高野さんのところで知った「ウハー(Уха)」が大変おいしそうだったので作ってみようと思い立ったのはいいが、「ディル」をどう手に入れるかが問題となった。高野さんのところのように代わりにパセリを使用してもいいのだが、いろんなレシピは圧倒的にディルを使用している。実際にこのスープを飲んだことのないてめえとしては初めから代替品を使うのはまずいだろう。
というわけで、なんだか上等そうなスーパーを何件かめぐってみたがどこにもディルは売っていなかった。乾燥ハーブにもない。おそらく生でしか使用しないのだろう。もしくは塩漬けか。
どこにも見つからなかったのでまたいつかめぐり逢う日まであきらめることにして、いつものスーパーに買い物に向かった。
すると、あったのだ。いつも買い物をするスーパーの棚に、ネギとかパセリとか香菜(これも普通のスーパーにはないわな)と並んで普通に陳列されていたのだ。いやー驚いて笑ってしまった。
というわけで、一束100円にて生のディル購入。さっそく魚売り場に行くと鮭のアラが安くで大量に売っていたので一緒に購入した。きっとアラから良い出汁が出るだろう。
玉ねぎは皮をむいてぶつ切りにし、馬鈴薯と金時人参は皮をむかずにぶつ切りにして鍋に入れ、鮭のアラを敷き詰めて水から調理する。てめえは芋やニンジンや大根は、基本的には皮をむかずに使用する。皮にも栄養があるからである。客に出すとき以外は面取りもしない。業務用の大量調理ならともかく、家庭では面取りしなくても煮崩れない。以前は面取りした大根やニンジンできんぴらを作ったりしていたが今はやらなくなった。
しばらくことことと煮て、塩で味付けして最後にディルをどっさり放り込んでウハーの出来上がり。もちろんてめえは酒を飲みながらちみちみ頂いた。鮭が安いうちにまたやろうと思う。
2011年12月03日(土) |
父が連帯保証人になっていた |
困ったことになってしまった。
仕事を終え自宅に戻ると、役所から父宛ての手紙が来ていた。てめえの実家のある役所からの便りだったのではじめから嫌な予感しかしない。
さっそく開けてみた。それによると、以前に父は誰かが役所からお金を借りるにあたり、連帯保証人になっていたようだ。なったのは呆ける少し前だった。手紙は、お金を借りた人が一向に返さないのでお前が何とかしろという内容だった。要は、本人に督促するかてめえが返せということだ。
デイケアから帰った父にさっそく手紙の内容を尋ねた。 「誰やこれ? 知らん人や。連帯保証人になった記憶もない」と、彼は予想通りの反応をした。 「覚えてないかもしらんが、現実として手紙が来ているだろ? ということは連帯保証人にはなっているはずや」 「そうか。(手紙を熟読し)この内容だったらわしがお金払わなあかんな」 「この人(借金している債務者)に聞き覚えは?」 「まったくないわ」
実はこういったことは初めてではない。以前にも他の人の連帯保証人になっており何とかしろという連絡がきたが、放置した。それ以降督促は来ていない。もしかすると他にも保証人になっているかもしれない。なっていても今回のケースのように本人は覚えていないだろう。
呆ける前の父は、税金だの法律だのに少し詳しい人だったのでほとんど趣味でいろんな人の相談に乗っていた。なのでこういったケースがあってもおかしくない。以前実家を掃除していたときに、父宛てに「現在刑務所で服役しているが、家族の面倒を見てくれており安心しています」という手紙も発見した。ちなみに父はこの人のことも「覚えてない」と言った。
困ったことになってしまった。てめえは法律に詳しい知り合いがいないので、とりあえず母に相談してみたが、てめえでもいない法律に詳しい知人が母にいるはずもなかった。とりあえず、こういうことは法律に詳しいプロに相談するしかないのでは、と母は言った。
というわけで、今回は放置せずに弁護士に相談に行くことにする。いったいどうなることやら。
いつもiPodに入れた音楽を聴きながら、夕食を作り皿を洗う。
だいたい自分で選曲した「お気に入り」を聴いている。毎日とまではいかないが、何回か聴くと飽きてくる曲もあるので「お気に入り」の中身は頻回に入れ替えているが、ずっと変わらず入っている曲がある。その一つが筋肉少女帯の「大釈迦」。
丘の上でひとりすわって 古ぼけた娘が 丘の上でひとりすわって 街を見降ろす その横で忙しげに アンテナ売りが 娘がたのむ 仕事のために商品の組み立て
けっこう イイ人だったから恋してあげてもよかった けっこう イイ人だったから好きになってもよかった ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ
アンテナはその街の博物館の屋根に 娘はそこの持ち主の成金の孫で 年は十四でおしゃべりすぎて だけど かわいくって アンテナ売りが落ちてきたら 受けとめてあげるよ
けっこう イイ人だったから恋してあげてもよかった けっこう イイ人だったから好きになってもよかった ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ
釈迦はイイ人だったから ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ
足が滑り アンテナ売りは屋根から落ちる 待ちかまえてた娘の上に音を立てて落ちる 月の光あびてアンテナがさびる 屋根の上の アンテナから 飛び出る電波が シャララ シャカ シャカ
けっこう イイ人だったから 恋してあげてもよかった けっこう イイ人だったから 好きになってもよかった ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ ドロロのノウズイ
元々の歌詞は「ドロロのノウズイ」ではなく「トロロのノウズイ」で、「月の光あびて アンテナがさびる」ではなく「割れた娘の頭から はじける脳髄」だった。いずれもメジャーデビューするに当たりやむを得なく変更したとまだ中学生だったたてめえは聞いた。
上記のライブでは、ちゃんとインディーズバージョンで歌われている。これ以上なく楽しそうなみのすけは「トロロのノウズイ」と叫ぶ。てめえのiPodに入っているのは「筋少の大車輪」バージョンで、ギターの競演がすごい。大槻ケンジがギターソロの前に一人ひとり名前を呼ぶのだが、横関敦のときだけ「横関っ! さん(小声)」とさん付けなのが笑える。
父の受診日だったので、一日仕事を休むことにした。
受診時間は午後、昼からなので本当なら午前中は仕事に行き、午後から休みをもらってデイケアに父を迎えに行き、そのまま受診してもよかったのだが、面倒なのだ。であれば父も一日休みにしてしまえばヘルパーさんもこの日は休みになるし、デイケアの送迎も必要ない。父には起きるまで眠ってもらい、朝食を食べた後自室でゆっくりしてもらい、昼から一緒に出かければよい。てめえの職場には迷惑がかかるが有給休暇なのでてめえの権利でもあるし、受診日はいつも休みをもらっている。
朝。ヘルパーさんも来ず、父も起きてこず、てめえもゆっくりできた。9時くらいに朝食を運ぶ。食べた後に外に出ようとしている音が聞こえたので玄関に向かうと、一式用意を済ませて出かけようとする父がいた。どこへ行くの、と聞くと、いつものところや、と言う。デイケア、とか、場所とかそういうのも覚えられないようだ。今日は病院の受診なので休みですよと言うと、そうかと小さくつぶやいて自室に戻った。
ちなみに、てめえの家は彼がひとりで外出できないようにバリアを設けている。家の四方は隣家に囲まれており、出入り口には2mを超える門扉を付けた。ので、彼が脱出するには隣家の壁を乗り越え屋根伝いに行くか、門扉を超人的なジャンプを行い飛び越えるしかない。前に立つ家の中を通り抜けるという手もあるが、さらに困難である。
昼前に支度をして出かけた。彼は障害者1級を二つ所持しているのでバスが乗り放題である。付き添いも無料。なのでバスで移動する。
バス停まで野郎二人で並んで歩く。目を離すと違うところに行ったり、通行人に飛びついたりするのだ。一昔前なら間違いなく彼は閉鎖病棟の中だろう。ていうか昨年は閉鎖病棟の中だった。
こういった人を外に出すことは、家族の熱意だけでは不可能である。日中を見てくれる施設があり、通所を支えてくれる介護者がおり、その他のサービスを提供してくれる人々や制度がないと難しい。一昔前はそれがなかったわけで、選択肢としては座敷牢か閉鎖病棟(どちらも同じようなものだが)しかなかった。父はありがたいことにすべてを満たして今家にいるわけだ。
バス停に着く。周りの人から2,3mは離れてバスを待つ。気がつくと人々のほうにじりじりと近付いていたりするので油断ならない。そんな時は腕を引っ張ると素直にこちらに戻ってくる。
実際のところ、こういう人の移動はバスは危険である。中は密室だし、なにかあると大変なので、ヘルパーさんなどは決してバスを使わない。てめえだけだ。なんでそんな危険を知りながらそんなことしているのかと言えば、そういった状況を経験させておきたいし、てめえも経験しておきたいからだ。危険だからと言ってすべてを行わなければ、結局何もできなくなる。もしかしたらバスの中ではおとなしいかもしれない。実際バスの中では彼はおとなしく車窓の風景を眺めていた。
病院の近くにある台湾料理の店で昼食をとる。最初この提案をしたときは父はかなり乗り気だったが、着くころにはそんなことも忘れていた。
父は焼き豚、てめえは野菜とイカの炒め物を注文した。ランチはこの日はこの2種類のみだった。他にごはん、冬瓜のスープ、バンバンジー、ザーサイの炒め物と杏仁豆腐と熱いジャスミンティーが付いて一人800円。ご飯とスープはおかわり可だった。父が焼き豚を選択したのでてめえは違う方にしたのだが、正直焼き豚のほうがよかった気がする。
食事を終えて病院へ。この日は特別混雑していて、診察まで2時間半待った。父には「待つ」という言葉がないので落ち着かず、椅子から立ち上がったり突然どこかへ行こうとしたり、かと思えば隣に座る人にじりじりと近付いたりして困った。他の人が呼ばれるたびに診察室に突入しようとするので、廊下の端の誰もいないところまで移動しずっと父の腕を握っていた。ようやく観念しておとなしくなったかと思ったら、またもぞもぞと動き出す。
ようやく名前を呼ばれ、診察室に入ったが、椅子に座った途端に立ち上がり「はい、ありがとうございました!」と帰ろうとする。まだ診察始まってませんよ。
帰りもバス。バスの中ではおとなしく車窓の風景を眺めていた。
家から少し離れたバス停で降り、彼の気分転換も兼ねて少しだけ散歩して帰った。帰ると夜だった。いやー疲れた。
In the next world war In a jackknifed juggernaut I am born again
次の世界大戦では 折りたたまれた巨像の中で ぼくは生まれ変わる
In the neon sign Scrolling up and down I am born again
ネオンサインが瞬き 上へ下へと蠢く中 ぼくは生まれ変わる
In an interstellar burst I am back to save the universe
惑星間の爆発で ぼくは宇宙を救うために帰るんだ
In a deep deep sleep of the innocent I am born again
ぐっすりと眠りにつき ぼくは生まれ変わる
In a fast german car I'm amazed that I survived An airbag saved my life
速いドイツ車で 驚いたことにぼくは生き残った エアバッグが僕の命を救った
In an interstellar burst I am back to save the universe
惑星間の爆発で ぼくは宇宙を救うために帰るんだ
In an interstellar burst I am back to save the universe Radiohead - Airbag
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