2014年06月15日(日) |
日本は初戦敗北/教育について |
今日はある意味忙しかった。なんせイタリア対イングランドと、日本戦が連続だったから。笑
前者は素晴らしい試合だった。こういうガチンコ勝負を、毎日のように観ることの出来るワールドカップの期間は本当に幸せ。
日本の敗北は残念だったが、内容的には仕方がないだろう。むしろ最小点差で済んでよかったのではないかとさえ思える。コートジボワールはよく鍛えられた良いチームだった。うまく行けばベスト4くらいまで勝ち上がるのではないだろうか。
しかしこれで日本のリーグ戦突破は非常に厳しくなった。ギリシャには勝てる可能性はあると思うが、相手も初戦を負けており今度は必死だろう。
仮にギリシャに勝利したとしても、次のコロンビアは無理だろうな。しかしだからこそ頑張ってほしい。
「今度また○○についてレクチャーしてほしいんです」と研修医にお願いされてしまった。「おっけーまかしとき」と簡単に引き受けたのは良いが、レクチャーするのにはすげえ準備が必要なのですね。研修医としてはわからんことを教えてほしいと簡単に言うのはよくわかる。自分もその立場を経験してきたから。
その度に、指導医の方々は涼しい顔でレクチャーしてくれたものだったが、立場が逆になるとこれがいかに厳しいかがわかる。
自分の専門分野であれば、まだ簡単である。さすがに日々アンテナも張っているし、最新情報もいろんな人を通じて入ってくる。それでも知識を整理して、初心者にもわかるように噛み砕くのは簡単ではないけれども。
それが専門分野を外れると一気に困難になる。まず自分の知識のアップデートから始める必要がある。自分が常識だと思っていたことがあっという間に時代外れになっていたりする。まあ、自分の勉強になると言う点では良いことではあるのだけれども。
仕事場以外では仕事をしないと言うことをポリシーとしている自分ではあるが、さすがに勤務時間内にはレクチャーの資料をそろえることは出来ず、週末を犠牲にして勉強したぜ。したからと言ってギャランティはもらえないが、こんな仕事を嫌にならずにやっているということは、やっぱり教育の仕事が好きなのだろうな。
そのため、と言うだけではないが、昨日は珍しく一滴も酒を飲まずに寝た。家で飲まずに寝たのは、母親が肝障害で倒れたとき以来だ。
あの時はさすがに願掛けも兼ねてアルコールとタバコを止めた。タバコはそのままやめられたが、アルコールを断ったのはそれ以来。今日? もちろん飲んでますよ。いやあ断酒後のアルコールは最高。笑
2014年06月14日(土) |
誤審?/スペイン大敗 |
ワールドカップ初戦のブラジルークロアチア戦のジャッジが誤審だったのではないかと話題になっている。
てめえはこの試合をリアルタイムで見ていたのだが、確かにブラジル人FWのフレッジの倒れ方はわざとらしくはあった。しかしクロアチアDFの手は明らかに体に触れており、あれはファウルをとられても仕方がないと思う。その他のジャッジも全く問題を感じなかった。確かに少しクロアチアに辛いかな、とは感じたけれども。
あーだーこーだ言う人は、次の2点を考慮していないのだろうと思う。
1.「誤審だ」「いや誤審じゃない」と判断が分かれる場合は、通常誤審ではない。
それは審判の判断の問題である。野球でも、ストライクかボールか微妙な場合がある。完全なグレーゾーンの場合は、審判の判断になる。そう言った場合は、選手は納得いかないこともあるかもしれないが、審判の判断に従うしかない。
誤審というのは、誰が見ても間違った判断を下した場合である。明らかなくそボールをストライクと判断したり、あるいは2002年の日韓ワールドカップにおける韓国戦であったり。まあ、後者は「誤審」ではなくて「買収」だったけどな。奇しくもそのことを、当時韓国サッカー協会の会長だった鄭夢準は認めよったけどな。自分としては業績だと思っているのだろうが、ほんまに恥を知れ。
FIFAが「ワールドカップ誤審トップ10」を公式に認めていて、トップはもちろん韓国戦だろうと思っていたら1位はなんと「マラドーナの神の手」だった。笑 あれには勝てないわ。ちなみにトップ10に日韓ワールドカップの韓国戦が4つもランクインしていた。
2.ペナルティーエリアでは、紛らわしいことをしたものが負けである。
サッカーを少しでも齧ったことがあれば常識である。ファウルとられれば、すなわちPKになるからだ。
さて、今日のスペイン対オランダ戦は前回の決勝戦の再現でもありとても楽しみにしていたが、意外なまでにオランダが大勝した。オランダの攻撃が炸裂したという見方も出来るかもしれないが、てめえ的にはスペインの守備が崩壊しただけだと思うぞ。
次回までに立て直さないとスペインがまさかの予選リーグ敗退になってしまうが、個人的には残念なことなので今後立て直してほしいな。前回大会も、初戦敗退から立て直して優勝したしな。スペインがんばれー。
2014年06月13日(金) |
Wカップ開幕/東京女子医科大学麻酔科の衝撃 |
なぜだか夜中に目が覚めた。iPhoneで時間を確認すると5時前だった。ニュースを確認してもう一眠りしようとニュースサイトを見たら、なんとWカップが開幕していた。すっかり忘れていた。
たちまちてめえは飛び起きてテレビにかじりついている。今は後半が始まったところでまだ同点だが、ボール支配は圧倒的にブラジル。日本人審判の笛も素晴らしい。決勝戦までの1か月間、じっくり楽しみたいと思う。
禁止鎮静剤、投与後12人死亡 東京女子医大が因果関係を調査
透析クリニックの医師が殺人目的でカテーテルを引き抜くという事件も衝撃だったが、そっちは単に頭のおかしい人にすぎない。医療側が悪意を持てば、簡単に殺人が出来るということを図らずも証明してしまったのは残念だが、単なる悪意の問題では済まされないのが東京女子医科大学の問題だと思う。
なんと一人ならず12人も死亡していただなんて、これはもう確信犯としか言いようがない。どこまでプロポフォールのせいなのかはきちんと検証する必要があると思うが、医療で確信犯はもちろん許されないしそんな医者はいらない。禁忌薬を使って死亡者が出た時点でアウトである。それを使い続けるなんて、人の命を何だと思っているのか。この方々は少なくとも医師免許剥奪で良いのではないか。
プロポフォールは鎮静に使う薬であって、他にも代わりとなる薬剤はたくさんあるし、使わないと命が助からないような薬ではない。そんな「使っても使わなくても良い薬」をあえて使って死亡者を出す。てめえには「危ない薬を使いこなす自分に酔っている」ような印象が目に浮かぶが、考え過ぎだろうか。
今後の検証はしっかりしてもらう必要があるが、てめえには今回の問題は東京女子医科大学だけの問題ではないと感じる。ぜひ日本中の病院でも検証をのぞむ。
と書いているうちにブラジルが逆転した。ナショナルチーム同士が本気で戦う姿には、本当に感動する。トップクラスの選手が見せるプレーは本当に美しい。ああ、寝不足の日々が続くなあ。まあ、眠れない夜に退屈することはないとも言うことができるけれども。
部屋の整理をしていたら「シドアンドナンシー」のDVDを見つけてしまい、再度見返している。本当にこの映画が好き。クソみたいなドロドロの映画だが、初めて見た時からてめえの心を捉えて離さないのだ。
人が生きて行く中ではきれいごとばかりではない。クソみたいなどろどろした心を、みな隠して生きている。
シドとナンシーはそんなドロドロを隠さずにまっすぐすぎるくらいまっすぐに生きて、そして20歳過ぎの若さで死んだ。本当に命が燃え尽きたのだろうと思う。そんなてめえは、40近くになって恥ずかしいことにまだ生き長らえている。
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二人で生きて行くのなら、きれいな道を歩きたいって思うかもしれないけれども 二人で生きて行くのなら、きれいではない道ばかり。 一人だとしんどいけれども、二人だと「泥んこ道」もまた楽しいかもね。 「シドアンドナンシー」ほどのドロドロでなくてもいいのだけれども。
楽しいことやしんどいこと。 良いことや悪いこと。 そんな全てを飲みこんで、泥んこ道を二人で。
泥んこ道に二人で ころがりおちた もう二度ともどれない 愛の世界に もぐりこんで もぐりこんで ずっと抱き合って ころげおちて ころげおちて 泥んこ道を二人で
あれはまだ、てめえが研修医1年目の時の出来事だった。
昔は医者になったら、自分の好きな科の勉強をすぐに始めていたものだが、今は昔と違い、はじめの2年間は各科をローテーションすることになっている。したがって(と言っていいものかどうかわからないが)昔の医師と今の医師は、平成16年卒業を境にして基礎的な素養がちょっと異なる。
医者になったばかりのてめえの医師人生は、小児科から始まった。なんちゃって小児科を2か月経験し、さんざん子供を泣かした後に救急の研修になった。救急は科に関係なくいろんな患者がやって来る。自分が経験したのは小児科だけだったので、子供の診察だけは自信があったが大人はさっぱりだった。
救急での研修をはじめてすぐの頃。腹痛を訴える大人の患者が救急を受診した。一通り話を聞いて、実際に診察も行ったが何の病気なのかさっぱり見当もつかなかった。そして何より、次に何の検査をしたらよいのかもわからない。
診察を終えて、患者さんがてめえの方をじっと見ている。腹痛の原因は何か、次に検査はあるのか、重症なのか軽症なのか、などを考えておられるのだろう、心配げにてめえの方をじっと見ていた。
診察を終えたてめえは、そんな患者さんと目が合った。「さっぱりわかりません」などと正直に言えるはずもなく、数秒の沈黙がその場を支配した。
「あのう…」 と、てめえはようやく絞り出すように言葉を出した。 「…はい」 患者さんは次に何を言うのだろうと構えている。さっぱりわかりません、とはやはり言えず。数秒間患者さんと見つめ合って、ようやくてめえは「ちょっと上の先生にも一緒に診てもらいます」とその場を誤魔化した。
いったん診察室から患者さんを出し、院内PHSで上級医に電話した。診察室に降りてきた上級医にカルテを見ながら一通りプレゼンテーションした後、上級医は「それで、お前の診断は?」と聞いてきた。「ええと、正直よくわかりません」と、上級医には素直に告白した。
てめえの拙いプレゼンテーションを聞きながら、汚い字で書かれたカルテ(当時は紙カルテだった)を眺めていた上級医は、カルテの最後に汚い字で「診断:腹痛」と書かれているのを見つけて、憚ることなく爆笑した。
「いいか、腹痛ってのは症状であって診断ではないぞ」
と、爆笑した後に真顔に戻った上級医にてめえはこってりと指導を受けた。
こってりと絞られまくった救急の後は麻酔科であった。ここで2ヶ月の間、朝から晩までひたすら麻酔をかけた。研修医はてめえ一人だったので、麻酔の準備から導入、麻酔中の管理などをすべて一人でやらされた。もちろん後ろには指導医が控えているのだが、ここでやりたい放題させていただいたのはとても貴重な体験だった。
他の病院では横で見ているだけの指導が多いと聞くが、てめえは毎日少なくとも3例以上の麻酔をさせられたおかげで、多分今でも緊急手術になれば、簡単な麻酔であればかけることが出来るだろう。全身麻酔も脊髄麻酔も山盛りしたし、最後の方では硬膜外もさせていただいた。
夜中も緊急手術があればすぐに呼ばれた。結局この2ヶ月は、ほぼ手術室で寝泊まりした。
麻酔科の次は産婦人科だった。産婦人科もたった一人の研修医だったので、全てのお産に呼ばれた。夜中であろうとも。帝王切開にも第二助手として全て参加させられた。しかも麻酔科の直後だったので、すべての帝王切開の麻酔までかけさせられた。麻酔を自分でかけて、その後手洗いして助手として手術に参加する。なんと濃い研修だったのだろうか。
おかげで2ヶ月の産婦人科研修の中で経腟出産は20例以上とり上げた。残念なことに死産にも立ち会った。最後の方は、産後の縫合も一人で行っていた。そんなわけで、今でも目の前で産婦が産気づいても怖がらずに最低限の対応は出来るだろう。
その後は内科。もともと希望していた科でもあり、楽しく勉強させてもらった。半年以上経ち、他の科も経験して、ようやく自信がつき始めていた。
そんなある夜の当直。この日も忙しく働いていたのだ。17時に当直を引き継いだ後は、ほぼ食事も休憩も取れない状態で仕事をしていた。
その患者が来院したのは、確か23時頃だったと記憶している。「胃が張って痛いんです」と書かれた問診表を手に、てめえは患者を呼び入れた。
若い女性だった。ご主人と診察室に入ってきたその女性のお腹は大きく張っていた。産婦人科を経た自分なので瞬時に理解したが、このお腹はほぼ臨月の大きさだ。妊婦なんて聞いてないぞ、と思いながら診察を始めた。
どこが痛みますか? とのてめえの質問に、その女性は「胃が痛いんです、昔から胃が弱くて」と疲れた様子で言った。こういった場合は、患者本人の訴えを信じてはいけない。本人が言う「胃痛」は、胃由来ではないことが多いからだ。
その後妊娠9ヶ月であること、当院ではないかかりつけの産婦人科医にかかっていることなどを聞き出した。
てめえは問診を急いでいた。なぜかというと、その患者にはどことない重症感が漂っていたからだ。胃の問題ならば、単なる胃炎ではなく胃潰瘍など、あるいは他の内臓疾患か。「本物の患者」は、どことない重症感を漂わせているものだ。それを理解できるかどうかが、医者の適性があるかどうかだとてめえは思っている。したがって、クモ膜下出血を見逃したというニュースを聞くたびに、あり得ないだろうと思うのだ。クモ膜下出血の患者さんは、すげえ重症感があるからだ。
「では、診察しましょうね」と、最低限の問診を終えたてめえは患者をベッドに寝かせた。腹部の診察は、通常聴診から始まり打診、触診に移る。学生でも知っている常識である。しかしてめえはその時、常識を守らずに聴診も省いて躊躇わずエコーのプローベを患者のお腹に当てた。そう、まず否定したいのは産科の病気。
躊躇わずに胎児の頭に当たる部分にエコーを当てた瞬間、見たことのない画像が見えた。あ、これ、ヤバい奴や…。たちまちてめえの顔は蒼白になったはずだ。
ここまで、患者を呼び入れてから3分もかかっていないはず。てめえはすぐに産婦人科当直に電話をかけた。
「はい産婦人科当直」 と、その日産婦人科の当直をしていた医師は、あからさまに眠そうな声で電話に出た。てめえは寝ていたのを起こされて不機嫌かも知らんが、忙しい内科は一睡もしてないのだぜ、という心の声をぐっと抑えた。
「すみません、他院にかかられている妊婦なのですが、腹痛で来院されて…」 そこまで聞いて、産婦人科医はてめえの言葉を遮った。 「だからって産婦人科呼ぶの? 内科の病気は否定したの? それで寝ているところ起こされるのっすかあ?」 と、産婦人科医は子供のように怒鳴った。だから人の話は最後まで聞けよ。じゃあこっちもプレゼンテーションの中身すっ飛ばして結論言おか。 「ええ、エコー当ててみたら胎盤に血腫があって、おそらく常位胎盤早期剥離と思われます」 「な、なんだってー! それほんまか? お前、間違いないんやろな。すぐに行くわ」 てめえも産婦人科をわずか2ヶ月とはいえ経ている自信はそれなりにあるぜ。なめんなよ。
すぐに飛び起きてきた産婦人科医は、自分でもエコーを確認して「間違いないな。すぐに手術や!」と早速手術の手配を始めた。
その後、無事赤ちゃんは帝王切開で生まれたことを聞いた。
久しぶりに購入した漫画「コウノドリ」を読んで、そんな日々があったことを思い出した今日この頃。
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