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「老ヴォールの惑星」小川一水 2006年12月10日(日) 表題作を含む4編を収録した短編集。「ギャルナフカの迷宮」 政治犯が投獄される、巨大な地下の迷宮。囚人には一枚の地図が手渡され、入り組んだ迷宮の中、水場と餌場を往復しなければならない。少ない水と食料のため、彼らは常に他の囚人からの襲撃を警戒しなければならない。そして、この投宮刑に期限はなかった。 テーオは、一人であることに疲れ、とある女性と共生関係を結ぶことになる。そして、迷宮の中にも次第に社会が形成されていく…。 絶望的な迷宮の中で、次第に人との関わりができていく様子。単調なはずの迷宮の生活の、何年もの変遷の描き方がまったく退屈させずにおもしろい。 なにより舞台設定がおもしろい。視覚的にはちょっと想像しづらいんですが、雰囲気があっていいです。 物語としてもまとまっていておもしろかった。 「老ヴォールの惑星」 サラーハという惑星に住む生命体の話。 彼らは生殖による繁殖をしないため、知識や経験は死ぬ間際に光を発して他の個体へ伝えることで、種族としての賢さを育ててきた。 そんなサラーハに、星が墜落することがわかる。彼らは、自分達の知識や経験を伝えるため、生命体が存在する星を探し始める。 そして、種族をあげての点滅を試みる…。 これまた、視覚的にはまったく想像つかない生命体のお話ですが。 綺麗でせつないですね。不思議な読後感のある話だと思いました。 「幸せになる箱庭」 知的生命体とのコンタクトのため旅立った宇宙船。 やがて、目的地につくが、乗員はいっせいに気を失う。目覚めた時、高美は医療用の安静子宮の中だった。恋人のエリカを起こし、二人で外へ出ると、すでに他の乗員はその地でのそれぞれの活動を始めていた。 しかし、高美は違和感を憶える。うまくいきすぎている、と…。 幸せってなんだろう、現実ってなんだろう、と考えてしまいますね。 でも、こんなテーマの割には読後感がいい。 「漂った男」 惑星パラーザで遭難した男。その惑星は適温の海水で一面覆われていた。 すぐに救助されると思ったものの、座標が特定できないために探索は長引く。頼みの綱はUフォンだ。海水がゲル状で高栄養だったために、水分、食料に困ることはない。Uフォンで話し相手に困ることもないが…。 海に漂ってるだけの話なんですが、とてもおもしろかった。 特に最後は泣けました。 そこで終わるとは…と思ったけど、でもこれでよかったのかもしれない。 4編とも、読後感がとてもいいのと読みやすいので、ちょっと意外でしたね。 こういうハードSF(?)は、割とシニカルなラストが多いイメージだったので。 どれも好きでした。 気に入ったので、彼の作品、他にも読もうと思います。 ★★★★ |
「君に届け 2」椎名軽穂 2006年12月09日(土) 風早くんのおかげで、矢野さんと吉田さんとも仲良くなれた爽子。しかし、矢野さんと吉田さんに関する悪い噂が流れ、その発信源は爽子だという。そんなわけがないと思っていた二人も、爽子が「二人は友達じゃない」と言っているのを聞いてしまい…。 帯に書かれている「…しってる? 友達ってね、気づいたらもうなってんの!」の言葉。 うーん、青春だぁ………。 誤解や和解の流れが、無理矢理じゃなくて自然なので、イライラせず読めますね。噂の流れ方とかは強引な感じがするけど、誤解の生まれ方って、現実でもこんな風だよね。 学生時代なんてはるか遠い記憶になってしまった私でも、なんだかピュアな気持ちになる漫画です。 |