夕暮塔...夕暮

 

 

滴りに - 2004年10月26日(火)

いたましい滴りに聞こえないふりをしていると誰が告げているのか



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すれ違う - 2004年10月25日(月)

すれ違う車両にあなたが乗っているような気がして目を伏せる夜




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臨時便のエアーでどうにか帰宅する、悼む時間がないというのは決してありがたいことではない、疲弊しきるまでの雑音に満ちた暗闇を、目を伏せたまま走り抜けるようで。


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揺れる - 2004年10月23日(土)

多すぎると思うくらい豪華な食事の後、手入れの行き届いた広い庭を眺めながら長い廊下を渡り、昼風呂へ。内風呂は檜のいい香り、その後少し熱めの露天で祖母と紅葉前のもみじを見上げる。「孫の結納に立ち会うって、どんな気持ち? さっきのお祖父様、本当に嬉しそうで…幸せそうで」と私が言うと、祖母は「幸せに決まってる、こんな嬉しいことはないわ」と笑う。穏やかで優しい午後、晴れわたった山林の静寂。数時間後に、経験したこともないような激しい揺れで目を覚ますなんて思わなかった。


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秋の香を - 2004年10月18日(月)

秋の香を胸いっぱいに満たす午後 晴れた日に見る羽はあたたか



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言えないで - 2004年10月10日(日)

大事だから言えないでいるよいつまでも言わないと思うたぶんきっとね




今殺しているのは言葉かこころかと誰に問う 恋は朝を知らない





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会う度言いそうになる言葉がある、表現が少しずつ違うこともあるけれど、意味はあまり変わらない。こうしていつかこの糸が切れるのか、つながったまま伸びていくのかも知らぬまま、気がつけばなんだかとても長い時間が過ぎて。ごめんなさいずっと言えなかった、あんまり大切で、壊すのがいやなのか壊されるのが怖いのか、それとも触れること自体が禁忌なのか、もうわからなくなっていたから。自分の不誠実にあきれることをくり返したら、色んなものが麻痺していくように思う。明日でも明後日でもない遠い日、私はあなたの隣では笑わなくなる。


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あまやどる - 2004年10月09日(土)

君去れば秋が来るねと問いかけて 荒ぶ風にじむ警戒の赤


雨宿る薄いガラスの外側を君が去り明日は秋が降るから





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終業間際、今夜だと思っていた予定が来週末だということがわかって呆然とする。このところ仕事が目まぐるしかったせいか、すっかり勘違いしていた。準備があった分、ショックだ。同僚はこの天気の中銀座で飲み会、「先輩呼び出しだからなあ、行かないわけには…」としぶしぶ銀行でお金をおろしている。すでに雨は結構な激しさ。ガラス張りのエントランスの内側、「信号が青になるまで、ちょっと雨宿ろう」と言われて、あまやどるという造語が面白いと思ったので「雨宿る、雨宿れば、雨宿れ…」と活用してみる。「何活用?いいね懐かしい」と彼女が笑う。高校生の時はこういうのがとても好きだった、当時は古文が連なっているのを見た瞬間、あらゆる単語が頭の中で品詞分類された上に「○行○活用○○形」とかたっぱしから頭に浮かんだけれど、このごろはもうそういうことはなくなった。それが私にとって日常ではなくなってしまったからだろうと思う。あれはちょっと楽しかったのに、残念だし、寂しい。そんなことを考えつつ、マッサージに寄って帰宅。



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- 2004年10月07日(木)

午前中で一応お仕事は終了、一旦帰宅してお昼寝した後、メイクを直して再び家を出る。接待みたいなものの後、タクシーチケットを頂いて、ホテルの正面で先方の若い社員さん達に案内されるままに車に乗せられる。清潔な車内と感じのいい運転手さん、フロントガラスの向こうにはオレンジ色の東京タワーが、疲れたようでも誇るようでもなく間近にそびえている。


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木犀の夜 - 2004年10月03日(日)

霧雨はまこと静かに闇の根を潤わせたり木犀の夜


霧雨はまこと静かに闇の根を潤わせたり木犀の星




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闇と夜を同時に使うのはちょっと煩い、誰か改作してくれないかなと思って画面からちょっと肩をひいた後、他力本願はよくないと反省して一文字だけ自分で直す。夜を、星に。やる気があるのかないのかよくわからないくらい安易な気もするけど、雨の中見上げた木犀の大木が、私が足をつけたこの星を覆っているように思えるくらい頼もしくていい香りだったので。けれどちょっと考えてみれば木犀の花はもともと小さな星の形をしている、じゃあやっぱり煩いことには変わりない。まあ、もう仕方ない…。

雨で冷えた地上に、薫る無数の星の花。晴れても降っても、本当に好い。





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ひんやりと木犀に薫り立つ夜はどこまでも遠く霧雨のふる







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