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「みんな元気。」舞城王太郎
2005年08月20日(土)
夢っていうのは不条理ですよね。自分の不安や期待や予感、考えたことがあっという間に整合性なんて吹っ飛ばして、目の前で実現していく。夢の中の高揚感というのはその中でしか効かない魔法みたいなもので、すごくおもしろい夢だったと思っても、それを文章にした途端に、つまらないものになってしまうし、「夢のような世界」を文章で創ることも、実はすごく難しい。
舞城王太郎の世界は、まさに夢のような世界。お伽噺のようなとか、夢のある、という意味ではなくて、実際に私たちが夜みる夢に近いと思う。わけがわからないのだけど、身体が浮遊しているような妙なスピード感があって、おもしろいんだかおもしろくないんだかわからない感じ。
表題作の「みんな元気。」は、とある家族のお話。4人兄弟の一番末の女の子が、他の家の男の子と取り替えられてしまうというお話。なんだか泣けます。でもよくわからない…。

5編が収録された短編集だけど、他のもよくわからない…。
「我が家のトトロ」は、珍しくあまりスプラッタじゃないお話。なんかほのぼのしてました。「復しゅうノート」いいですね。
この1編には小説家が出てくるのですが、彼は「面白い小説」というのを書きたい、それは「読むのがやめられない小説ですよ。とにかく最後まで読ませられちゃう小説。(中略)とにかく何かに引っ張られて最後まで読めるやつです」と言っている。これは作者の気持ちも入ってるのかなーと。
★★
「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン
2005年08月18日(木)
二十七世紀の未来、人間は精神をデジタル化し、肉体(スリーヴ)を乗り換えることができるようになっていた。首の後ろに埋め込まれたスタックが破壊されなければ、何度でも生き返ることができる。スリーヴを確保できる金持ちは何百年も生き、犯罪者は精神を保管され、釈放された時には違う人間のスリーヴをまとって外に出ることになる。
元エンヴォイ(特命外交部隊)のタケシ・コヴァッチは、地球にデジタル移送され、ローレンス・バンクロフトという大富豪の依頼を受ける。その内容とは、自分を殺した犯人を捜して欲しい、というもの…。

こちらで大絶賛されてまして、図書館で見つけたので読んでみました。

なるほど、設定は非常にSFでありながら、ストーリーはミステリであり、ハードボイルドでした。
設定がとても興味深く、死なないゆえの拷問の繰り返しであるとか、カトリックは再生を拒否するとか、老いることは疲れるから、よっぽどの人間じゃないと繰り返そうと思わないとか、姿は同じで違う心を持つ人間、心は同じで姿が違う人間、記憶を失った人間の違いなど…がおもしろかったです。
だんだん解けていく謎や、終盤の盛り上がりなどもうまいと思います。

…ただ、私は普段ハードボイルドを読み慣れていないので、読みづらかったですね。
上下巻とヴォリュームもたっぷりで、非常に読み応えがありました。


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