● プール 監督: 大森美香 出演:小林聡美/加瀬亮/伽奈
小さなプールのまわりに集まる5人の6日間の物語
大学生のさよは卒業を控え、タイ北部・チェンマイのゲストハウスで働く母・京子のもとを訪ねる。迎えに現れたのは母の仕事を手伝う市尾だった。小さなプールのあるゲストハウスには、オーナーの菊子やタイ人のビーという少年らがいて、母は楽しそうに暮らしていた。そんな母の姿を、さよはどうしても素直に受け入れることができないでいた…。
タイの古都・チェンマイを舞台に、それぞれに事情を抱えた5人の男女のほのぼのとした6日間を描いた本作は、漫画家・桜沢エリカが映画化を前提に書き下ろしたもの。小林聡美が『かもめ食堂』や『めがね』で演じたキャラクターに通じる、思慮深くてチャーミングな女性を好演している。ギターをつま弾きながら、自作の歌(「君の好きな花」)を歌っているところにも注目だ。監督・脚本は、数々のヒットドラマの脚本を手掛け、映画『ネコナデ』でその演出力が高く評価された大森美香。加瀬亮やもたいまさこなど、独特の空気感をまとう出演者たちのアンサンブルを見事に演出している。
2009年10月24日(土) |
きみがぼくを見つけた日 |
● きみがぼくを見つけた日 監督: ロベルト・シュベンケ 出演:レイチェル・マクアダムス/エリック・バナ/アーリス・ハワード
奇跡のように重なりあう瞬間がきっとある
幼い日、愛する母が運転する車で事故に遭う寸前にヘンリーは突然時空の彼方へ姿を消す。以来、過去と未来を瞬時に行き交うタイムトラベラーとなるが、その行き先は彼自身にもわからなかった。誰にも信じてもらえない秘密を抱え孤独な旅を続けるヘンリーだったが、過去に降り立ったある日、6歳の少女クレアと出会う。未来からやって来たというヘンリーの言葉を信じる彼女こそ、いつか巡りあう運命の恋人だった。
恋愛映画の醍醐味は、恋人たちの意思の力だけではどうにもならない障害にある。オードリー・ニッフェネガーの世界的ベストセラー小説を原作に、『ゴースト/ニューヨークの幻』でアカデミー賞に輝いたブルース・ジョエル・ルービンが脚本を手がけ、『フライトプラン』のロベルト・シュベンケがメガホンをとった本作で、愛しあう主人公たちの前に立ちはだかるのは、時間と空間だ。奇想天外とも思えるこの究極の障害をピュアなロマンスへと昇華させたのは、主演2人の魅力が大きい。『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムスと『ミュンヘン』のエリック・バナが、時空を超えて愛を貫き通す永遠の恋人たちを好演している。
● 私の中のあなた 監督: ニック・カサヴェテス 出演:キャメロン・ディアス/アビゲイル・ブレスリン/アレック・ボールドウィン
全米が感動の涙で包まれたベストセラーの映画化
11歳の少女アナは、白血病の姉に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた。母サラは愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。しかし、その決断にはある隠された理由があった…。
アメリカの人気作家ジョディ・ピコーの同名小説を映画化。監督は『きみに読む物語』のだニック・カサヴェテス。白血病の姉のドナーとなるべく遺伝子操作によって生まれた妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を提訴する姿を通し、家族のありかたや命の尊厳を問いかける問題作だ。初めて母親役に挑戦したキャメロン・ディアスは、衣装やメイクに関してもリアリティを追求。病気の娘のために闘う母親になりきるため、ほぼノーメイクのままでほとんどのシーンに臨んだという。両親を訴える次女役を『リトル・ミス・サンシャイン』などのアビゲイル・ブレスリンが熱演。シリアスなテーマながら、温かい視線でユーモアを交えた語り口が心地よい。
● ATOM 監督: デビッド・バワーズ 声の出演:上戸彩/役所広司
「鉄腕アトム」が3DCGになって帰ってきた!
ロボットが人間と共存する夢の空中都市メトロシティ。そこで何不自由なく幸せに暮らしていた少年トビーは、不慮の事故で命を落としてしまう。最愛の息子を亡くしたテンマ博士は、自らの手で息子をロボットとして甦らせる。しかし、生身の人間とは違っていた…。博士に疎まれ捨てられてしまったトビーは、父の元を去り、生まれて初めて地上へとやってきた。そこはまさにスラム。だが、温かい気持ちを持った旧型ロボットや、そこに住むたくましい人間たちとふれあい、トビーは“アトム”として生まれ変わり、新たな道を歩み始める。
1951年より連載、1963年から日本で初めての国産TVアニメとしてアニメ化され、いまなお絶大な人気を誇る巨匠・手塚治虫の「鉄腕アトム」。その伝説的漫画を、ハリウッドで3DCG化した。製作は、新進気鋭の会社としてドリームワークスやピクサーなどと同等の技術力を持つイマージ。声優陣は、アトムを『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモア、テンマ博士には「ナショナル・トレジャー」シリーズのニコラス・ケイジ、お茶の水博士には「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのビル・ナイなど、豪華キャストが揃っている。
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