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2004年01月07日(水) |
情けは人のためならず |
去年末、金融機関で、あるおばあさんの手伝いをしたことがあった。
その人は送金先等々の書かれているハガキを一枚持参していた。 一瞬「エセ債権回収業者」だの「新手のオレオレ詐欺」だの頭を過ったが、真っ当な団体宛。 振込用紙の種類と書く欄を教え、手続き完了。 で、見送ったと思いきや引き返してきて「送金先に電話が繋がらない」と言う。 更に電話連絡を入れなければいけないようだ。
繋がらないのも仕方ない、貴方FAX番号に掛けてるんだから。
送金控をコピーして、代理で電話連絡を入れた後にFAX送信。 FAXのこともよく分かっていなかったようで、「随分便利になったものだ」と驚いている。 とにかくこれで事は済んだのであとは届くのを待つだけだと伝えると、大層喜ばれた。 何でも、毎年京都で購入していたのだが、今年は行けなかったので通信販売を利用したらしい。 大量に購入するので後日お礼として一つくれるとまで言う。 丁重にお断りしたが、おばあさんは名札をチェックして帰って行った。
今日職場に着くなり「預かり物」と渡されたのは、「(社名) 北川様」と付箋を貼ってある品物。 あのおばあさんからだ。 少々申し訳ない気分と、無事に届いて良かったという安心感でいっぱいになる。 わざわざ職場まで届けてくれたのに、直接受け取れなかったことが残念だ。 自分は不在がちでなかなか会えないだろうから、お礼状でも書いて預けておこうかと思っている。
さて、この受け取った皇室御一家カレンダーはどうしよう。
自分を含めて6人しかいない事務室内に、朝から良い香りが漂っていた。 これは多分資生堂のウィア。何となく好きな匂いなので覚えていた。
今日は思いの外客足が少なく、女性客の姿はまばらだった。 事務室内の人間かも知れないと思うが、自分の隣のタカダさんは化粧っ気がない。 そしてフレグランスというよりも風呂嫌いのイメージ。 なのに不思議なことにタカダさん方面からその匂いがする。 新年仕事始めということで何か心境の変化があったのかも知れない。 そもそも興味はないが、彼氏ができたなんてことも考えられる。
タカダさんとはお互い苦手オーラが滲み出ていて、普段は必要最小限しか喋らない。
「すごく良い香りがするけど、香水付けてる?」
「いや、いやいや、何も付けてないよ〜。ハハハ、自分じゃない〜? ハハ、アハハハハ、北川さん、多分自分の匂いだよ〜アハハ。 それかイノウエさんじゃないの〜?アハ、アハハハハハハ」
訊くんじゃなかった。
イノウエさんにもさり気なく訊いてみる。 美人でいつもニコニコしているこの人なら納得できるのだが、 最近は香水の類を付けていないという。 「他の男性陣かもね」なんて笑うから、一緒になって笑った。
結局香りの元は分からず終い。 しかし何だろう、自分の鼻がおかしいのか、悪臭じゃないからいいんだけど。 単純な自分はこのお陰で一日機嫌が良かった。
帰りにタカダさんがポツリと言った。
「香水どころか私、お正月から風邪で寝込んでてお風呂入ってなくて。すっごく変な臭いがすると思う。 あ、昨日我慢できなくて入ったんだけどね。臭いから周りの人に迷惑かけてると思う。 でもこれで香水つけるのもどうかと思うし」
何だか知らないけど命拾いをしたようだ。
二つの神社を梯子し、今年は良い一年になるようにと拝み倒す。 都合の良い時だけの神頼み。
お御籤も二度引いたのだが、 「やや遅いが、気持を抜かず勉強すれば出世する」 「勉学に励むと吉」 と書かれてあった。
早速書店に足を向ける。 資格関係の参考書を買うつもりで。
帰宅して手に持っていたのはこの本。
出世はまだまだ無理そうな予感。
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