夫は、根負けして、スラリンになってしまった。
いや、もう、「しかし、回り込まれてしまった！」「逃げられない！」に、堪えきれなくなってしまったらしい。
「いや、もう、断るのに疲れた。あいつの顔を立てるだけだし、絶対馬車から出ないから」
と、まだスラキチになれない私に言う。
それもまたよし。……と、理性で許そう。
私は、はぐれメタルへの道を模索しよう。
まずはメタルスライムの防御力だな……

しかし、はぐれメタルという存在が、ＬＶ１のスライムが、経験値を積み、スライムべスになり、あるものはメタルキングに、またあるものはメタルスライムからはぐれメタルへの道を自ら選ぶのではなく、はぐれメタルは、生まれたときから仔はぐれメタルであり、スライムは仔スライムでしかないのであれば……
いや、過去にはホイミスライムが人間になった例もあったではないか。
その後、ライアンと再会できたのだろうか。いや、これはどうでもいい。いいけど気になる。
とにかく、すばやさと、みのまもりを上げねば。






宗教なんか嫌いだ。
……訂正。宗教を強引に進めて来る奴が大嫌いだ

宿敵がやってきた。
友人経由で、夫の入院とか、自宅療養とか、私の喘息とかを聞いたらしい。
私の症状まで、友人に漏らした夫の口を捻り上げておいた。

で、その宿敵は、無碍に扱えない立場の方なのだが……
またしても、痛み分け。
相手のステータス

ＨＰ　１０
ＭＰ　９９９９

装備　よろい　　　みかわしのローブ
　　　ぶき　　　　もろはのつるぎ
　　　あくせさり　ふっかつのゆびわ　

攻撃力はないが、防御は最強、おぼえたじゅもんは、「ザオリク」「ラリホー」のみ。

あーもー、別に、世界を滅ぼそうとしているわけじゃないんだから、スライム二匹でしかない我々夫婦は見逃してくれ。

数年前から宿敵と看做し、相手もそうであると思われる相手と、遂に電話対決。
結論は、とりあえず、痛み分け……だが、しかし、口論の最中に、涙声になったことだけは屈辱の極みだ。
直接対決の機会も増える見通しなのに、こんなんで大丈夫か、私。