正すべきところが多すぎる、自分を大切にしてくれている人たちに、このところ不義理ばかりしている気がする。ここ数ヶ月の間に誘われて断った旅行や外出を数え出し始めたら、申し訳なくなりすぎて途中でやめてしまった。そうしたら道端に黄色い花が咲いていて、綺麗だな何て名前だろう、スイカズラ科のハニーサックルに形が似ているかもなどと思っているうちにすっかり気がそれた。…そうだ、こういうところがいけないのか。 
私はマメではない上にひとりで勝手に空だの花だのを見て多幸感を味わってしまうので、なかなか自分から彼らに連絡を取らないでいるうちに時間が過ぎて行く。そういう人たちの事を全然考えていないわけではなくて、時々思い出しては今度あそこへ一緒に行こうかなとか電話しようとか考えたりしているのに、想像するだけで満足してしまうようなところがある。ふと気付いたらわたしの親しい人は皆こまめで優しい、電話くれないから寂しかったよと冗談まじりに怒ってくれる子ならまだいいものの、それ以外の人にはいつか呆れられるんじゃないだろうか。ごめんね、ありがとうと静かに本心から謝ってみても、誰もこの日記を読んでいないのであんまり意味がないのだけれど。


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夏の雷 - 2003年09月03日(水)

くちびるを震わせるような闇を抱き 荒れ狂う空を満たす雷(いかづち)





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流れへと逃がす - 2003年09月02日(火)

ひとりごとばかり束ねてはあてもなく 流れへと逃がすような毎日




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集めては - 2003年09月01日(月)

五七五七七の独り言ばかり集めては流す笹の方舟



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火の星の - 2003年08月31日(日)

街並みはことば失くして黙り込む 火の星の落とすしずくに濡れて



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楓揺れる街並みは静か音もなくゆく夏の淡き光あるのみ


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- 2003年08月30日(土)

サーバ用に使うとかいう新しいパソコンが昼休みに届いて、上司が早速嬉しそうに開梱してみるとなぜかディスプレイが入っていない。「あれえ!!?」 と驚きながら慌てて納品書と注文時の詳細を確認してみたところ、うっかりディスプレイを注文していなかったそうで、本人は物凄くショックを受けている。暫くの後に書類を持って上司の部屋に入ると、わざとこちらに聞こえるように「うええん、ひんひん、あーん」 とか甲高い声で泣き真似をしているので大変にきしょくわるい。向こうのニーズを把握しつつもあえて構ってやらずに、乾いた笑いを残して思い切りよく退室する。

「なんか、今あっちの部屋で、うえーんとかあーんとかって泣き真似してましたけど…」
げんなりしながらクールな同僚にそっと報告すると、くるりとこちらを向いて「おかあさーん、とか言われなかった?」 と真顔で尋ねてくる。
「…言われてません、が……。言うんですか!?」
「そのうち言うと思うよ。ママー、とかもね」
ぐったりしてくる位に呆れる。もう最悪だ、そんな事言われたらと思うとぞっとしてしまう。余りに大人気ないのでしょっちゅう忘れそうになるけれど、彼は私の父と同い年なのだ。







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他愛ない - 2003年08月28日(木)

好きですと囁く代わりに他愛ない いじわるをしたのあなた知ってた?




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針はわたしの手元で真っ直ぐに進む、ええと、これで3つ目か。春先からずっとアンテナを張って探していたのに気に入るクッションカバーが見つからなくて、とうとう自分で好みの布を買ってきて縫っている。手縫いなので時間は多少かかる。パソコンより高価だったミシンは実家に置いたまま、多分誰も使っていないだろうから送ってもらってもいいのだけど、これくらいならテレビを観ている間にできるし、まあいいかなと妥協した。それにやり始めてみると結構熱中して楽しいものだ、これが終わったらまた生地を見に行ってスカートでも縫おうかなという気持ちになってきた。背丈に合うロングスカートを見つけるのが難しくていつもひそかにお店で落胆していたのを、前向きに考えるようになる。うん、近いうちにやってみよう。丈が1メートルくらいの巻きスカートに挑戦したい。


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降り来る - 2003年08月27日(水)

失ひし御魂(みたま)降り来る夕べ待ち 白き日傘にとんぼ静止す





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急に誘われて、東京ドームで野球観戦。スタジアムで観るのは久しぶり。ピッチャーからホームベースまでの距離が何だが長く見える。金曜の夜も来ようよと言われて、きっと盛り上がるのだろうと思いつつ、翌日土曜出勤な事を考えるとちょっと躊躇する。


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きらきらと - 2003年08月26日(火)

きらきらと優しいだけの日々もあり あらゆる欠片は淘汰されゆく





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朝から電話してきた母は、悪性を疑われた黒子の切除手術を終えて自宅安静中。どうやら暇をしているらしい。
「新しい着物、何色がいい? 山吹色かな!?」
この問いかけ、はじめから思いっきり自己完結している。そう思ってちょっと内心嘆きつつ、ここで負けてはいけないと気を取り直す。山吹とか芥子色は母の好きな色だけれど、私はあまり興味ないし似合うとも思えない。「去年のがお抹茶みたいな色だったし、今度はクリームとか桃色がいいな…薄めな」 「…そう……クリームね、クリーム……」ちょっと残念そうに母は繰り返す、放っておくと限りなく山吹に近いクリーム色の付け下げが出来上がっていそうなので、近いうちに「淡い色で」と念を押しておくべきかもしれない。何しろ母のフットワークは軽い、気付くと勝手に「あら、もう選んじゃったわ」とかいう事になってしまう。


久々にレッドカレーを作った。筍や夏野菜を入れたいけれど残暑の中買い物に出るのが億劫で、常備野菜だけで作る事にする。玉葱とじゃがいもと挽肉だけのシンプルなカレー、残り数分というタイミングでココナツミルクとナンプラー、最後の仕上げにちょっとだけヨーグルトを加えたらじきに出来上がり。はあおいしい、自画自賛みたいでちょっといけないけど、きっとカレーというのは誰が作ってもおいしいようにできているのだと思う。


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時計の針さえ - 2003年08月25日(月)

この頬の熱をあなたに渡したい 時計の針さえいとしいと啼く




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ちくちくと時計の針まで啼いている 深夜この頬の熱は何処(いずこ)へ


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