「硝子の月」
DiaryINDEXpastwill


2007年05月31日(木) <夕刻> 瀬生曲

「皆さんお揃いですのね」
 屋敷に戻ってきたアンジュは、別段驚いた様子もなくにっこりと微笑んだ。
 そして、剣の国の老王に優雅な礼をする。
「おいでを光栄に存じます」
「いやいや、先触れもなく留守中にお邪魔した不躾さ、容赦されたい」
 老王は彼女の手を取り、軽く口付けた。
「『影王』様も、ようこそ」
「お邪魔しているよ、アンジュ」
 こちらとはより親密に、頬に口付けを交わし合う。
 ティオもグレンも、自分達とは育ちが違うと、感心とも呆れともつかない気持ちで改めて思う。


紗月 護 |MAILHomePage

My追加