つたないことば past|will
(雷雲) 紺碧の空に築かれた雲の峰は 今だ静寂を湛え、遥か遠い世界を隔てる 此処を抜ければ俺は光れるのか やがてあの雲が齎す雷のように (斜陽) 黄昏時の陽がすべてを橙で包み 何処ぞへとなり帰りたくなる それなのに焼け爛れ、無に帰した大地が 俺の足を掴んで放さない (流星) 群青を貫いた数え切れぬ程の光の雨は 恐らくは天の涙であったのだろう この星を憐れむならば、俺が掬おう さあ今こそ飛び立つ時だ (暁闇) 暁の微睡から抜け出せぬまま 白く霞んだ酷く懐かしい夢を見た あの頃は戻らない、それでも俺は求める 永遠に醒める事のない夢を見ている
左目がずぐずぐと疼く この怪我を負ってからだいぶ経ったのに 一向に治る気がしない 疼くんだ、かえしてくれと 左目を、 仲間を、 あの頃を、 ただ、かえしてほしいだけ
後悔はしてない、と言った 顔は見えなかった それでも解る、恐らく安らかな顔 どんなに手が汚れてもいい、 どんなに傷を負ってもいい、 どんなに、 どんなに、 そんなの、 救うことが出来ないならいっそ、 共に堕ちれば良かったのだ
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