よく晴れた。
小樽から札幌へ向かい 北郷にあるスープカレー屋であるところのベスで 昼食をとる。 スープカレーはほんと旨い。 毎日食べてもいいくらいだ。
札幌発祥らしいが 知名度も段々と全国的になり 最近ではコンビニでも売られるようになってきた。 しかしやはり札幌で食べるのが一番うまい。
それから一路、私の実家へと向かう。 おいしいご飯を食べてすっかり満足した彼女は まもなくあっさりと夢の世界へと旅立った。
「寝ちゃ悪いと思ってたんだけど・・・」
とのコメントだったが 座席を思い切り後ろに倒し、タオルケットに包まっている様子は どう見ても本気で寝に入っていた。
実家に到着し、清掃に出していた車を取りに両親と共におでかけ。 父は彼女の前で豪気なところを見せたかったのか なぜか私にタイヤを買ってくれたのでびっくり。 もうけた。
その後、4人でゲーセンなどに寄る。 何を隠そう私の両親はコインゲームの達人だ。 二人合わせて数千枚のコインを常にストックしている。 それらを存分に使い、4人で楽しく遊んだ。 両親と会うのも3回目であり しかも今回は遊びながらというシチュエーションだったので 彼女もかなり慣れてきたようで楽しんでいたようだった。
その日は札幌に帰る予定だったが 両親が残念そうな顔をしていると 彼女が泊まって行くことを提案。
のんびりと実家の周りを散歩したり 両親が山で採ってきたタラの芽のテンプラなどをおいしく食したり ゆっくりと過ごしたのだった。
文字通り北海道に上陸したのだった。
車で苫小牧からまずは札幌へ向かう。 ススキノの駐車場に車をとめ あてもなくプラプラと札幌市街を徘徊する。
途中、寒くなってきたので地下街に入り 東西南北に縦横無尽に走る 地下通路を端から端まで歩いてみたり ベンチで休憩したり 本屋で立ち読みしたり まるであたかも札幌市民であるかのような 優雅な午後を過ごした。
ちょうど花屋の前を通った時 大きさも値段も手ごろでかわいいブーケがあったので 彼女にプレゼントしようと購入した。 店員さんはブーケを袋に入れようとしたけど 花は花束のまま直接渡すのが素敵だと思い 「袋はいりません」 と申し出たものの やはり花むき出しで持ち歩くのは少し照れくさいのだった。
そしていざ、彼女に花を渡す時も 向こうから歩いてくる彼女から花が見えてはつまらないので 柱の影に隠れて彼女がやってくるのを待っていたら 私に気づいた彼女は まるで他人であるかのように知らん振りした通りすぎたのだった。 確かに柱の影で良い大人がモジモジしてたら気持ち悪いが。
その夜は、そのまま小樽へ行き 彼女と二人でおいしいイタリアンを食べ 夜の小樽運河を散歩し 微妙にアンティークっぽい感じかもしれない雰囲気を 頑張って醸し出しているものの まだちょっとなんか足りないようなホテルで 眠りに付いたのだった。
ネットで見つけたときは とても可愛らしい良い感じのアンティークホテルだと思ったのにな。
久しぶりにフェリーで北海道に帰ったのだった。
2週間前、実家に帰った時に 実家で乗っている車のうち もうあまり乗らない1台を 私に譲ってくれるとの嬉しい申し出を受けたので とある事情により4連休の休暇ができた私は 喜び勇んで北海道へ向かったのだった。
夜20時に仙台港を出航し、 苫小牧港に入港するのは翌朝の10時半。 約14時間半の長旅となる。 しかしながら、船に乗り込んで 遅めの晩御飯をのんびり食べて お風呂に入ったらもう寝るには良い時間。 そして目が覚めるとすでに北海道間近という なかなか無駄のない旅。 往路の船は就航して間もない新しい船で 今まで何度か乗ったことのある船の中で 一番綺麗で豪華だった。
これならばちょっと奮発してランクが上の部屋に換えてみようか。 と思って、フロントのお姉さんに追加料金分を聞いてみると すでに支払った額の倍の値段を要求されたので 速やかに断念し回れ右。
彼女を連れて私の実家に行ったのだった。
前もって彼女を連れて行きますよ。と連絡したところ 次男も彼女を連れて来ることになり 末弟も里帰りすることになり 家族全員大集合+2名。と相成った。
両親に1度だけ会ったことはあるものの 私の兄弟や、ましてやその彼女とは初対面である彼女は えらく緊張していて、会う前からとても不安がっていた。 そんなに心配する必要ないのにな。ヤツラ適当なのに。と思ったが 昨日、私を連れて自分の実家に帰ったと時とは逆の立場。 無理もないかもしれない。
全員集合してからそのまま車で1時間ほどのところにある 温泉へと向かった。なにやら料理が旨いらしい。 部屋割りは、私と彼女。弟と彼女。両親。 そして末弟はシングル一人。 「どうせ僕だけ一人」とすねていた。
ひとっ風呂浴びた後の晩御飯は えらく広い宴会座敷でおいしくいただき、 その後みんなでマージャンやゲームなどして楽しく過ごした。 以前、彼女が両親に会った時に 私の幼少の頃の写真がみたかった。と言ったのを母上は覚えていて 兄弟3人分のアルバムをこれでもかというほど持ち込んでいた。 私と次男の彼女はそれを全て説明付きで見せられるハメになり 母上の前でヘタなことは言うものではないよ。 という教訓を身をもって味わったと思う。
次の日は、チェックアウトしてからみんなでパークゴルフをした。 彼女は小学生以来やっていなかったパークゴルフが えらくお気に召したらしく、 友達誘ってまたやりに行く。と息巻いていた。 マイクラブなど買ったりしないか心配だ。
昼食は田舎にある個人経営の食事処で舌鼓。 皇室にも縁のある腕の良い料理人が、 一線を退いた後、趣味も兼ねて細々と経営している 一日に1組しか客をとらないオモシロい店。 内装も個人宅を改造したような こじんまりした落ち着いた様相で 料理もとてもおいしかった。
なかなか不思議な旅行ではあったが 色々面白かったと思う。
彼女の実家へ行ったのだった。
電車で実家の最寄り駅に到着すると 彼女のご両親が車で迎えに来ていた。 初めて会う父親に私はひどく緊張しながらも 自己紹介を済ませる。 すると彼女は、待ちきれずに近くのスーパーに買い物に行ってしまった母親を 迎えに行ってくる。と言い残し、さーっとどこかへ行ってしまった。 残されたのは私と父親。二人きり。 気まずさMAX。 会話に困った時は天気の話題。というのがセオリーであるが これは一回しか使えない手札でもある。 しかしながら会って3分でもういきなり追い詰められた私は あー。い、良い天気ですね。 早くも手持ちのカードを使い切った。 もうだめかも(早っ)
実家にお邪魔すると飼い犬のミミちゃんが熱烈な歓迎をしてくれた。 このミミちゃんが私にとっての救いの神となった。 手持ちぶたさになれば「ミミちゃーん。」と呼べばよいのだ。 会話が途切れれば「ミミちゃーん。」と呼べばよいのだ。 まだたどたどしい人間関係の潤滑油。 心のオアシス。
あのハイスペックドックにはほんとに助けられた。 今度遊びに行くときにはぜひミミちゃんにも手土産を持参すべきだろう。
ともあれご両親は私のことをとても歓迎してくれたし おいしい料理もたくさん食べさせてもらったし 酔った父上からは人生論なんかもトクトクと聞かせてもらった。 母上はクールでいて、父上はよく喋る人だった。 なんかうちとは逆だ。 この家族の中で育ち、彼女は今こんな人間になったのだと思うと 面白いものがあった。 それぞれの家庭でそれぞれの生活の仕方があり その中に唐突に他人の私が潜り込んで はじめのうちはぎこちないのも無理もないが 徐々に慣れて認めてもらえたらと思った。 私と彼女の寝床が同じ部屋に用意されているのを見たときは ああ、認めてもらえたかしら。と少し思ったりした。
ただ、みんなでテレビを見ている時、 「自分の娘がとんでもない馬鹿男を連れてきた時の父親の反応はいかに?」 というドッキリみたいな番組がやっていたときは さすがに少しきまずかった。
あー、僕はドッキリじゃないんですがいいですか。 という言葉を飲み込んだ。
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