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『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子
2012年03月31日(土)
チェスの話、ということだけを知っていて読み始めたのですが、最初のチェスのコマの紹介だけで泣きそうになってしまって。私の涙腺はかなり壊れていると思います(笑) でもその短い文章だけで、その奥の物語が伝わってきて、ぐっときました。
最初の方に象のエピソードが出てきますが、少年は乗り物の中で、大好きな象の乗り物にだけは乗らないというところが、彼がどういう人間かをすごくよく表している気がして、好きです。

前半部、チェスと出会い、バスの中でマスターと育まれるしあわせな時間がなんとも言えず素敵です。中盤からは涙なしで読み進めるのが難しくなりますが、これはきっと不幸な物語ではないのだと思います。

小川洋子の作品は、硬質で冷たく、丹念に作られていて美しい、そんな印象を受けます。それが私にとっては少し遠く感じられていたのですが、『博士の愛した数式』と、これは、最初からすっと入ってきました。
何度も思い返して味わいたいような一冊です。
★★★★☆
『死者のための音楽』山白朝子
2012年03月26日(月)
帯に「これは愛の短編集だ/乙一」だったかな。何をやってるんですか、この人は(笑)

彼らしい短編集であるなあとは思います。手触りが。
しかし、Amazonのレビュー、ものすごく評判いいですね。私はそんなに好きじゃなかったんだけども…。
別に、せつない系でなきゃ!とかは言わないんだけど。なんだろうなあ。
一風変わった怪談的な話が好きな人は、好きかもしれないですね。

時々、首をかしげてしまうような文章を書くところも彼らしい…。
★★


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