紅い猫の落とす影
生きた記録|夕方|明け方
泣いた
何が嫌だったのか
何が悲しかったのか
よくわからない
ただ
莫大な怒りと悲しみと興奮に支配され
何かを壊したくなり
傷つけたくなった
溢れそうな欲求を
小さな理性で押さえつけた
荒々しく動く肺を
何とか落ち着かせ
ただ何も考えず
目を瞑り
耳を塞ぐ
ほんの数分のこと
頭がズキズキするほどの興奮も
すっとなくなり
涙がとまる
今のは夢?
鏡を覗くと目の赤い自分の姿
自分のことなのに
自分のことじゃないようだった
まるで誰かのかわりに
怒り
悲しんだようだった
傀儡
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