● 恋するベーカリー 監督:ナンシー・マイヤーズ 出演:メリル・ストリープ/アレック・ボールドウィン/スティーブ・マーティン
目にも美味しいハートウォーミング・コメディー
人気ベーカリーを経営するジェーン。お得意のパン・オ・ショコラは高評価を得ていた。10年前、弁護士の夫ジェイクと別れ、3人の子供を立派に育てあげ、長年の夢だったベーカリーの経営に精力を注いできた。でも、何か満たされない日々…。自宅キッチンの増築に取り掛かるため、建築家のアダムを呼んだジェーン。お互い離婚経験のある2人はすぐさま意気投合。だが、その一方でジェインは元夫ジェイクの存在を忘れられないでいた。
人気ベーカリーを営む女性実業家が、50歳を過ぎ、自分らしい人生を手に入れるために奮闘する姿を描くハートウォーミング・ストーリー。監督は『ホリデイ』や『恋愛適齢期』などで“女性への応援歌”的な作品を手掛けてきたナンシー・マイヤーズ。予期せぬ出会いに心揺れる女心に悩みながら、仕事、家族、友人との関係を通して自立していく女性を演じる名女優メリル・ストリープは、まさに適役。共演は、2010年アカデミー賞の司会を務めるスティーブ・マーチンとアレック・ボールドウィン。ハリウッドを代表するキャストたちの名演はもとより、クロックムッシュやチョレートクロワッサンなど、美味しそうなパンの数々も目を楽しませる。
● ラブリーボーン 監督:ピーター・ジャクソン 出演:シアーシャ・ローナン/マーク・ウォールバーグ/レイチェル・ワイズ
14歳の少女が起こす奇跡――ピーター・ジャクソンが贈る感動大作
スージー・サーモンは、14歳のときに近所に住む男にトウモロコシ畑で襲われ、殺されてしまった。父は犯人捜しに明け暮れ、母は愛娘を守れなかった罪悪感に苦み、家を飛び出してしまった。スージーは天国にたどり着く。そこは何でも願いがかなう素敵な場所で、地上にいる家族や友達を見守れる。スージーは、自分の死でバラバラになってしまった家族のことを心配しながら、やり残したことを叶えたいと願うのだった…。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作のピーター・ジャクソンとスティーブン・スピルバーグ(製作総指揮)がタッグを組み、全世界30か国以上で1000万部を売り上げたベストセラーを映画化。14歳で殺されてしまった少女が、残された家族や友人たちが立ち直っていく姿を天国から見守り続ける。『つぐない』でアカデミー賞にノミネートされた新星シアーシャ・ローナンが、語り部となる少女・スージーを好演している。被害者家族の心情を繊細に描きながら、家族の絆を描いた感動ドラマであると同時に、一人の少女の成長譚でもある。さらに、世界最高峰のVFXスタジオ・WETAが作り上げた圧巻の天国の“世界観”が見どころだ。
● おとうと 監督:山田洋次 出演:吉永小百合/笑福亭鶴瓶/蒼井優/加瀬亮
吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟を演じる家族ドラマ
早くに夫を亡くした吟子は、東京の私鉄沿線の一角で、小さな薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春を育て、義母の絹代と3人で暮らしていた。小春とエリート医師の結婚が決まり、一家は幸せの絶頂にあった。そして結婚式当日。和やかに始まった披露宴に、にわかに暗雲が―吟子の夫の13回忌で大暴れしたのを最後に、音信不通になっていた吟子の弟・鉄郎が紋付き袴で現れたのだ。
『学校』シリーズ以来、約10年ぶりとなる山田洋次監督による現代劇は、2008年に逝去した市川崑監督の『おとうと』にオマージュを捧げた作品だ。『母べえ』でも共演した吉永小百合と笑福亭鶴瓶が、再度姉弟役を演じている。女手一つで娘を育ててきた姉と、大阪で芸人にあこがれながら破天荒な暮らしを送る弟との再会と別れを描きながら、家族とは何かを問う。もちろん、笑いと涙を交えながら。思えば『幸福の黄色いハンカチ』や『息子』をはじめとする諸作で、その時代その時代の家族の姿を追い続けてきた。いつの時代も変わらない家族の姿を描く一方で、鋭く切り取る現代社会が抱える問題―「看取り」「ターミナルケア」への問題提起にも着目してほしい。
|