浅間日記

2014年12月30日(火) 夢であえたら

後付けになったが、書いておかねばなるまい。

大瀧詠一さんの一周忌、である。

この日を迎えることがつらかった。

「一年前のこの日にはまだ存命だった」という
詭弁のような慰めにすがることができなくなってしまうからだ。

多くの大瀧ファンがそうであったように、
この一年は、彼の軌跡を追っていた。

熱病にかかったみたいに四六時中、大瀧さんの残した音楽を聴いていた。



若かりし頃、きっちりと名曲を残し、
後年、「あと100年はもつ音質」になるよう
自分の作品にきっちりとリマスタリングを施していき、

最後のアルバムについてその仕事を完成させた直後、
お連れあいに「ママありがとう」の言葉を残し、
あっという間に天に召されていった。

なんと爽やかな旅立ちであることか。
青空に残されたのは、ただ悲しみだけである。




この12月に発表されたベストアルバムの目玉は、
未発表の、ご本人による「夢で逢えたら」。

これまで多くのアーティストに歌われてきた名曲であるけれど、
大瀧さんののびやかな歌声によって、それらはすっかり上書きされてしまった。

夢でもし逢えたら 素敵なことね
あなたに逢えるまで 眠り続けたい

改めて、ご冥福を祈る。

2006年12月30日(土) 返事を頂戴する 返事を差し上げる
2005年12月30日(金) ニュース
2004年12月30日(木) 年の終りに日記考



2014年12月18日(木) 抑制のきいた文章

ラジオで、電子図書の話。

意外と知られていないことだけれど、
ネット時代において、人々が読む文字の量は3倍に増加したのらしい。



読むということは、書いて−表現して−いる、ということになる。

十年前に日記を始めた時、ネットで表現することについて色々考えた。

みんな色々考えているなあと、他の人の記事を見て感心した。
そんな主張の機会が増えたのは、よいことだ、とも。



今はちょっと考え、というよりも、好みが変わった。

心温まる話であれ、腹の立つ話であれ、
日常の些細な出来事から大きな社会問題に至るまで、
そのほとんどのものに対しては、

「そのことはいっぺん腹に収めといたらどうでしょうか」と進言したい。



露骨な感情、露骨な自己主張を、時々刻々とブログやツイッターで垂れ流す。
そんなことは、もう卒業する時ではないだろうか。

書くのならば、自分の中で熟考し、検証を重ねた考えを、
抑制のきいた文章で表現する。

読むのならば、十分考えがまとまっていて、練り上げられた文章を、
腹を据えて丁寧に読む。この人は何が言いたいのかと考えながら。

文字を読み書きするのならば、私はそうしたい。

2013年12月18日(水) 知事殿の影法師
2011年12月18日(日) 
2010年12月18日(土) 絵の語る言葉を語る人
2009年12月18日(金) マニフェストの賞味期限
2008年12月18日(木) 人という光明と限界
2007年12月18日(火) 裁判三話
2006年12月18日(月) 協力か介入か



2014年12月16日(火) 耳元の存在確認

年の瀬の、山手線外回り。

込み合った乗客の3人に一人はイヤホンをして、
聴覚に意識を逃避させている。

集団輸送されていることを忘れるために、だろう。

みんな何を聴いているのかな、と思う。

ちょっと失礼、と一人ひとりの耳元をたずねて、
片っぱしからそれを確認したいな、と思うのである。

2013年12月16日(月) 不幸な出会い
2010年12月16日(木) 
2009年12月16日(水) 暖かい冬
2008年12月16日(火) 陽を拝む/世界の日陰
2007年12月16日(日) 湯福温福
2006年12月16日(土) 信頼できる他人
2005年12月16日(金) 音楽の意味
2004年12月16日(木) 狼もいる、母親ヤギもいる



2014年12月14日(日)

週明け一番の仕事のために、夕方から家を出る。

旅支度をして、Yにじゃあねと手を振り、日の暮れた家の前に出ると、
こんなに遅い時間に電車があるのか、と小さい声で言いながら送り出す。

今週も出張、来週も出張。

みんなもう、留守番組は限界だ。

すまないと心の中で手を合わせながら、とぼとぼとバス停に向かう。

2012年12月14日(金) 
2006年12月14日(木) 手を使え、足を使え、頭はそのために使え
2005年12月14日(水) 



2014年12月11日(木) 私の中の通奏低音

いったん帰宅。

最近はもう、何処にいて何をしているのかわからないほど移動が続く。

長岡にいたんだっけ?
明日は大宮?宇都宮?



忙しい日常だろうが、年末だろうが、選挙が近かろうが、

通奏低音のように一つのテーマが思考されている。

時に拡散したり、集約したりしながら、常にそのことを考えている。





人間は、人間らしくあることを放棄しては駄目だ。



私はこのために、日々損傷した場所を確認し、排除すべきものを発見し、回復すべきものを収集すべく、調査研究したり、思考しているのである。


2008年12月11日(木) 失われた物語
2006年12月11日(月) 不足
2005年12月11日(日) 女の子は大人より賢い



2014年12月09日(火)

富士山麓文化圏にて仕事。

工場の、製造機械の、その部品の取り扱いの詳細についてどうすればよいか、
一生懸命に語る人々。

目を見ればわかる。



自分の仕事に誇りをもつ一流の技術者であればあるほど、

後継者の育成にも熱意がある。

自分のステージはいずれ終わりがやってくる。

自分は退場するが、残す価値のあるものを生み出したつもりだ。

そうだから、未来のある若者にバトンを渡したい。



この大企業は、宝のような人材をもっていることをよく承知しているようで、

表彰制度が整っている。

金賞をもらって、皆で五千円のウナギを食べたんだけど、
ウナギ食べたことがない奴もいて、翌日ハラこわしましたよ、と笑う。

2013年12月09日(月) 因縁の科学的根拠
2008年12月09日(火) お金しかもっていない貧しさ
2006年12月09日(土) 
2005年12月09日(金) 
2004年12月09日(木) 宮崎監督のゲルニカ


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