【講演】 鷲田清一「『生きる』ことの支援」本願寺聞法会館 【美術】 「ゲルハルト・リヒター『New Overpainted Photographs』」 ワコウ・ワークス・オブ・アート 「『エレメント』構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」 東京オペラシティアートギャラリー 「収蔵作品展032 わが山河 Part2東京オペラシティコレクションより」同上 「project N 40 熊谷直人」同上 「可能世界空間論-空間の表象の探索、のいくつか」 NTTインターコミュニケーション・センター 【映画】 テリー・ギリアム「Dr.パルナサスの鏡」TOHOシネマズ 【読了】 「珠玉」開高健 -----------------------------------------------------------
半日がかりで新宿、渋谷、銀座と映画館をつぎつぎ立見して歩く。チカチカ煌めくこの暗闇だけが青い火をしばらく忘れるための応急診療所であった。 焦燥はけっして消えてくれないけれど、長い距離をてくてく歩いて酒場まで抱いていくことができる。夜は着古した、手放せないシャツのようにしみじみしていて、ありがたい。 『珠玉』開高健
光射す庭に白いものが散らつく。それを認めた途端、心は休符を打たれたように静かになった。 家に着く。窓からは京都タワーと欠けた月が見える。バイクの走行音が右から左に過ぎ、冷蔵庫は時折疲れたような溜め息を吐く。 朝までの時間を数える。がらんとした部屋になんの感慨も浮かばなかったことを思い出す。新宿や渋谷にぶらりと行けないのが少し不便だなと思う。 旅に出る。どんなに辺鄙なところへ行こうと、自分を離れてはどこへも行けないことを再認識した。 その道はいつか来た道。
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