解放区

2014年04月01日(火) 桜の咲く季節/スワロウテイル

どこまでも青い空の下
満開の桜の花が川べりの道に並ぶ。

まだ子供のころは、桜の美しさを理解できなかった。
「死体が埋まっているから美しい」だなんていうよりも
酒臭いオヤジたちが好むものという認識だった。

自分が年をとり、今ようやく理解できる。
ソメイヨシノのない沖縄に住んでいたからというのもあると思う。
桜の美しさは、きわめて日本的だと思う。

雲のほとんどない、青一色の空を見上げると
まぶしいばかりの太陽の光を浴びて、純白に映える桜の花
今日のこの桜の美しさを、私は死ぬまで忘れない。




Huluに大好きな「スワロウテイル」が入っているので、時間があるとつい観てしまう。何度見ても全く飽きない、たぶん日本映画(典型的な日本映画では全くないが)の中で最も好きな映画。

さまざまな人種や言語を混ぜ込んだ無国籍な世界観も秀逸だし、キャラの作り方も素晴らしい。退屈なところの全くない脚本も、時折セピア色に染まる画も、音楽も何もかもが美しい。Charaの歌声も。





何と今はありがたいことに、youtubeで検索したら映画そのものが最後まで観ることができる。ただし英語の字幕付きで、英語のセリフはそのままになっているのでおそらく外国で発表したバージョンなのだろうと思う。編集もちょっと違うし、これはこれで新鮮に楽しめた。


そして何より、世界で最も素晴らしい「My way」が聴けます。続いて「Mama's alright」に続くのも素晴らしい。

最後のランのフェイホンに対する弔砲を聞くといつも涙が出てしまう。そう、フェイホンは人生を戦い抜いた戦士だったのだ。



Charaが出た映画は、この「スワロウテイル」と「Picnic」のみ。いずれも岩井俊二監督の作品で、どちらも素晴らしい。「Picnic」では共演した浅野君と結婚する出会いになったのだが、残念ながら二人は離婚した。この映画もなんとYoutubeで観ることができる。なんてすごい時代になったものだと思う。





2014年03月22日(土) 3日目

さて、実はここまでで、予め考えていた「行きたいところ」をあらかた行ってしまったのだ。どうする? と弟に尋ねてみたが、何もプランはないとのこと。

じゃあ午前中はぶらぶら街歩きして、昼から淡水にでも行こうかということになった。

そんなわけで、午前中はぶらぶら街歩き。なんとなくお寺にでも行こうかということになり、龍山寺へ。てめえはベタに世界平和を祈った。

お守り売り場はお土産にするのかお守りを求める日本人の日本語が飛び交っており、売り場の人も日本語で応対していた。逆に線香売り場は台湾人ばかりだったのが印象に残った。


そこからぶらぶらとひたすら歩いた。実はお目当てのお茶屋があったのだがなぜか閉まっていた。特にお茶に執着していたわけではないので、またさらにぶらぶらと歩いた。

昼前になりさすがに腹が減って来たので、牛肉麺の店に入る。弟はあっさりスープを、てめえはピリ辛スープを選んだが、いずれも意外とあっさりしていた。うーむ、日本のラーメンスープは意外と複雑な味なんだなあと思いを馳せてみたぜ。

牛肉麺屋で料理を待っている間に、kindleに入れてあったガイドブックを見ていると「猫空」なる場所を発見した。なんでもロープウエーに乗っていくところで、そこには茶畑とお茶屋があるらしい。お茶屋さんは、自分の畑でとれたお茶を出すらしい。

朝にお茶屋さんにふられていることもあり、ちょっと興味を持った。弟も「淡水は前にも行ったから、そっちの方が興味ある」とのこと。というわけで、予定変更。

その後また周辺をぶらぶら。アニメイトに行きたいと弟が言うのでアニメイトに行ったが、日本から輸入したものばかりで全然面白くなかったそうだ。

その後牛肉麺に続いて発見した麺屋で連食。笑 なんせ、凄い行列だったのだ。整然とした行列にてめえもよく並んだ。その店「阿宗麺線」の麺は、カツオ出汁がぷんと効いてとても旨かった。これはなかなか面白く当たりだった。


それからMRTに乗って、「猫空」を目指した。MRTに乗って終点の「動物園」まで行き、そこからロープウエーに乗る。このロープウエーが3kmくらいあり、のんびりと台北の空旅? を楽しむことができた。

さてこの猫空に行くまでだったが、ものすごい人だった。それも観光客らしき人はほとんどおらず、おそらく皆台北の人だったと思われる。そう、猫空は、地元の台北っ子が週末を楽しむために行くところなのだ。

ロープウエーの旅を楽しみ、猫空駅に着く。空からは下に臨む茶畑が見えたが、駅から降りたらたくさんのお茶屋さんがあった。それぞれの店は結構離れているので、駅からバスも出ていた。

しかし我々は特に行き先も決めていないので、適当にぶらぶら歩くことにした。

駅からは道路が3方向に分かれていたので、適当に道を選び歩き始めた。山の上の空気は澄んでいてとても気持ち良く、のんびりした雰囲気もとても良い。これはなかなかいいところに来たかもしれない。

しばらく歩くと、お茶を飲ませる店やレストランなどがぽつぽつ道端に並ぶ。

てめえらも適当な店に入り、お茶にすることにした。ここ猫空は鉄観音が有名らしいので鉄観音を注文しようとしたのだが、てめえらが入ったお店は英語も日本語も通じなかった。店の人が紙とペンを持ってきてくれたので何とか注文は通ったのだが、よく考えてみればそれが外国旅行としては当たり前なんだよな。

そんなわけでしばしお茶を楽しむ。お店の人は、7煎目まで楽しめると言った(様な気がした)。

1煎目。香りは強いが旨みはいまいち。
2煎目。香りも旨みも強い。
3煎目。香りは落ち着き、旨みがより強い。てめえはこの3煎目が一番好きだった。
4煎目。また違う旨みがあり、しっかり旨い。しかし弟は「もうおなかたぷんたぷんや」と早くもリタイア。笑
5煎目。二人分頂きました。笑
6煎目。まだ旨み十分だったが、てめえもリタイア。笑



その後台北市内に戻る。鉄観音を山盛り飲んだので、尿意が半端ない。笑

そのあと市内をぶらぶら。気が付くと夜になっていたので、レストランを探したが、てめえがあらかじめリストしていた店はどこも予約でいっぱいだった。土曜日の夜だから当たり前と言えば当たり前ですね。いろいろ行きたい店はあったが、これは今度の宿題にしましょうね。


そんなわけで、弟のリクエストで初日とは別の夜市へ。ここは以前に訪れた通りの昔ながらの夜市で、お酒もなく猥雑な雰囲気が残っていた。

仕方がないので近くのコンビニでビールを購入し夜市を歩いた。しかし人も多く、ゆっくりできないのがどうにも落ち着かない。お酒もないし、なんだか盛り上がらず。弟は弟で好きなものを食べていた。しかし彼は台湾に来てからよく食べる。

夜市を堪能し、ぶらぶらと街中を歩いた。


とある土産物屋さんの前に、大きなバスが止まった。バスの中から日本人観光客がどっと吐き出され、土産物屋の中に消えていく。外から見てもあまり面白そうな店ではなく、その観光客団体以外の客はいなかったことから、おそらくツアーで強制的に連れて行かれる土産物屋だろうと思った。

安いツアーではえてしてこういうことがある。客は安くで旅ができる代わりに、ツアー主催者と結託しているお店に連れて行かれる。そこで買い物をしなくても全くいいのだが、何か買ってしまうのが観光客の性というものか。

てめえ的にはそういった店には全く欲しいものもなく値段も観光客値段のことが多く、したがって単なる時間の無駄なので、そういった土産物屋のおまけが付いてくるツアーはよほどの理由がない限り避けるようにしている。まあそもそもツアーで旅行しないけどな。


ぶらぶら歩いていると、「牛肉料理の店」を発見した。てめえは夜市であまり食事していなかったし、弟も小腹がすいていたようだったのでここで食事することにした。今回の旅行でほぼ唯一「適当に入った店」となったが、意外とここが当たりだった。というか、台北では食に関してはほとんど外れがないかもしれない。


ここでいろいろ牛肉料理を頂いた。もちろんビールもあり、ゆっくり食事できたのが良かった。やっぱり食事にはお酒がないとさみしいね。



2014年03月21日(金) 二日目。

朝。自然と7時前には目が覚めた。今回泊まった宿はスイートルームタイプなので、ベッドルームとは別にリビングがある。そんなわけでシャワーを浴びて8時くらいまでリビングのソファーで本を読みながらごろごろし、それに飽きたら全く起きてくる気配のない弟を叩き起して雙連の朝市に向かった。

ここはほぼ地元民御用達といった風情で、肉や野菜や魚などを売る店が軒を並べる。食べ物を提供しているところはなかったが、これはこれで面白い。一通り見て回った後、近くの「天祥蚵仔麺線」という店で麺を食べた。くたくたに煮た麺に、具は牡蛎と肉団子とモツ。汁はエビのスープが利いていて、これが香菜の風味とよく合いとても旨い。地元の方もたくさんいて、もちろん誰も「麺固め」などと無粋なことをいう輩はいない。

大が50元、小が40元で、機会があればもっといろいろと食べたいと思っていたので弟と二人とも「小」にしたのだが、これでも結構ボリュームがあった。豆板醤のようなものと胡椒が置いてあり、後半はちょっと味変してみようと思い豆板醤を投入したが、辛さだけではなくさらにうま味も加わりこれまた旨かった。


さらにぶらぶら歩く。弟は「潤餅」の屋台を見つけて「これも旨そう! ねえ買っても良い?」と尋ねた。これは要は台湾風のクレープというか、小麦粉を薄く伸ばして皮を焼き、そこにいろいろな具を乗せて巻いて食べるもののようだ。

おう注文してみ、と言うと、にっこり笑って得意(?)の英語で注文を始めた。のだが、これが全く通じない。弟の英語が下手糞なのではなく、英語自体がダメのようで、English, no. と言ったきり、台湾語で「誰か! 英語わかる人!」といった勢いで人を呼びに行こうとしている。なんだかめんどくさいことになりそうだったので、なんとか中国語を思い出し「要一个」と注文した。


無事買うことができ、焼きたてを頬張る弟。一口もらったが野菜がたっぷりでナッツも入っており、味付けは意外に甘めであった。これもまた旨かった。

食欲旺盛な弟はさらにもち米の炊き込みご飯を購入。さすがに途中で腹いっぱいになったようで残りはありがたく頂いたが、台湾風ちまきの中身みたいなものでこれもまた旨かった。何食っても旨いぞ台湾。



朝市を堪能した後は、弟が行きたいと言っていた書店へ。本だけではなく雑貨もあったので結構楽しんだ。この店で面白かったのは、雑貨も「メイド・イン・台湾」のものが多かったこと。どこにでもあるような高級ブランドあるいは外国製の雑貨を置いているような店とは一線を画している。弟も欲しかった本が買えたようで大満足している。

その後、きわめてベタだが歩いて101へ。この時点でちょうど12時くらいになっており、飲食店街は混雑を極めていた。

展望台で時間をつぶそうかと思ったが、こちらも凄い混雑で、ありえないくらいの行列。てめえも弟もすでに経験済みなので展望台に行くのは断念した。ランチを予定していた「鼎泰豐」も凄い行列。まあ時間が時間だし仕方がないわな。

「鼎泰豐」はそもそも本店に行くつもりだったのだが、鼎泰豐経験者からは「本店はやめておけ、101店が良い」とのアドバイスを受けたのでこちらに変更した。

なんでも本店の方は行列のオペレーションがあまりよくないこと、101店の方が箱も大きいこと、そして実際に両方で食べてみて、あまり味に変化を感じなかったからとの理由だった。「行くのなら本店」をモットーにしているてめえとしてはそれでも本店に行こうかと思ったが、鼎泰豐経験者が口をそろえて同じことを言うので今回は言うことを聞いてみることにした。

まあ朝から腹いっぱいいろんなものも食べたし、全く腹も減っていなかったのでもう少しぶらぶらすることにした。


というわけで、今回てめえがぜひ行きたかったほぼ唯一の場所である「四四南村」に行くことにした。101から徒歩で5分くらいの場所で、元々は国民党軍の軍人が住んでいた村だったところを保存してあるのだ。その一角は雑貨屋+カフェになっており、べーグルが旨いらしい。


今回もGoogle mapで移動する。これほんまに便利で、迷うことなく到着できた。

さてこの四四南村はなかなか風情のある一角が残されており、大都会の真ん中にこのような戦後そのままの古い村が突然出現する様はまるでタイムスリップしたような気分にさえなる。

この一角にある雑貨屋+カフェの「好、丘」に入る。手前半分が雑貨スペースになっており、ここも「メイド・イン・台湾」の雑貨しか置いていない。この店は、こだわってあえてそうしているようだ。

台湾の調味料など大変面白そうなものがあったので、いろいろと買いこんだ。結論から言うと、今回の旅行で買い物したのはほぼここだけになってしまった。

カフェはまた今度の機会ということにして、101に戻る。鼎泰豐に向かうとさすがにさっきよりも入店待ちの人数は減っているが、それでも凄い人。店先には「45分待ち」と表示されている。

さっき通りかかったときにシステムを確認しておけばよかったが、どうやら整理券を発行しているようだ。順番が来ると電光掲示板に番号が示される。げげっ、これなら四四南村に行く前に整理券だけとっておけばよかった。

うーむ、これならほかの店にしようか。てめえはそう言って、第二候補に考えていた「欣葉」に向かった。101の85階に位置するこのレストランは台湾料理の名店だそうだ。


しかし、店を選ぶ客観的な評価というのはとても難しいと思う。そういう意味では「ミシュランガイド」は一つの基準を示してくれているので、ある意味便利ではあるなと思う。


というわけで85階に向かおうとしたが、何と専用のエレベーターがあり、入口近くには受付があって予約のある人しか乗れないらしい。えー予約なんてしてねえよ、と思いつつ、予約がなければ入店できないのか? と尋ねた。いえ、少々お待ちいただければ…との回答だったので、同じ待つのなら初志を貫徹しようと踵を返した。


戻ると待ち時間が40分に減っていた。さっそく整理券をもらう。整理券と同時に「注文票」のようなものを渡された。予めここに注文する品を書き込むらしい。これはこの店独特の方法ではなく、台湾ではほかの店も同じシステムをとっているところが多かった。

さっそく弟と二人でメニューとにらめっこ。看板メニューの「小籠包」はもちろん注文。あと「トリュフ小籠包」にも興味があり注文。それに加えて「小菜(台湾おつまみ)」「鶏肉の紹興酒漬け」「紅油炒手(ピリ辛ワンタン)」「炒飯」を注文。もちろん台湾ビールも。昼から飲めるのは旅行の醍醐味ですね。

そうこうしている間にあっという間に順番が来た。どうやら整理券だけゲットしてほかの店に流れた人もいたみたいで、結構すぐに席に案内していただいた。


「小菜」

春雨ともやしと昆布などを和えたもの。つまみとしては良かった。

「鶏肉の紹興酒漬け」

てめえチョイスに見えるだろうが実は弟チョイス。もちろん酒の肴としてはばっちり。

「小籠包」

さて、今回の本命メニュー。さっそくそのままで頂いたが、正直なところ「あれ? こんなもん?」。それなりにうまかったが、驚きの旨さではなかった。これは魏飯夷堂とあまり変わりない印象。期待が大きすぎた?

「トリュフ小籠包」

これも同じ。5個入りを始め注文したのだが、「二人なので2個でも可能ですよ」といわれ、その通りにした。それでよかったと思う。

「紅油炒手」

結論から言うとこれが一番旨かった。ワンタンの皮もぷりっとしており何よりタレが秀逸。弟は「このタレだけでご飯が食べたい!」と、こっそり後で出てきた炒飯にかけて食べていた。またこれが旨かった。弟は、この皿を最後まで下げられないように守ってましたよ。

「炒飯」

これも旨かった。上記のタレとまた良く合った。



ビールも2本頂き、大満足。サービスも素晴らしかった。今度はぜひ本店を攻めようかな。


食事を終えて、弟の希望で「九份」へ向かった。行きはバスで行ったが、またこれがすごい人だったのと、九份に向かう客のほとんどが日本人だったのにうんざり。

着いてからまたすごい人だかり。しかもほとんど日本人で、人ごみの大嫌いなてめえは人に酔いました。正直もうごちそうさまです。街は悪くなかったのだけどね。今度行くときは宿泊して、人気のない夜と朝を楽しむのが良いだろうと思った。


帰りの台北直通バスはこれまたすげえ行列だったので、近くの瑞芳駅までバスに乗り、そこから鉄道に乗って台北に帰ることにした。

これがまたのんびりとした鉄道で、各駅停車の上に一つ一つの駅での停車時間が長い。正直とんでもない時間がかかってしまった。

台北に戻ったらもうぐったり。復路だけで2時間くらいかかったのでは。そんなわけで目当てのレストランももう閉まりそうな時間になっていたので、とにかく急いだ。

目指したのは「長白小館」。酸菜白肉火鍋で有名な店で、酸味の効いた白菜の鍋。デフォルトで豚肉が1人前付いており、さらに豚・牛・羊の3種から2種類の肉をチョイスできる。もちろん豚二つみたいな注文もできるようだ。

正直、外国で頂く牛肉は外れが多いので、ためらわずに豚と羊を選んだ。


まずは鍋に火の通っていない豚バラ肉が乗った状態で、鍋が運ばれてきた。火が通ると食べごろで、自分で作ったタレにつけていただく。

タレは基本は芝麻醤に豆腐乳、韮泥(おろしにんにく)、韮菜花醤(ペーストにした韮)だが、てめえはここにさらに自家製と思われるラー油とおろしにんにく、そして欠かせない香菜を山盛りっ! 

さてこれが結構旨かった。肉と白菜などほかの具を順に頂いたが、結構な量で。しかも高野豆腐のようなものや椎茸やカニなど山盛り。カニは正直いらんかったかな。

肉と白菜だけでも結構な量があったので、男二人で腹いっぱい頂きました。もちろんビールと共に。笑 肉は豚も羊も旨かった。


弟と宿に戻る。帰りに飲み物を買おうと宿近くのセブンイレブンに寄った。「歓迎光臨!」と店員さんの声が響く。なんかこの辺も日本的だなあと思う。

白酒と台湾ビール、そして焼いた腸詰と、茶葉蛋(茶葉ゆで卵:お茶と八角などの香辛料で茹でた茹で卵)をつまみとして思わず購入。


レジで支払いを済ませ、店を出ると、何と店員さんが追いかけてくる。なんだ? お金は払ったけど、と思ったのは全くの杞憂で、なんとてめえはレジでぴったりお金を払ったつもりが、1元と5元を間違えて払っていたために4元のお釣りが生じていた、と店員さん。これにはこちらの方が恐縮してしまった。正直、4元くらいいいのにと思ったし、4元のお釣りのために外まで客を追いかける国民性は日本と台湾くらいなものじゃないのかと思った夜だった。


ちなみに茶葉蛋はとても旨かった。弟も「旨い! 旨い!」と食べていた。腸詰はやっぱりコンビニクオリティーでいまいちだったぜ。



2014年03月20日(木) 初日。日本精神(リップンチェンシン)に出会う。

台湾の桃園国際空港へと向かうピーチ航空のピンク色の飛行機は、ときおり機体を揺らせながら厚い雲の中へとゆっくり沈んで行った。ベルト着用のサインはとっくに点灯しており、客室乗務員含めてすでにみな着席している。

細かい揺れが続いたかと思うと、ときおりジェットコースターに乗っているときのように大きく揺れる。厚い雲の中を通過しているので、ある程度は仕方がないと頭では理解しているが、飛行機経験値の少ない弟は隣で一人青ざめていた。

「いま、むっちゃ降下したで。大丈夫なん?」
「大丈夫、雲の中やったらこれくらい揺れるわ」

しかしまあビビるのも仕方ないよな、と思うくらいの激しい揺れもあった。

しばらく雲の中の飛行が続くと少し退屈してきたので、持ち込んだ本を読むことにした。


今回の旅行では、カラー写真がたくさん掲載されている台湾の食に関する本のみ紙媒体として持ち込み、他の旅行用ガイドブックなどは全てkindleで調達した。ので、「書籍」として持ち込んだのはこの二つのみである。そして着陸態勢に入ると、すべての電子機器の利用は禁止されるのでkindleは読むことができない。

揺れる機体の中で本を読んでいると、本を読む私を見ている人の方が気持ち悪くなるらしい。私は船の中でも読書を楽しめる「鉄の三半規管」を持っており、したがって乗り物酔いをしたことがない。

しばらく読書をしていると揺れも小さくなってきた。そろそろ雲の中から出る頃だろうか、などと考えながら、心地よい揺れとともに私は短い時間だけ眠りに落ちた。



不意に訪れた着陸の衝撃で眼が覚めた。何とか無事着いたことを、隣の席の弟が喜んでいる。まあよく揺れたからね、と私は答えた。


飛行機を出る瞬間は、いつもその国独特の匂いがして、ようやく外国に来たのだと言う期待が高まる。

桃園国際空港の中では、ほんのりと漢方と中華スパイスとお香と独特の湿気を含んだ空気が私を包んだ。ああ台湾に来たのだなあと思う一瞬。

空港内を歩く。ぶらぶらと歩いていると免税店のお姉さんと目が合った。にっこり笑いかけられたのだが、この人の脳内は中国語で思考しているのだよな、などと妙なことを考えた。


そういえば、関西国際空港から飛行機に乗り込み、台湾に到着するまで、周りで聞こえる会話はほとんど日本語だった。なのでてっきり乗客のほとんどは日本人なのだろうと勝手に考えていたが、入国審査では台湾人の方が多かったのには驚いた。日本人と中国人が同数いれば中国語ばかりが聴こえてくるのだが、日本人と台湾人がほぼ同数いれば日本語の方が聴こえてくるのだ。つまり、日本人の方が声が大きく、台湾人の方がおとなしいのだ。この事実は私をひどく驚かせた。


入国審査は一瞬で終わった。日本人以外の外国籍の方は質問攻めにあっているのと比べ、日本人の審査のなんと早いことか。ほぼ最低限しかチェックしていないのは、日本人という集団に対する信頼の表れだろうと思う。


空港を出て、台北市内に向かうリムジンバスを探す。これもまた一瞬で見つかった。非常に分かりやすい動線になっている。

チケット売り場に並ぶ。自分の番になり、とっさに出たのは英語だった。"To Taipei Station, two ticket, please"

チケット売り場のお姉さんは、クソ面白くなさそうな顔をして

「台北駅行き、二枚ですね。二枚で250元ですありがとございましたー」

と流暢な日本語で返した。



バスは少し古かった。時間になり動き出すと、車内の電気は落とされた。ようやく愛用のiPhoneの、wifiをオンにする。桃園では電話は拾えないようだ。

仕方がないので車窓の風景を眺めた。もう真っ暗になった台湾の街並みはどこか懐かしく、「異国に来た」というよりは何ともほっとする感じがするのは父祖の地だからだろうか。あるいは今回で4回目の訪問だからだろうか。おそらくどちらもあるのだろうな、と私はぼんやりと考えた。


バスは台北市内に入ると高速道路を降りた。二つ目のバス停で下車する。さて、簡単な地図はあるのだが、まずはどっちが右か左かもわからない。

さっそくiPhoneを使ってみる。まず、台北市内に入っており、動くバスの中では電波がほとんど拾えなかったが、道端でじっとしているとWifiを拾うことができた。

さっそくGoogle mapを起動すると、たちまち自分のいる位置がわかる。なんか、とんでもない時代になったもんだと思う。あとは宿の位置を確定して、mapの通りに歩いた。意外と宿は近かった。


フロントには同年代くらいのお姉さんが一人で退屈そうに西瓜の種を噛み破っていた。とりあえず英語で、と思い英語で会話を試みた

「We have a reservation...」
「あ、どーぞー。どぞー。はいここ座って、どーぞー、で、まずはパスポート見せてください」

とまた日本語で返ってきた。以前に来た時は、それでも10年前になるが、老人は日本語を話す人がまだたくさんいたが若い人はさっぱりだったのに、なんだかそういう点でも驚きを隠せない。


宿に荷物を置いて、弟のリクエストで夜市に行くことにした。


宿を出て、ぶらぶらと夜の街中を歩く。空港からバスに乗って移動している時よりも、こうして自分の足で歩いているときの方が異国に来たという実感を強く感じる。

途中でセブンイレブンに入る。以前に訪れた時にはお酒を置いている店が皆無だったので、お酒が欲しい場合は自分で購入するしかなかったからだ。コンビニではそんなに多くの種類のお酒を置いているわけもなく、仕方なくというわけではないがとりあえず台湾ビールを1本だけ購入した。


10年ぶりに訪れた士林夜市はがらりとその様相を変えていた。10年前はそれでもまだ屋台が並んでいたのだが、今は市場と一体化して地下の食堂街に成り果てていた。

情緒は全くなくなったが、飲兵衛にはありがたいことに食堂ごとにビールを置いているところが多かった。これは以前にはなかったので驚いた。予めビールを購入していたというのに、嬉しい悲鳴といっていいのかどうか。

さっそく一つの店に腰を落ち着ける。もちろんビール含めていろいろ注文したのだが、意外だったのが、弟が臭豆腐を「旨い! 旨い!」ともりもり食べたこと。そうかそれは良かったね、と一皿のほとんどを一人で平らげる弟を見ながら、台北初日の夜は更けていった。



以下備忘録



往路

出発は関空第2ターミナル。「第2ターミナル」ってなんじゃ? と思ったが、要はLCC専用ターミナルとして建てたようで、今までの関空そのものが「第1ターミナル」になっていた。

そんな第2ターミナルは今のところピーチ航空のみが独占的に使用している。第2ターミナルへの連絡バスの位置がわからなかったので案内所で尋ねたら「ピーチですか?」「ピーチですよね?」としつこく確認された。なんでこんなにしつこく聞くのだろうと思っていたら、第2ターミナル自体がピーチオンリーだった。笑

第2ターミナル自体はプレハブみたいな作りでチープだったが、だからと言ってびゅーびゅー風が入ってくるわけでもなく。カフェもレストランもありそれなりに快適だった。

出国した後もロビーは比較的ゆったりしていた。免税店もあるのだが興味なし。しかし普通の売店(免税? 笑)があり、そこでビールとつまみで出発時間までゆっくりできた。次回第2ターミナルと使うときは、早めに出国してロビーでまったりしたい。席によっては電源もあり、スマホを充電しながら時間をつぶせそう。もちろん無料wifiも飛んでいるので、パソコン持っていってもよいだろう。




通信について。

あまり深く考えていなかったので、まともに調べたのが出発前日。正直これほどのことになっているとは夢にも思わなかった。というのも海外旅行自体が数年ぶりで、今までは海外で携帯を使用することなんて全く考えていなかったのだ。以下てめえの愛するiPhoneについて書き遺しておく。


1.そのまま使う。

なんとこれが可能。何も考えずに渡航先で電波をつなぐことも可能だが、下手をするとパケット代がすべて請求されて数十万円も請求された例もあるらしい。というわけで調べたら、海外でのパケット使い放題もあったのだが、一日約3000円。3泊4日で12000円。うーむ、もうこれでもいいかとも思ったのだが、殆ど電話を使用しない(自分からかけることはまずなく、かかってくるのは悲しいことにほとんど仕事関係)ことを考えるとアホくさくなったので却下。

2.Wifiレンタルを使う

結論から言うとこれが一番良かったと思う。ただし出発前日では申し込みが締め切られていた。電話で問い合わせしたところ、当日に関空の窓口まで行って、在庫を確認しないとわからんと。そんなわけで実際に窓口に行ってみたがやはり在庫はなかった。涙。今後は早めに申し込んでおこうと思った。

3.台湾で無料Wifiを使い倒す

ということで、出発前に台北市の無料Wifiを登録。弟の分も登録したが、結論から言うとこれがとても役にたった。登録もすげえ簡単。


そんなわけで、出発前にiPhoneを「機内モード」にして、台湾到着後にWifiのみOnにした。桃園空港は台北ではないので電波は飛んでいなかったが、台北市に入るとぎゅんぎゅん通じた。



追記

上記のぎゅんぎゅんはちょっと言い過ぎで、じっとしていればWifiの電波は拾うのだが、動くとすぐに切れる。だから日本での動きながらスマホを期待するとそれほどでもないが、しかしほぼ市内全域でWifiが拾えるのには驚いた。ちょっと困ったことがあったら立ち止まって調べ物が可能。ただし結構差はあり、駅やバス停の周辺ではかなり使い物になったがそうでなければいまいちだった。




復路

往路で使用した空港バスが、復路もそのまま使えると思っていたのだが、これが間違いだった。

往路では空港から台北市内への高速バスがあり、空港から高速道路を走って、市内に入ると高速から降りてバス停ごとに乗客を降ろしていく。復路はこの逆をしているのかと思っていたのだが、なんということか復路は台北駅からの直行しかないらしい。このことを知ったのが帰国当日で、ホテルでチェックアウトするときに軽い気持ちで「空港バスの時間は何時やろ?」と尋ねたことがきっかけだった。

往路で降りたバス停は、ホテルから歩いてすぐなので、そこから空港行きのバスに乗ろうと思っていたのだ。

ところが帰ってきた答えは「空港行きのバスなんてない。Go straight to Taipei Station」だった。いやバス停あるやん、行きしに使ったで、とてめえは関西弁をなんとか英語に訳して言った。それは往路だけや、復路はバス停では拾わへんねん、とホテルのフロントのお姉さんは言った。


そんなわけで台北駅に向かった。ちょっと余裕をぶっこいていたのだが、台北駅について驚いた。なんと空港行きのバスには見たこともないくらいの長蛇の列。これは下手すると間に合わないのでは。

詳細はまた今度ということにするが、ちょっと今後は別の方法を考えたい。だってすげえ列にすげえ時間並んでしまい無駄な労力を使ってしまったから。そういえば台北駅から直通のMRTができるとか→調べたら2015年開通予定だって。やっほー。



2014年03月19日(水) 消費税増税とか。

消費税が上がる。それ自体は正直しょうがないと思っている。そして予想された駆け込み需要。

「なんか、買いました?」

とてめえは後輩に唐突に聞かれた。初めは何の事だかよくわからんかったが、要は増税前の買い物のことらしい。

いや、まったく気にしてなかったけど、とてめえは答えたが、本は買わないのですかと彼は続けて尋ねた。そうか、本は買っておいた方がいいかもな、とおもいつつ、欲しい本はあらかた買ってしまったので、もう買ってしまったとてめえは答えた。

「そうですか、私はこの機会に高価な医学書を買い占めましたよ」

と、彼は口元だけで笑った。


本はともかく、家具などについては、むしろ増税後の需要冷え込みに対するバーゲンセールがあると思われるので今は買う必要がないと思う。




なんかいろいろ考えた。言語化すると陳腐になるのですね。でも自分の言葉で精いっぱい紡いでみたいと思う。


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