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「時の"風"に吹かれて」梶尾真治
2006年09月18日(月)
今年6月に発売された短編集。
どれも味わい深かったので、1編ずつご紹介。

「時の"風"に吹かれて」
お得意の時間SF。久しぶりに出会った同級生からタイムマシンのことを聞かされた恭哉。彼の説明によると、「時の風」に追いつかれる前ならば、人は今現在の肉体と記憶を保持できるという。時の風に追いつかれると、その時間軸の時点での自分になってしまい、記憶も消える。
恭哉は、叔父が描き続けた、今は亡き女性を助けるために過去へ向かう。

いつものお話、といった感じですが、雰囲気作りがうまいので、何度焼き増ししてもいいなと思ってしまいます。
終わり方が、最初よくわからなかったんですが、つまりああなってこうなったから、その風が追いついたってことなのですね。でも、そうなると、あれはどうなるんだ? …やっぱりよくわからない。


「時縛の人」
これもタイムマシンもの。でも、意表をついたタイムマシンです。
シュールだけどなかなかおもしろい。語り方がうまいのかも。


「柴山博士臨界超過!」
柴山博士は、いくつもの特許を持つ発明王であり、天才的頭脳を持ち、女性にもてまくる、時の人。
フリーライターの沢野は、博士の謎の経歴を紐解くべく、インタビューを行うことに成功。博士の過去とは…。

うーん、シュール……。いろんな意味で気持ち悪い(笑)


「月下の決闘」
公園で助けた女性と付き合うことになったが、その女性は実は裏バレエの抜け舞い!?
「SFバカ本」に掲載されたというだけあって、バカですねぇ〜(笑) 闇エアロビがいいな。


「弁天銀座の惨劇」
見知らぬ男に頼まれて公衆電話で電話をかけることになった男の話。
これもけっこう「バカ話」だなあ(笑)
でもなんだか気の毒に思えて悲しくなってきちゃった(苦笑)


「鉄腕アトム メルモ因子の巻」
お茶の水博士の秘書として、ウラメシア共和国で開催された世界ロボット学会に参加したアトム。
そこで、ドクター・フランケン、そしてドクターのお手伝いロボ・ニーナと知り合う。メルモ因子ロボットを開発したドクター・フランケンは、何者かにさらわれてしまう。
というオーソドックスな話なのですが、メルモ因子ていうのがアレで、ああなってこうなって。いや、予想外に感動的でびっくりしました。

 
「その路地へ曲がって」
ろくでもない父親に育てられた少年。ある日、見慣れない路地を曲がると別れたきりの母親と出会い、夕食を共にする。それはとてもしあわせな夜だった。それ以来、路地を探し続けるがどこにも見当たらない。
やがて少年は大人になり、結婚・離婚を経験する。自暴自棄になった彼の目の前に、再びあの路地が現れる…。

幻想的なお話。こういう終わり方をする話は、珍しいんじゃないですかね。


「ミカ」
妻そして娘二人と暮らす男。女たちが飼うペットになんの感慨もなかったが、あるとき娘が拾ってきた子猫を見て目を疑った。それはどう見ても人間の幼女(もちろん裸)だったのだ。しかし、男以外にはちゃんと猫に見えるらしい。
それ以来、男はミカと名づけられた子猫を溺愛するようになる。

と書くと、なんだかアブナイ話っぽいですが(笑)、大丈夫です。
ちょっと皮肉だけど、私はけっこう好きな話でした。


「わが愛しの口裂け女」
臨終間際の父親の看病を続ける青年。父は、失踪したままの母との思い出を語り始めた。
公園での出会い、時折いなくなる彼女のこと、そして巷で騒がれていた口裂け女の噂…。

ヘンな話だけど、そのよくわからなさがいいのかも。
最後のシーンは、滑稽なのになぜだかせつなくてぐっときてしまった。


「再会」
ダムの建設によって沈んでしまうことが決定した廃校。かつての同級生達は、その最後の夜に集まる。
思い出話に花が咲くが、なぜか一人の男の子名前を誰も思い出せない。あの子はなんという名前だったのか…。
タイムカプセルを埋めたことを思い出し、沈む前に彼らは掘り出しに行く。その中にはあの子の入れたボールが入っているから、名前がわかるはず…。

テーマは好きなのだけど、イマイチ盛り上がりが足りない気がしました。惜しいなあ。


「声に出して読みたい事件」
ま、ショートショートですね(笑)
私はシャンソンショーが難しいと思います。

★★★
「永遠の娘」「オメガの空葬」若木未生
2006年09月17日(日)
ハイスクール・オーラバスターシリーズの新刊です。…えーと、私の中では(笑)
発売してすぐに買ったまま、読んでなかったんですね。2002年、2004年発売ですが(笑)

このシリーズが人気だった頃、私は高校生で、彼らと同世代でした。私は今じゃすっかり……ですが、彼らはほんの少ししか年を取らず。話もさっぱり進まないままです。
さっぱりおもしろくなくなったし。それでもシリーズは終わるまで読み続けなきゃ、と思ってしまうんですよね。

体調崩したのは知ってたんですが、あとがき読んだら、思ったより大変そうでした。
高尚なもの追い求めすぎてるんじゃないかな…。
研ぎすました言葉を並べた散文詩を読みたいわけじゃなく、わくわくするような物語を読みたいのに。
最初の頃の瑞々しさを思うと、とても残念です。


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