2005年02月12日(土) |
デッドエンドの思い出/よしもとばなな |
■デッドエンドの思い出/よしもとばなな
5つの短編からなる短編集。 思っていたより切なくはなくて むしろ幸せな感じがした。
■海猫/谷村志穂 もう映画化もされるので結構知ってる人も多いかと。 寒さの厳しい港へ嫁いできた薫の激しく燃える恋の物語(背表紙要約)。
さらにかいつまむと、義理の弟の広次と恋に落ちる・・・という物語。
で、感想なわけですが。 なんというか、薫と広次の精神的なつながりが 濃厚すぎて気持ち悪いというか。
その恋はどこから来るのかも不思議で 運命という感じで書かれていたんだけど それって嫁いだ兄の邦一はどうなんだ、とか。
どうにも主人公よりもその兄の邦一の方が 痛々しかったです。
最後の方は、薫の娘達の話に移るんだけど そこからは普通のそこいらにある物語で あっけなく読めました。
■肩ごしの恋人/唯川恵 直木賞受賞作。
前向きっていいねえ。
■紫のアリス/柴田よしき アリスに出てくるウサギなどが出てくる推理物。 主人公に事件が起き、それは中学校のときの事件と関係して・・・みたいな。
ラストまで(でも)気が晴れない物語でした。
■最後の息子/吉田修一 短編集。 三作品だったんだけど、どれも雰囲気が違った。
個人的には二番目の物語が印象的。 話を収拾する方向に動いていないまま終わったので。
というか、どの作品もそうだった。
あ、でももう一回読んでみたら、表題作がよかった。
■娼年/石田衣良 違和感。現実感がないというか。
主人公は大学生で、ただ淡々と生きている生活から、男娼になることになり、そこで初めて自分を知る・・・みたいな物語。
なんで違和感があるんだろうと考えると、それは恐らく最初に戻って現実感がないから、だと思う。それは物語のような経験がないからというからということではなく、もっと根本的な部分にあるような気がする。
現実感を感じていない主人公だからそういうことである意味正しいのかもしれないんだけれど、なんだか作者も本当のところ、主人公だけではなく、登場人物の心情を想像しきれなかったんじゃないかと。
あ、あと、自分の正義を押し付けてくる人は嫌いだ、みたいな書き方だったんだけど、そういう人を完全に拒否するのも結果としてやってることは同じじゃないんだろうか、とか思った。
■蕎麦屋の恋/姫野カオルコ きっかけは何気ない生活からでも生まれる。そんな感じ。登場人物の女の人が、こたつに一緒に入ってテレビを見る、というのがものすごく素晴らしいことではなく、普通の人は幼い頃に経験しているものだという部分がなんだか印象的だった。当たり前だと思っていることは意外と変なことが多い。
■不自由な心/白石一文 基本は割り切れない恋とか生活とかの短編集。さらに要約すると不倫が多かった。変に晴れ晴れとしたラストも、どんよりとしたラストも、微妙だった。
でも、飛行機事故にあう直前に携帯電話で話す、という物語は本当に切なかった。
■アッシュロード/永瀬隼介 ハードボイルド。なんというか極道物。面白かったんだけど、一般人の興梠が痛々しかった。必死に考えても、極道とはやっぱり違う。生きる世界が違うってこういうことなんだろうなあ、と。
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