両手を広げて考える

あなたが好きなの
あなたに触れたいの
あなたを抱きしめたいの
あなたが欲しいの

全部伝えたいけど
あなたの返事は聞きたくない

だから

両手を広げて待っている
何でもないような笑顔をつけて

あなたから
罠にかかってくれる
素敵な日を

いつも

背中に突き刺さる
細く鋭くか細い声を
聴こえないふりをすることで
僕は明日と折り合いをつけた

今も

僕の背には無数の傷があるが
癒されることも
膿むこともない
全てが凍りつき沈んでいったから

君の時も
僕の時も

止まった世界
僕らはここで生きていくはずだった
君は誰より幸せになってほしかった
君の幸せな未来には
僕の姿は浮かばなかった
それでいいはずだった

空と海に隔てられた
僕らの距離はもう広がることはない

君の声はもう聴こえないのに
癒されぬ膿まぬ傷ばかりが
僕を切れ切れに責め続ける

あなたにとって
当たり前にできることが
わたしにとっては
逆立ちしてもできないことで

あなたとわたしの違いを
まざまざと思い知らされる

全部同じがいいわけじゃないけど
遠く隔たるには
あまりに愛しい人だから

連れて行ってと差し出した
わたしの空の手に

あなたは笑って
なんでもできるその手を重ねた