||〜*…clover…*〜||


There are all in one.


◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆


2012年10月22日(月) Sosinholayered

「手紙を届けてくれないか」
「だが断る」
穏やかな微笑を浮かべて配達員は、断った。文字通り。
一刀両断真っ二つ。俺の渾身の力作は塵になるしかなかった。
「大体、私向きじゃないですよそれ。」
「はあそうですか…」
またこれか、またこれか。
またこれなのか。


「……っそ…」


例えこの部屋の薄くて厚いぼろ壁が、さっきの手紙と同じ末路を二千万回辿ったところで世界が壊れない限り。










大丈夫だよと彼女は云った。
だから安心して居られるよと彼女は云った。
そのくせ、手出しはさせないのだ。
だが、俺はいつか彼女を殺すだろう。
それは絶対的な確認。
それは絶対的な確信。
それ故に、彼女は手出しをさせないのだ。

まだ其処迄には至らないよと彼女は笑って窓を蹴る。
その背に翼が生えるのを俺は見ている。
墜ちて死んだらどうするのかという問いに彼女は笑って答える。
その背の翼がもげるのを俺は見ている。
虹色の敵意を撒き散らし、助けたら殺すと云いながら、前を見据えて窓を蹴る。
その背から飛沫が飛ぶのを俺は見ている。
それでもまだ、それでもまだ、殺したら殺すと呪いを吐いて、彼女は窓を蹴る。








割れた硝子を見ている。
千切れた首を見ている。
あたしのせいだと彼女は言う。
壊れたランプを見ている。
歪んだ瓦礫を見ている。
てめえのせいだと俺は思う。



本当に
本当に
殺してやりたいくらい殺したい。



あいつは本来
一挙手一投足全てが俺の物なのに。
爪の先程も
誰にも譲りたくないのに。
その気持ちがありがたいよという御託なんかいらないから

死んでしまえばいい。
死んでしまえばいい。
死んでしまえばいい。
死んでしまえばいい。
死んでしまえばいい。
死んでしまえばいい。
殺してしまいたい。
殺してしまいたい。
殺してしまいたい。
殺して仕舞いたい。

誰にも譲りたくない。
この手から譲りたくない。

譲るくらいなら
殺したい。

本末転倒過ぎて反吐が出る。



それでも
殺したい。
殺したい。
殺したい。



2012年10月19日(金) さばくのひとつゆのように


「」
「」
「」

「」
「」


「」
「」
「」



笑って泣いて
音もなく

ただ

呼吸だけが確か。


「」



2012年10月15日(月) キガフレイヤァ


彼女は窓の端に座っていた。
突き落とされるぞと言ったら、いいよと言われた。
突き落とすような奴はこの部屋には来ないから、というその言は、しかし決して信頼からくるものではないのだが。
だから、彼女が窓から落ちるときそれは俺が突き落とした時だけで、だけど彼女は其れを拒否しない。
だから、彼女が窓から落ちるときそれは不慮の事故の時だけで、だけど彼女は其れを回避しない。

落ちるつもりは毛頭なくても、落ちないための工夫は見当たらなかった。



その背にナイフを突き付ける。
彼女は其れを拒否しない。

前に崩れ落ちることも後ろに倒れこむことも出来なくなって、彼女は笑った。

このまま。



「殺そうか」
「あずゆーらいく」
「生きたいか」
「生きてほしい?」
「死にたいか」
「それでもいいよ」
ああ、でも少し疲れたな。



あたしが居なくなっても世界は回る。
其れだけなのだ。
利害の無い答えを出すのは今のところ難しい。

ただ、これは愛なのだ。
哀しい程に見返りの薄い愛なのだ。
其れでも「彼」はあたしを生かそうとし、殺そうとする。
少しでも善い答えを求めて彷徨っている。取り返しのつかないことはしたくないらしい。
だから、答えは二の次だ。

ああ、これが愛なのだ。
愛されすぎてあたしは笑う。
責任を負う覚悟なんてとっくに出来てるくせに、結果の善し悪しだけが定まらなくてこの様だ。


そんなものに答えはないのに。


何れにせよ、結果は等価値である。
だからこそ彼はあたしを生かそうとし、殺そうとする。
少しでも善い答えを求めて彷徨っている。

1mgでも良い方を択びたくて、
ああ、
なんて幸せなんだろう。


その見返りが、今のところ彼に注がれる余地はない。
あたしの其れは、概ね全て出荷されている。
あたしを生かしている以上、手に入れた外貨が彼を満たすことはない。
其れでも取り返しのつかないことはしたくないのだと答えを探し続けてる。



報いたくないわけが無い
あたしの答えは多分出てる
それなのに

ああ

でも少し疲れたな。
後悔なんかしない覚悟はついたから一思いに殺ってくれてもいいのだけれど、
彼はそれを望まない。

生かそうか、殺そうか
全力で答えを探している。

だからあたしが窓から落ちようとしても
許されないのだ。
ありがたいことに。
だからあたしが窓から降りようとしても
許されないのだ。
ありがたいことに。

選択肢を奪ってくれているのだ。
ありがたいことに。


そんなことを考えながらこの部屋にくる奴なんて、彼しか居ないのだ。
ありがたいことに。



2012年10月14日(日) おいしくない


「……おなかすいた」
「……」
「おなかすいた」
「昨日少し食ったろ」
「うん、でもおなかすいた」
「バカな奴」
「知ってる。おなかすいた」
「難儀な奴」


……。

また
探しに行かなくちゃ

無味から始まる多くの中から
選び出す。選び出す。



この手にはなにものこらないというのに。


其れでもお前の脳天には
でっかい風穴があいていて
こぼれる何かをうめるために
うめなければいけない。


味覚障害が酷いのか
贅沢なだけなのか
おいしくないおいしくない

おいしくないおいしくない



……疲れた
ひどいゆめ。



2012年10月08日(月) エクストラ


「どうしたの」
「どうもしないよ」
「ないてるの」
「ないてないよ」
「こわしたの」
「こわれてるの」
「最初から」
「最初から」
「暑いの」
「寒いよ」
「水が欲しいの」
「出来たら」
「願ったの」
「願ってしまったの」
「世界が」
「逆に回転する」
「日常は」
「非日常だよ」
「現実って」
「わからないかなあ」
「願ったの」
「願ってしまったの」
「それでも」
「私は幸せになりたいのです」
「けれどそれ以上は」
「それは異常だけれど」
「正しいの」
「正しいよ」
「間違ってるの」
「間違ってるよ」
「てるよ?」
「えーりん!」
「永遠かな」
「永遠てゐって」
「て、云っても」
「苦いかな」
「甘いんじゃない」
「毒なの」
「薬にもならない」
「永遠なんてもの」
「ないかもしれない」
「かもしれない?」
「醸して見ようか」
「かもしかも見よう」
「見よう見よう」
「妙に見よう」
「酔うよそれ」
「酔うかなあ」
「かなりね」
「どうしたの」
「どうもしないよ」
「ないてるの?」
「何もないの」
「愛があるじゃない」
「愛し輝夜」
「てるよ?」
「えーりん!」
「どうしたの」
「毒かもしれない」
「幸せが?」
「永遠が?」
「神に牙を」
「かなりバカに」
「背いたね」
「大層ね」
「愛されてるね」
「ねるねるねーるね」
「愛だよ」
「アイダホ」
「間が」
「空いたよ」
「アイン」
「ツバイン」
「グーテンシュタイン」
「壊れたの」
「最初からね」
「バカなの?」
「死ぬの?」
「死なないよ」
「ナナイ・ナナか」
「だからね」
「かなりね」
「死にそう」
「大丈夫」
「毒を盛って」
「毒を生す」
「生きた心地が」
「しませんね」
「死なないために」
「生きようか」


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葉月れい [MAIL] [HOMEPAGE]