後付けになったが、書いておかねばなるまい。
大瀧詠一さんの一周忌、である。
この日を迎えることがつらかった。
「一年前のこの日にはまだ存命だった」という 詭弁のような慰めにすがることができなくなってしまうからだ。
多くの大瀧ファンがそうであったように、 この一年は、彼の軌跡を追っていた。
熱病にかかったみたいに四六時中、大瀧さんの残した音楽を聴いていた。
*
若かりし頃、きっちりと名曲を残し、 後年、「あと100年はもつ音質」になるよう 自分の作品にきっちりとリマスタリングを施していき、
最後のアルバムについてその仕事を完成させた直後、 お連れあいに「ママありがとう」の言葉を残し、 あっという間に天に召されていった。
なんと爽やかな旅立ちであることか。 青空に残されたのは、ただ悲しみだけである。
*
この12月に発表されたベストアルバムの目玉は、 未発表の、ご本人による「夢で逢えたら」。
これまで多くのアーティストに歌われてきた名曲であるけれど、 大瀧さんののびやかな歌声によって、それらはすっかり上書きされてしまった。
夢でもし逢えたら 素敵なことね あなたに逢えるまで 眠り続けたい
改めて、ご冥福を祈る。
2006年12月30日(土) 返事を頂戴する 返事を差し上げる 2005年12月30日(金) ニュース 2004年12月30日(木) 年の終りに日記考
ラジオで、電子図書の話。
意外と知られていないことだけれど、 ネット時代において、人々が読む文字の量は3倍に増加したのらしい。
*
読むということは、書いて−表現して−いる、ということになる。
十年前に日記を始めた時、ネットで表現することについて色々考えた。
みんな色々考えているなあと、他の人の記事を見て感心した。 そんな主張の機会が増えたのは、よいことだ、とも。
*
今はちょっと考え、というよりも、好みが変わった。
心温まる話であれ、腹の立つ話であれ、 日常の些細な出来事から大きな社会問題に至るまで、 そのほとんどのものに対しては、
「そのことはいっぺん腹に収めといたらどうでしょうか」と進言したい。
*
露骨な感情、露骨な自己主張を、時々刻々とブログやツイッターで垂れ流す。 そんなことは、もう卒業する時ではないだろうか。
書くのならば、自分の中で熟考し、検証を重ねた考えを、 抑制のきいた文章で表現する。
読むのならば、十分考えがまとまっていて、練り上げられた文章を、 腹を据えて丁寧に読む。この人は何が言いたいのかと考えながら。
文字を読み書きするのならば、私はそうしたい。
2013年12月18日(水) 知事殿の影法師 2011年12月18日(日) 2010年12月18日(土) 絵の語る言葉を語る人 2009年12月18日(金) マニフェストの賞味期限 2008年12月18日(木) 人という光明と限界 2007年12月18日(火) 裁判三話 2006年12月18日(月) 協力か介入か
年の瀬の、山手線外回り。
込み合った乗客の3人に一人はイヤホンをして、 聴覚に意識を逃避させている。
集団輸送されていることを忘れるために、だろう。
みんな何を聴いているのかな、と思う。
ちょっと失礼、と一人ひとりの耳元をたずねて、 片っぱしからそれを確認したいな、と思うのである。
2013年12月16日(月) 不幸な出会い 2010年12月16日(木) 2009年12月16日(水) 暖かい冬 2008年12月16日(火) 陽を拝む/世界の日陰 2007年12月16日(日) 湯福温福 2006年12月16日(土) 信頼できる他人 2005年12月16日(金) 音楽の意味 2004年12月16日(木) 狼もいる、母親ヤギもいる
週明け一番の仕事のために、夕方から家を出る。
旅支度をして、Yにじゃあねと手を振り、日の暮れた家の前に出ると、 こんなに遅い時間に電車があるのか、と小さい声で言いながら送り出す。
今週も出張、来週も出張。
みんなもう、留守番組は限界だ。
すまないと心の中で手を合わせながら、とぼとぼとバス停に向かう。
2012年12月14日(金) 2006年12月14日(木) 手を使え、足を使え、頭はそのために使え 2005年12月14日(水)
いったん帰宅。
最近はもう、何処にいて何をしているのかわからないほど移動が続く。
長岡にいたんだっけ? 明日は大宮?宇都宮?
*
忙しい日常だろうが、年末だろうが、選挙が近かろうが、
通奏低音のように一つのテーマが思考されている。
時に拡散したり、集約したりしながら、常にそのことを考えている。
人間は、人間らしくあることを放棄しては駄目だ。
私はこのために、日々損傷した場所を確認し、排除すべきものを発見し、回復すべきものを収集すべく、調査研究したり、思考しているのである。
2008年12月11日(木) 失われた物語 2006年12月11日(月) 不足 2005年12月11日(日) 女の子は大人より賢い
富士山麓文化圏にて仕事。
工場の、製造機械の、その部品の取り扱いの詳細についてどうすればよいか、 一生懸命に語る人々。
目を見ればわかる。
*
自分の仕事に誇りをもつ一流の技術者であればあるほど、
後継者の育成にも熱意がある。
自分のステージはいずれ終わりがやってくる。
自分は退場するが、残す価値のあるものを生み出したつもりだ。
そうだから、未来のある若者にバトンを渡したい。
*
この大企業は、宝のような人材をもっていることをよく承知しているようで、
表彰制度が整っている。
金賞をもらって、皆で五千円のウナギを食べたんだけど、 ウナギ食べたことがない奴もいて、翌日ハラこわしましたよ、と笑う。
2013年12月09日(月) 因縁の科学的根拠 2008年12月09日(火) お金しかもっていない貧しさ 2006年12月09日(土) 2005年12月09日(金) 2004年12月09日(木) 宮崎監督のゲルニカ
|