「天地明察」冲方丁 角川書店
冲方作品、ファフナーの次はこれって、どうなの私!?……な感もあることはあるのですが。 SF作品はシリーズが多くて、ちょっととっつきが悪いです。あまり時間がない昨今なので。
黒地に日月星のカバーは素敵ですが、どうにも一気読みは出来なさそうなので、 持ち運びが楽なようにカバー外して読みました。が、これは私にしてはかなり珍しいこと。 表紙外した中身がやっぱり素敵で、ちょっと嬉しかったです。 濃いベージュというか薄い茶色というか、そんな地にうっすらと模様が。箔押しかなあ? 今、たまたま手元にないのでいい加減かも(^_^;
暦って、あまり考えたことのなかった分野でした。 科学なんですね〜。 そして、旧来のものを改めることの難しさを、描いていますね。 最初にコミック版を読んだらあまりに面白くて、すぐに続きが知りたくて、原作に手を出した、 という、まさに逆順読みだったのですが、コミックにはお礼を言いたいな。 良い作品を読めたから。 数学は大っ嫌いだけど、和算の歴史をもっと知りたくなりました。 あと、主人公・春海が初代に就任した、幕府の天文方とやらのことも、もうちょっと知りたい。
後半、改暦にかかわる人々が次々とこの世界から去ってゆくくだりは、切ないの一言。 外出先で読んでいるというのに……にじむ涙に困りました。 みんな、夢を持って生きて、精一杯かかわって、為せたことも為せなかったこともありながら、後進に託して去ってゆく。 ロマンですよね。
時代小説という古臭さは、微塵も感じませんでした。 そこに、その時代に生きた渋川春海は、かわいい、魅力的なひとでした。
☆☆☆☆☆(文句なし 星いつつ)
「妖精作戦」笹本祐一 創元推理文庫
懐かしいタイトル。 著者のデビュー作である本書を初めて読んだのは、出版されて間のない頃で、高校 1年生だったと思う。 わあ、26〜27年前だね。 学園物のSF。超能力少女もの。 すべての要素がツボで、なおかつ、たたみかける様なテンポの速さに酔いしれました。 自分でも書いていたけど、ここに出てくる全寮制の星南学園と、那州雪絵のコミック 「ここはグリーンウッド」の舞台となった緑林寮が憧れで、そういう学校を作り出して 舞台としたほど。 本作はシリーズ1作目に当たり、このあと「ハレーション・ゴースト」「カーニバル・ナイト」 「ラスト・レター」と続きます。
今回は、出版社替えの新装文庫化。(なにせもとは朝日ソノラマ文庫。今はありませんから) 実は持っていた本を行方不明にしていたので、この本が出るのを楽しみにしていました。 今回の文庫には、作家・有川浩が解説を書いています。 彼女も妖精作戦世代なのは「レインツリーの国」を読めばよくわかります。 解説文にはただただ納得。そうそう、そうそう、と思いながら読みました。 そしてやはり、あのころの懐かしい自分に会えた気がしました。 飢えていたのです。 私、学園物のSFが、本当に読みたかったのよね。
シリーズ1巻目の本書は、ただただ気持ちよく、キャラクターがどたばたしています。 小気味よいテンポを楽しめばいいと思います。 楽しいから。
今の自分が読み返すと、確かに読みづらい部分も多いです。 確かに下手だよね; でも、補って余りある「何か」があるのです。
☆☆☆(星みっつ。やっぱ尻上がりだもん)
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