||〜*…clover…*〜||
There are all in one.
◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆
十六夜が珍しく荒れていた。 仕方の無いことだ。 二日月の世話を一人でやらされれば誰だって、そうなる。
知っている。 人手が足りないのだ。
俺はもとより、あの三日月ですら疲れ切っている。
必然的に、ベースには満月。 ある意味ギャンブルに近い。
大丈夫ではないことくらい百も承知だ。
これは、賭けだ。
さあ決めてくれマイマスター。 このままいくのか? いけるのか? もう殺す気力も足りないんだろう?
声を聞いてくれマイマスター。 貴女の理想はどこにあるんだ。 護るものが足りないんだ。
錆付いた創造主よ 身動きがとれなくなるその前に 軋んだ歯車を働かせ
たとえ破滅への一歩でも 今止まるよりは余程良い。
聞いてくれ 届いてくれ ドアの鍵をあけてくれ
「なあ」
「もう、やめようぜ」
「……。」
「お前の責は俺が背負う」
「だから」
「もう、帰れよ」
「………どこに」
「そんなの」
「1つしかないだろ」
「空に。土に。風に。」
「………」
「道はある」
「あとは」
「………お前の覚悟だけだ」
「返事はいつでもいい」
「ただ」
「お前が望めばすぐにでも」
「…………ぃぇす」
Yes, Sir.
「すまない」
動き出した防衛本能。 二日を過ぎた細く鋭い参の月。 見えてしまえば動きだす。
俺があいつであいつが俺になったとしたらきっと全てがうまくいく。 悪いものには蓋をすればいい、それだけの話だからだ。
なぜしないのか、と、いえば
望んでいないからなのか? 嘘を吐くことに慣るからなのか?
願わくばぬくぬくとひだまりの中にいてほしい。 それは本来あいつの権利で、俺は妥協点にすぎない。
なによりもなによりも
普通であることを望んだのはあいつ 普通であることを拒んだのもあいつ
どうして、どちらかしか選べないのだろう。 こんな形で妥協してまで。
妥協点。 妥協点。
それがせいいっぱいの祝福なのか。 何に対する祝福なのか。
本来なら、こんなことしなくてもいい。 ただ笑って くだらなく生きて ひだまり。
それすら与えてやれない俺という存在の残酷さ。
自分で自分を正しく守ることすら出来ないなんて。
2011年01月01日(土) |
彼女は棒とオイルを持っている |
「当たり前。自明の理。暗黙の了解」
世の中には自知を越えた認識常識があるというのは身を持って知っていても、理解しがたいことはある。 目の前の人間は原稿用紙一行にも満たない説明を終えるとチップスをガリガリと齧った。 ふぃっしゅ、あんど、ちっぷす。ふぃっしゅは既に行方不明。 The 油ギッシュ魚心。胃のなかでも泳げる強靱な肉体。水心どこ行った?俺は胃が痛い。
何が当然なのだ。何も当然ではない。 それは現象ではないぜ?なあ。
「おm「うっさい」
言葉は手の甲を貫いて壁に突き刺さった様だった。 舞散する霧のように。揺らぐ。 嗚呼、陽炎よりも疑う目は悲鳴より尚、軋むのだ。
「……それが当たり前。」
「……………………………………っぇ………」
ぬめった油でギトギトな胃壁を想像して、俺は、吐いた。
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