宵待ちの君に
月の姿も知らず
幻に泣く君よ
グラスは
満ちては空になって
虚無を照らしだす
ピアノの音色も
心を動かしはしない
幻など追いかけても
満ちたりた想いなど
手に入れることはできないさ
煙草
哀しい酔いが指先にまで
微かに洩れる吐息よ
窓から射す月明かりが
この想いを愛に似せてくれる
心などいらない
傍らの煙草だけでいい
そうだろう?
どんなに募っても
愛にはならない想いなら
見つめる瞳
もう叶わぬ想いを
あなたに
一途さは罪
夜毎
あなたの名前を
口にだしても
寂しいだけ
愛などいらない
ただ
あなたが欲しい
忠告
気をつけた方が
いいよ
愛の前に
天秤だから
略奪
奪ってやるさ
身体ごと
君が
望むなら
愛咬
いとおしさに
泣きだしてしまいそう
雨音に消えた声
ベッドサイドに光る指輪
重ねた唇も涙の味
帰っていく背中を
見つめても
想いが消えない
くちづけ
ためらいのくちづけは
愛の終わりのはじまり
時計
泣かれても
重荷なだけ
涙は
想いをつなぎとめはしないさ
分かっているだろう
君も
刹那
愛するあなたの
薬指の光が哀しいわ
想いは届かず
彷徨ったままで
誠意のない接吻-くちづけ-でいい
愛のない抱擁でも
せめて
ひととき
ともに過ごせるのなら