Stage Diary
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Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2004年05月30日(日) 『オイディプス王』

2度目の『オイディプス王』…。
ギリシャでは野外公演は2時間を越えちゃいけないものなんだと教えてもらった。
だから本作品も休憩なしで2時間以内に収めたのだと…。
でも、観客的には日本では休憩入れてくれた方が嬉しかったな…。<休憩は観客の為にあるのではありません。(^^;
もう、上演中は膝が痛くて終演後に席を立った時にはがっくんがっくんなってたので…まっすぐに歩けなーい!
もうちょっと足が伸ばせる劇場だったらそういうこともなかったんだろうけど…。(;;)
無様に転ぶことは避けましたが、か〜な〜り〜危なかったです。

内容自体は大当たりか大はずれかどっちかの評価しかつかないらしい(笑)蜷川さんが『演出を変えた』と嬉しそうに語ってただけあって、随分と違うものになってました。
まあ、この舞台は前回も当りだと思ってましたからね。その点の心配はしてなかったですが。
どういう変わりかただったかといえば…前回のが耽美〜な印象。
しかし、今回のがメリハリついてて無駄なものが殺ぎ落とされたようなシャープな印象。
まあ、そのせいで前半はダイジェストチックに感じちゃう物足りなさもあるけれど…。(これって2時間という制約上、時間との闘いだったんでしょうか)
ふと、思い出した時に浮かぶのは前回公演のシーンもあるけれど、全体的には今回のが好きかもしれない。

セットに関しては…石造りの館を模した壁と短い階段…蜷川さんの舞台の割には随分と具体的なセットだと思いました。まあ、大体が王の館の前でといった風情で話が進むので、金網やら有刺鉄線やら…鏡やら…それらに比べればその意匠を読み取るまでもないのですが…あとは階段のところに生えてる?突き刺さってる?…黒い植物のような…ハヤニエのようなものは…以前にも見たような気がするって思うのは私の気のせいでしょうか?(^^;
『マクベス』の時だったかな…?に、あんなの使ってなかったかな〜なんて思うのですが。
使いまわし…?リサイクル…?まあ、1回の舞台でお払い箱にしちゃうようなもったいないやり方はするべきじゃないと思ってますが…それならば曲も前回の物がよかったな…。
東儀さんの曲だから、それほどテイストに変わることはないけど、あの『ハムレット』の時に聞いたあの曲だけは気に入ってたのでをもう一度聞きたかった。<今回、音楽はあちこちメロディライン違いましたよねー?(…誰が答えてくれるというのか。(^^;)

で、俳優さんたちに関してどうだったかといえば…1週間先に観た人から『コロス達の声が揃ってない』と聞いていたものの、予想してたよりも揃っていたように思ったのでまず一安心。<でも、先週は東儀さんが舞だったんだよね〜(;;)果たして、どっちがよかったのか…
その1週間の間にめきめきよくなっていったのでしょうか。しかし、それでも時々ばらつきが見られました。前回公演の時の方が『一糸乱れぬ』と形容するのが相応しいと思うほど、声が揃っていただけに…もうちょい強調性を大切にしてほしいです。決まってずれてるのはいつも同じ人だったけれど、演出家はそれを許しているのか…?それとも、ことあるごとに注意して直らないと凹にしているのか…?<気になります(^^;
『だ〜れが乱してる〜のか〜なぁ〜!』とはあえて追求しないけれども。(^^)
そして、もう一つ乱れていたもの…前回公演に続いて、またしてもコロス達は笙を吹きます。(本当は『奏でる』と使わなきゃいけないのかもしれないけど…『奏でる』といえるだけのレベルではないと付け加えさせてください。やはり、付け焼刃じゃどうしようもないことの方が多いんだよ…(;_;))やっぱり今回もいました。『ぷわぁ〜ん』って音を出してる人!(笑)前回公演のときのように通路脇を通って行ったりはしないので、それほど顕著にわかるわけではないのですが、それでも…大体の人が『ファーン』って音を出してる中に『ぷわぁ〜ん』(笑)。
笑うところじゃないと思う…けど、どうしても洩れる笑いをうまく噛み殺すことが出来ない。
まあ、個人的にはある意味ちゃんとした音ばかりが出てるよりも外れた音があった方が微笑ましくて好きなんだけど…お金を取って人に見せるからにはそれじゃマズイよね。
今回のキャストは気合が入った、蜷川さんの舞台によく出てる人ばかりなのだから…気心も知れてるはず…!と信じてますので、精進お願いします。
この舞台が成功するか、失敗するかは主役が問題ではありません。その評価は総てコロス達にかかってます…と思いました。主役はチェンジしてもそこそこのクオリティを保つことができると思うが、コロスがへたれたら…この芝居は死ぬ!
びたーんびたーんと身体を舞台に打ちつけるように倒れ伏す最初のシーンやら(多分、このシーンは身体をかばって倒れようものなら演出家に凹にされてたんではないかと思います)、一番身体張って演技をしているのもコロス、物語をピシッと引き締めるのも…コロスの出来如何。…大変な役だ。(^^;
舞台は麻実さんの他はむさくるしいおじさんばかりなので、主役は目の保養でさえあればいい(笑)。<お子様達も出てましたけどね〜(^^;
でも、コロス達はそうはいかない…。皆、同じ坊主頭に同じ衣装だからこそ、僅かでも乱れちゃなんねぇ!
だからこそ、この役には蜷川舞台で場数を踏んだ人が多いのだろう。

それから、コロス×20、羊飼い×2にクレオン、盲目の預言者とその手を引く少年、長老(?)<瑳川さん、オイディプスの娘達を除けば…舞台上に華が、潤いが欠けるものだからはじまってからず〜っとずぅ〜っと『麻実さん早く出ないかなー』とそればかり。登場されるまでが本当に長く感じました。
登場した時は本当に潤い(笑)。そして舞台から消えたときにはがっかり…(;;)
やはり、幾つになっても(苦笑)美人だ。麻実さんは…どうしても『蜘蛛女のKiss』の時のあの美脚が忘れられない。そういう趣味があるわけじゃないけど、女の目から見ても綺麗な足をしてらしたのです…って、多分麻実さんを観る度に毎回こう言ってる気がしますが。(^^;
本当に美しいですから、まだ観たことのない方はぜひ、どこかでご覧になってください!
本当は、もう一度あの『蜘蛛女のKiss』が観れたら言うことはないのでしょうが…。<私が観劇した時に『日本最終公演』って銘打たれてました。だからこそ、『これはいかん』と思って観に行ったのですが。

そんな麻実さんですが、この方に関して言えば前回のが好きだった。
今回も相変わらずお美しいのですが、でも、母性と女性を微妙に行き来するあの曖昧さがなかった。
今回の王妃像は『母は強し!』そんな感じです。
そして、オイディプスといる時は完全に女であり、母ではない。
母と女の二極を瞬時に行き来はすれども、アプローチがはっきりしすぎて観客が想像をめぐらせる余地はなし。
そして、王様よりも男前…。(^^;
再演の分だけ共演者と気安さがある分、1シーズンを経て王妃像に自信がついた分、はっきりとしたビジョンを打ち出しすぎて、うまい効果を得られていた惑う部分すら殺ぎ落としてしまったようにも思えた。あの、共演者との関係を手探りするような曖昧な空気が懐かしい…いや、惜しいと思う今日この頃です。
そんなだったからオイディプスの出生が明かされていき、取り乱すシーンが急に顔が変わるから、それが唐突過ぎて…戸惑う…(―_―;

それから、王妃の弟っていうには麻実さんが綺麗過ぎて…自身がおじさん過ぎて考えさせられるものがあるクレオン…吉田さん。
やはり、この方はクローディアスのような悪役よりもこういったまっすぐで腹芸の出来ない不器用な…だけど情の厚い人間を演じる方が似合っているようにも思う。
この方は概ね以前の印象のままでやられているな…と思ってたんですが、やられた…。
(―_―;
後半が全然違う!
この方の場合は前回のようにあからさまにオイディプスへの情を表わしてるわけではなく、今回は悲劇に背を向けてたりして、ふれあいも少なくさり気ないやり取りでしたが、それだけに『オイディプスが痛ましくて見てられない』とでもいうような深い気持ちが伝わってきました。
背中を向けているからといっても冷たいわけじゃない、情があるからこそ、その姿を正視できなかったのだ…何もしないで、背中だけで…僅かに掴んだ手だけでその思いを表現してしまう…とてもいいものが見られました。
かっこよくはないけど(笑)すごい人だ…と思っていたけれど、ますますその認識は強まりました。

う〜ん、最後は王様、萬斎さん…。
やはり、声は届いてはいるものの、声帯の弱さが気になる。出演者の中で一番喉が鍛えられてないのが王様…。この日はアルコール焼けの声ではなかったけれども(←よくあるそうで・笑)、やはり喉が弱そう。
高音はともかく、低温で音が割れてる。元々がああいう声質なのだから、もう少し日頃から喉を労わった方がいいと思う。
しかし、そんなことはどうでもよく!(笑)
相変わらずマイペースでカチッとしたストレートプレイの中で一人だけ狂言調。
上手いとは思わないけど、無視もできない得体の知れなさ…。(^^;
『オイディプス』や『ハムレット』に狂言…今まで何度か観たけれど、それでもよくわからない役者さんだ。
技術レベルよりでどうこうよりも…雰囲気作りが上手いのかな…。
まあ、技術だけならいくらでも上手い人はあげられるけど、それに+αの魅力がある役者さんはぐ〜んと少なくなるから。
技術は演出家やスタッフが寄ってたかって身につけさせることができるけど、それに+αのエッセンスが加えられるかは自分でどうにかしないとどうにもならないことだと思うから。
この人の場合はそれが上手いから、藤原ハムレットを観に行ったはずなのに、『くるくるあるかな…』なんて期待するほど、印象は強い。(ハムレットの時のあれは強烈でした…未だによく思い出すほど。そして、新婚ちゃんなどをからかう時には必ずその話を出すが、誰もやってくれない(^^;)
これで声がよくて演技が上手かったらやば〜いくらいにはまっていたかもしれないけど、そうならなくてよかった…。

ま、今回もそんなカンジで文句つけてますが、いい舞台でしたよ。
また蜷川さんの舞台観に行こうと思うほどには…!

しかし、次回は『お気に召すまま』なんだよね…。(;;)
題材も好きで、ビジュアルが美味しそうで、出演者が面白そうで…とは思うものの、その主役達は…ルックスと立ち姿だけが取り得のフォーティンブラスとこれまた芝居ができない前フォーティンブラス。
両方とも学芸会レベルでしかないから、どんなに脇をしっかりした人で固めたとしても、観に行こうとは思えない…。
気分が萎える。
蜷川さんが2〜3年かけてみっちりと脇役からやらせて育ててくれるのならそのキャストでも5年後くらいには観たいけどねー。今じゃ…(^^;
ビジュアルだけは美味しいと思うのに、残念…。
まあ、名古屋公演があって、しかもチケット代が7000円くらいなら考えなくもないけど…きっと、無理だよね。

こっちはきっとはずれ舞台だからいいや〜(笑)。



2004年05月04日(火) 『エリザベート』

GW合宿の〆はやはり、エリ〜ザベ〜ト!(笑)。
今シーズンは3月の観劇がアレでしたので、イマイチ気分は盛り上がらないのですが…それでも、曲は大好きです。
そして、あの方の歌声…。
まあ、その為に。(^^;

今回はファンクラブ席なので、コアなファンばかりが集まるお席でした(笑)。
リピーターばかりなので皆さん拍手のタイミングも弁えていらっしゃるし、手拍子が揃ってる(笑)。
2000人近い人が集う帝劇で数人の知り合いに会い、周囲を見渡してみれば…何処かで見たことあるような人が多かった。
やはり、GWだから民族大移動…。<自分も含めてムジナーズ
しかし、劇場の係員のお姉さんに何かを見つけたような顔で『こんにちは』って挨拶されるのは居たたまれないです。(。。;もしかして、覚えられているんですか…?
そ、そんなに行ってるわけではないと思うんだけど…やはり、特徴は大荷物だから?

で、2ヶ月ぶりのかの舞台は…やはり、初っ端の頃と比べちゃいけません。
がっちがちだったルドルフ君もそれなりになってきている。
しかし…やはり、歌うのと動くのに精一杯でそれだけに留まってる感じ。
いまだに舞台のバミってある箇所を確認して動いてましたよ。
もうちょっと+αのエッセンスと舞台で遊ぶことを覚えて欲しい。
まあ、タキシード仮面だった頃よりはいいんじゃないかと思うけど。

綜馬さぁ〜ん!…って叫びたいほど、あのお声が聞きたかったです。
やはり、このかたのフランツ・ヨーゼフの方が舞台が締まる。
『Boote in der Nacht』は他の人では聴きたくないほど好きな曲。
もう、別格扱いのあの方を除けば(笑)あの伸びやかな声がすごく好きなんだけど…コンサートも行けないし、『港町十三番地』も観に行けない寂しい夏になりそうです…。<しょぼしょぼ〜ん
相変わらず、冒頭の亡霊たちの登場で赤いライトに照らされてるのに、青白く光る瞳も素敵でしたが、久しぶりに観るとやはり、すっきりとしたその姿勢がいい!
最近は、舞台人でも一般人と変わらない姿勢の人が多いから…イマイチ舞台栄えしないと思うのです。

一路さんは…一路さんは…今回、すごいものを観てしまいました。
フランツ・ヨーゼフと姉のお見合いについていった場面でケーキの飾りのイチゴを落としてそれを給仕に取り上げられてしまうのですが…その時の恨めしそうな眼が…眼が…うちで飼ってた犬と同じ!(笑)
悪いことした訳ではないのに、こちらが酷いことをしている気にさせられてしまうあの眼…!
なかなか表現できるものではありません。
宝塚の女優さんたちって声が細すぎたり、演技が大袈裟すぎたりであまり好きな人も上手いと思う人もいないのですが…一路さんはその中でダントツ?(^^;
こういう細かなところまで感心させられてしまう人って少ないです。
それに16歳から50歳までの年齢の変遷が声とかでちゃんと出ているところがすごい。
若い時には高めの声で、歳を重ねるごとに段々低く…しかも、ごく自然にそれが為されるから、舞台という特殊な空間だということを除いても違和感ないです。

ただ、どうしても惜しいと思うのが…スライドなどでエリザベートの絵葉書を使ってる場面もありますが、これを一路さんの写真でやってくれたらな…と思う。
そういう拘りは『契約』がネックですか?

そして、やはりブランコから落ちるシーンは以前のものを推奨。

今シーズンにはいろいろと愚痴があるけれど、特にあの背景は萎える。
…などと思っていたら、やはり同じように思う人は多いらしい。
旧ヴァージョンに帰ってー!!
名古屋でもこれが続くかと思ったら…チケットは既に確保してある分あるけど、以前のような渇望する程観たいとは思えない。
ただ、あの方の歌声は心になくてはならない栄養なので、観に行きますが…今までより優先順位は下がるかも。

そして、今シーズン初めての山口トート閣下。
この為だけに民族大移動に乗っかりました(笑)…と答えても、強ち間違いではない。
そして、そう思う人も多いはず。
だが、その反面、それを『婆ぁ転がし』と呼ぶ口の悪い人もいるので…今年はあまり観に行かないでおこうと無駄な足掻きをしてみたり(笑)。<そういう抵抗を試みるあたり、自分にも老化の波がきてますな。
本日のトート閣下は何だか淡々と演じておられました。
共演者の方の感情の波がどうであろうとも引き摺られることなくマイペースに淡々。
綜馬さんといい、祐一郎さんといい、こういうところは大物なのですよ。
プロとして素晴らしいとは思います。
これで演技やダンスも素晴らしかったら無敵だったんでしょうけど、そういう欠けたところがあるからこそ、可能性を期待してこんなに夢中になってしまうのかもしれない。

相変わらずバズーカは健在で、ルドルフ君との声量の違いがありあり。
幕間に『もうちょっと手加減してあげればいいのに…』なんて言ってらっしゃる方もいらっしゃいましたが…寄る年波のせいなのか(失礼)、昔ほどじゃないですよ?
四季時代はもっと勢いがあって、またそれを気持ちよさそうに音を伸ばしてました。
その証拠に、綜馬さんとの掛け合いの時は容赦ないっていう表現がぴったりなくらい出してたりすることもあります。
せっかくの実力があっても一人だけ暴走するわけにはいかないのが舞台ってところですものね。
だからよくインタビューなんかで仰ってますよね…『舞台は総合芸術だから』って。
…とはいえ、昔に聴いたあのバズーカを懐かしくも思います。
コンサートとかディナーショーとかやって〜!!(>д<)

そして、最後に一番楽しいカーテンコール。
この時の役者さんたちの顔が一番好き。
別段、好きな役者さんではなくても、この時に全開の笑顔で目が合ったりするとすごく嬉しい。
そして、この日も3回目に幕が上がったときに我慢しきれずにスタンディングオベーションしてきました。(^^;
この日の舞台の出来は祐一郎さんだけでなく、どの人も淡々と役をこなしていたので、スタンディングするほどの盛り上がりには欠けたのですが、カーテンコールであの笑顔を見ていたら…我慢できませんでした。
1回目、2回目は心の中で『出来がね…するほどじゃないから』なんてうずうずする身体を押さえ込んでいましたが、3回目…『我慢できるかーっ!』ってばかりに立ってしまいました。
そういう方…私だけじゃなかったようです。<ほっ(^^;
舞台の出来はそこそこでも、ああいう笑顔にはスタンディングで応えたかったんですー!

カメラとかで撮影してる無粋な人を見かけると邪魔したくなりますが、あの笑顔を残しておきたい気持ちはわかる。
でも、それは舞台に対する最大のマナー違反だと思うので、私はやりません。
記憶の中に刻み付けておくだけにしてます。
最近は、眼鏡に小型カメラがついてる人もいたりして、とってもいや〜な気持ちになります。

東宝もちゃんとこういう機器のことをリサーチして、こういう無粋な人を積極的に取り締まってくれればいいのに。
まあ、少数の盗人を取り締まるより、大勢の善良な人の邪魔をしないことのが大切なんだろうけど。



2004年05月03日(月) 『キャンディード』

GW合宿2本目は『キャンディード』。
ヴォルテール作のミュージカル化なので、テーマとか随所に哲学的なものが見えますが、それを面白おかしくみせてくれるので、ちっとも難しくはない作品。
前回は石井さんがキャンディードを、マクシミリアンを岡さんが演じてらしたので観に行きましたが、今回は中川君がキャンディードだってんで迷いました。

Q. 中川君の何がイヤか?
A. Pops的歌い方と鼻の高さ(笑)

…っていうのは冗談としても、『Mozart!』の時は井上君に終始して大千秋楽(笑)の時しか観てないので、実質的にはこれが『初めて』になるから…ちょっと心配でした。
それに亜門演出に懐疑的になってたというのもあります。
でもそれでも申し込んでしまいましたが…やっぱり、中川君は幾つかの舞台を経て、舞台的立ち居振舞いには慣れたように思うけど、それでもやはりまだ喉だけで歌っていた。

で、その結果は…小粒。
なんか、キャンディードもグネゴンデも幼い。
何となく、子供のあらいぐまがじゃれてるっぽい光景に見えた。<特にグネゴンデがあらいぐまっぽい
その分、無邪気なところは本当に可愛らしく映るのですが、終幕までそれが続くので、舞台が薄っぺらい。
キャンディードの成長の物語なのに、キャンディードが家庭教師の楽天主義から何を学び取り、他の哲学者とであって何を思い、何を悟ったのか…というのが希薄でした。

ある意味、前回観たキャストが悪いよね。
石井さん…あまり好きじゃないけど、気まずい思い出もあるから、敬遠したいけど…石井さんのキャンディードは成長の度合いが場によって感じられた。

前回との顕著な違いをあげるなら衣装。
石井キャンディードは白。中川キャンディードはベージュ。
それはただ単に色が違うということだけじゃなく、内面的な二人のテイストの違いも表現されていたのだろうと思う。
そういう意味においては色を分けたのはGood。
喉だけで歌うのを脱却できれば、もっとよくなる子なのになぁ…と思う。
前回は歌いかたの違いから『ミュージカルVSオペラ』のように感じたけれど、今回は『POPS VS オペラ』でした。
プログラムの中で郡さんと岡さんは『違いなんてない』みたいなことを仰ってたけど、やはり、ブレスひとつ取ったって違いはあるのです。
でも、ロクに知りもしないくせに小難しい評論家の意見を鵜呑みにして差別したりはしません。
歌詞が聞き取りやすいかとか、音がどれだけ綺麗に伸びるかとか、理論ではなく自分の耳で感じたこと…それが私が区別する理由です。
上手い下手とか、よく音を外すとか…もね。(^^)

ただ、私はもし可能ならば新納さんがキャンディードをやったら面白かったんじゃないだろうかと思った。
ある意味、新納さんのキャラは、蝶よ花よと育てられて毒も刺も撒き散らしてるマクシミリアンにはぴったりだといえるかもしれないけど、そういう人がキャンディードをやっても面白かったのではないかと思う。
中川君は致命的な不可もないけど…イマイチ見応えのない子だったので、もう少し、アクの強さを見習うというか、分けてもらえっていうか…キャンディードと一緒に成長して欲しいと思う。

あと、狂言回しのヴォルテールを辰巳さんが演じてらしたのですが…四角いです。
語るのに一生懸命で、それに終始してしまって、ヴォルテールの語りを面白いとは思えない。
まあ、これからまた変わっていくのかもしれないけど…。
ああいう弾丸的喋りは普段のんびりと優雅に話す人より、上川さん的な『僅かな間さえも黙ってられない』っていうキャラクターを持ってる人のがあってるかもしれません。

同様にオールドレディも。
この人こそ、前回とは比べてはいけないだろうことはわかっている。
しかし!中島啓江さんのあの面白さを体験したあとでは、オールドレディももっと身体いっぱいに笑いを表現して欲しかった。
お尻が片方ないエピソードだったらそれだけでもっと笑えるはずなのに、くすっとしか笑えない。(;;)
オペラ畑の人にしては演技が達者だと思う。
そして、歌もそんなに高音をだす役じゃないけれど、音の伸びが綺麗。

でも…そこまで。

笑いに関してはもっと自分を捨て去って欲しかった。

あとはグネゴンデ…可愛いけど、お兄さんのが明らかに美人(笑)。
前回のが美人度は上だけど、今回のが台詞が聞き取りやすかった。
どちらがいいかと聞かれたなら…知り合いではないとはいえ、Web日記で誰の目にとまるかわからない以上、どれだけ毒を吐いていたとしてもこれ以上のことは言いづらいので、舞台にはロマンを求めますとだけ答えておきます。<結局言ってるようなもの…(^^;

あと、気になったのが会場の特性なのか、今回のプランなのか…何だか舞台が狭く感じた。
セットは以前と同じものなので、違うものは会場。セットがどうこう…じゃなくて舞台袖とセットの距離が狭く感じたのです。
端的に感覚だけで言わせて貰えば、『額縁が小さくなった』感じ。
これは、私の主観ですが、本当に主観だけなんだろうか…。



2004年05月02日(日) 『燃えよ剣』

『燃えよ剣』…司馬さんの小説が舞台になりました…ってことで、あの某局のへたれた新撰組のイメージを払拭しようと観に行ってきました。
それと、年末の『SHIROH』を行こうかどうしようか迷ってて…その偵察(笑)も兼ねてというのもあります。
『太陽まであと一歩』やTVだけじゃ、上川さんを判断できないと思って。
上川さんじゃなくて他のキャラメルボックスの方ならこんな手順を踏むまでもなく観に行こうと思ったかもしれないけど…。

でも『SHIROH』はロック・ミュージカルと銘打ってるといえども、多分…この方は歌えない人という気がします。喋りは『ちょっとは静かにしてろよ!』って思うくらいに喋ると思うんですけど…あの喉は歌には向いてない。
ま、歌える方の四郎は中川君がやるだろうからいいのか…。(。_。;

で、『燃えよ剣』はどうだったかといえば、吃驚しました。
明治座で時代劇…とくれば年齢層は高めかと思っていたのですが、若いお嬢さんの姿も多かったので、『上川さんや葛山さん目当てか…?』って思ってたんですが、違う…。(><;;;
幕間のロビーでもれ聞こえてきていた話からすると若いお嬢さん方のほうが新撰組についてマニアックな話をしてて(当然、司馬さんの小説について『あの場面はこう…台詞は…』なんて、細かく語ってました)、年配のお姉さん達(笑)の方が『上川さんが…!』なんて語尾にハートが飛ぶような勢いで語ってました。
まさか、そんな現象がおこっているとは予想もしてませんでした。(^^;

あと、もうひとつ驚いたことは…『演出・ラサール石井』!
あんた、こんなとこで何してんのー!(°д°;…って思わずにはいられない。
芸能人は多彩な人が多いけど、『こち亀』舞台の演出も手がけていたのは知っていたけど…こんなものまでやっているとは…。
まあ、その所為で面白くなかったとはいいませんが、やはり、コメディアンの血の所為なのか(笑)、コメディ色が強かった。そういうのも嫌いじゃないし、必要だとも思っているけど…シリアスなところはもっとシリアスに、コメディはその邪魔をしない程度にして欲しかった。
いっそ、コメディにするならもっと徹底した方がよかったと思う。

ま、そんなことしてしまったら上記のマニアックなお嬢さん達からクレームがくるんだろうけど。(^^;
でも、源さんなんかのキャラクターを魅せるということに関してはとても楽しめて大好きでした。

惜しむべきはあの話が全くのダイジェストになっちゃってて、それはある程度の時間の制約上しょうがないことなんですが、ただ…ダイジェストにするならするでもう少しやり方があったと思うのです。
新撰組を語るのに、土方さんを軸としているのはわかる。
でも、総司のことも近藤さんのこともあれこれ詰め込みたい…詰め込まなきゃ新撰組じゃないだろう!っていう欲が垣間見えて、あちこちに視点が飛ぶものだから話の筋立てがイマイチわかりにくかった。
そして無理矢理に日本人好みの大団円に持っていこうとするからより馬鹿臭くなっていた。
ああいう終わり方じゃなくて土方さんの心象風景として新撰組の面々を登場させてエンディングとした方がよかったのではないだろうかと思わずにはいられない。
また、あの内容なら無駄なエピソードと動きを省いてしまえばもう少し短くなったのに…とも思う。
16時に開演して終了が20時15分っていうのは長すぎー!(><)<3幕で間に30分25分の休憩はありましたが
休憩はお客様のためのものじゃないということはわかっているつもりだけど、だらだらとした冗長なだれてる部分があるのなら、その分はきっちりと短くしてくれた方が親切というものです。
短くなったからって『チケット代返せ』とはいいません。土方さんに上川さん、近藤さんに風間杜夫さん、沖田総司に葛山さん、山南さんに羽場裕一さんなどがいて、尚且つ脇役の方たちが巧かったですから。
メインの方のがへなちょこに感じるくらいでした。<誰とは言えません。命が惜しいですから。
むしろ、『チケット代を高くするために上演時間を長くして客にしょうがないと思わせてるのか』っていうのを勘ぐっちゃいますよ?<あああ…命が惜しいといいつつ、喧嘩売ってますか?(>_<;

私は駄々をこねる土方というものを初めて観た気がするが…歳さんてかっこいいだけじゃなかったんだぁ…と再発見。
そういう人間臭い部分も嫌いではないけれど、所々泣いていいですか…?(;;)
まあ、演技面で言えば、脇がしっかりしてなければ途中で退出していました。
新撰組の割には殺陣が少なかった気もしないでもないですが、巧かったです。
脇の方々…。
多分、舞台の上でしか生きられない方ばかりだと思いますが、演技に関しては何の個性もないから大部屋から抜け出るのは難しそうと思うけど…(^^;…その分、殺陣には凄みがあった。
メインの方も頑張ってましたが…長年培ったものと付け焼刃じゃありありと重さが違う。
演技の巧さだけじゃ、カバーできない技がそこにはありました。
投げ飛ばされるのひとつ取ったって巧い下手がありありとわかるんです。

それから、この舞台の一番のお気に入りは舞台装置!
大まかな装置は回転舞台だったのですが、その内側から場に応じて座敷が上がってきたり、道場になったり、京都の町屋が現れたり!
素晴らしかったです。
あの京都の風情が随所に感じられて、下手なTVのセットよりも何倍も情緒がある。
秀逸な舞台装置はどなたが手がけたのかと思ったら…堀尾幸男さん。
納得しました。
時代劇で場面転換が多い割にはスムーズだったので、観る分には非常に楽しめましたが、多分、舞台の下では戦場よりも慌ただしい光景が広げられていたかと思うと、表には出てこないスタッフの方に頭が下がる思いです。
なので、カーテンコールの拍手は役者さんだけでなく、スタッフの方にも向けるつもりで拍手してました。
最近は数を観てるけど、こういう部分を忘れがちだったように思います。
ごてごてした装飾ばかり見させられて秀逸な舞台装置が少ないってのもありましたが。(^^;

偵察の為だからとケチった3階席での観劇だったので、花道の様子が全く観えずにつまらなく思った部分もありましたが、今度は名古屋でやってくれるならもう一度くらいはあの殺陣と町屋を(笑)、観てみたいかな…。


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