気まぐれ日記
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これが五月か?というような天候。去年は例外的に暑かったが……。 明日から、なんと六月なのだよ? 信じられる?
更に南の小さな島。そこに大きな木が生えている。 「おーきな、くうきの木の下でー」 例によってタジュトの怪しい歌が聞こえたが、無視しておく。ダノは、乾燥した実を探そうとした。木の下にはいくつか実が落ちているが、あまり乾いていない。 「そこで、何をやっている」 頭にバンダナ、縞のシャツ、大きく反った剣を持った男。体格はいい。 「あんたは?」 「まずは質問に答えな。何をしている?」 「空気の実を捜してんだ。乾いている方が持ちがいいって聞いたんでね」 「へえ、そうかい」 その男はダノを蹴り上げようとした。しかし彼はそれを避ける。 「お兄ちゃん、どうしたの?」 タジュトはすでにサブマシンガンを構えていた。シルアも本を開きかけている。 「ああ、なんか急に襲ってきやがったんだ」 「もしかして、海賊」 と、シルア。 「そうかもしれない」 「そうかもしれないって、そうだっつーの!」 男は抗議したが……まもなく、お縄についた。 「やっぱり海賊だったんだ」 「そうだって言っただろ!」 「おい、海賊。お前らのせいで街の奴らが困ってんだよ、船出せねえってな」 「ふん、俺一人が捕まったところで何も変わりやしねえよ」 「そうだろうなあ、だからお前のボスをやる」 「か、隠れ家なんか教えねねえぞ」 「探すからいい」 「くそっ」 シルアは、下を見ながら探している。乾燥した実を三つ、半渇きのものを一つ見つけた。 「これ、だいじょうぶかしら」 「本物よね」 「一つ試しに使ってみるか」 ダノは半渇きの実を海賊の口に押し込んだ。 「な、なにをする!」 そして、縄をつけたまま海に投げ込む。五分ほどそのままにして引き上げる。 「何すんじゃ! このやろー」 海賊再び抗議するが、三人は聞いていなかった。 「元気だね」 「これなら、大丈夫そうね」 「よし、先に海賊やるか、渦潮に飛び込むかだな」 「海賊にしましょ。この人をこのまま連れて行くわけにはいかないでしょ」 シルアがそう言ったので、ダノはそれに賛成した。動く島に乗り、北東の街を目指す。不思議なことにやはり島は彼らの行きたいところへ向かった。
たんに自分が馬鹿だったという話なのですが、どうやって「絶対参照」にすればいいのか、そうとう悩みました。ヘルプで開いても良くわからなかったし……。ただ自分で一回打ち込むだけで、素晴らしくできました。 「エクセルって頭いいなあ」 という自分がおバカさんです。
庵には、小さな老人がぽつんと座っていた。 「こんにちは、おじいさん」 タジュトが挨拶をした。 「こんにちは、お嬢さん。何か御用かな」 「はい。空気の実がどこにあるのか知りたいの」 「ほほう、海底の城にでも行くのかえ?」 「海底の城? それは聞いてないな」 と、ダノ。 「おやおや、知らなかったのか。まあ、いいだろう。空気の実なら南の島の、ひときわ大きい木になっておるわい。地面に落ちた良く乾燥した実ほど空気が詰まっておる」 「ありがとうございます。おじいさん」 シルアが礼を言う。 「なんのなんの。若い娘っ子に会えただけでも、わしゃうれしいわい」 「ところで、じいさん。じいさんの知り合いで塔に入れるような若い女を知っているか?」 ダノはタジュトが会ったという女性のことを聞いてみた。 「ほう、あの塔にか? いやいや、大したおなごだのう。だが、そんな者は知らん。そうじゃ、一つ言っておく。青龍を知っておるか? 奴は凶暴じゃ。気をつけてかかれ」 「おう、ありがとなじいさん」 ダノは庵を出ようとした。出れなかった。 「なんだ、こりゃ? また」 「おじいさん、ありがとう。お邪魔しました」 「お邪魔しました、おじいさん」 タジュトとシルアはそう言って庵から出る。 「お兄ちゃん。ちゃんと挨拶しないと出入りできないみたいよ」 そう言われてダノは、 「じゃあな、じいさん。あばよ」 と庵を出た。
って、なってますけど、これはこれで間違いではないっ! と思ってます。 すいません。ごまかしてます。
ダノが宿に入ってきたのは、騒ぎが終わってからのことだった。 「へえ、じいさんね」 「お兄ちゃん、会ってみる価値ありだと思わない?」 タジュトは夕食のフライドチキンをパクつきながら言う。 「タジュト、兄ちゃんはな、今更おしとやかになれと言わないが、せめて飲み込んでから話せ」 「教えろって言ったのはお兄ちゃんよ」 「飲み込むまでは待ってやるから」 横でシルアがくすくすと笑った。 「ほんと、あなたたちは仲のいい兄妹ね。うらやましいわ」 「そお? 四六時中、女らしくないって言われるよ」 「四六時中、何が起こるかわかんねえぜ」 「そう。でも、一人っ子の私にはうらやましく移るものよ」 二人が顔を見合わせて首をひねる。 「そうね、私もそのおじいさんに会うのはいいと思うわ。何か手がかりがつかめると思うの」 「手がかり?」 「そう、ほら、一階の塔の扉の封印を解いたのは黒いクリスタルでしょ? だから、この先の扉もクリスタルで開くと思うの。タジュトさんが会った女の人のことも聞ければいいのだけど……」 「じゃあ、明日はそのじいさんを探すか」 ダノがそう決めたとき、後ろから声がした。 「老人に会うつもりか?」 ダノが振り向くと、男はまた言った。 「老人に会うつもりか?」 「ああ、そうだけど」 「悪いことは言わない。老人に会うな」 「なんでだ?」 「会えば、ろくでもないことが起こる。現に私は……いや、なんでもない。とにかく、会わないほうが身のためだ」 「忠告として、受けておくよ」 翌朝動く島に乗り、三人は南へ向かった。 「じいさんとこだぞ、いいか?」 ダノは島に向かって言っている。島はまたゆっくりと動き出す。本当に言っていることがわかるようだ。 「あの人のことも気になるけれど……」 「でも、気にしていたら進まないしね」 島は小さな島を素通りして、やはり小さな島で動きを止めた。その島には、木々に囲まれた庵があるだけの島だった。 庵に向かう。ダノはそれを開いて中に入った。外に出た。 「あれ?」 もう一度、庵に入る。 また、出てくる。 「何やってんの? お兄ちゃん」 タジュトが変な顔をしてダノを見る。 「だってよ、入っても入れないんだよ」 「入り方が、まずいのでしょ? 私が入るから見ていて」 シルアは、庵の入り口に立って言う。 「こんにちは、お邪魔します」 しばらくして、声が返ってきた。 「ほーい、入ってきなされ」 「さ、お邪魔しましょ」 三人は庵に入っていった。
はじめます。
ゆっくりと動いていた島は障害物がなくなると、急にスピードを上げた。帆船よりも早い。 「なんだ? 急に」 それでも、軽快に進む島にダノは感激している。シルアは怖いのかしっかりと地面の草を握っている。タジュトは例によってはしゃいでいる。 「早い早いー!」 「早すぎよー」 そうしているうちに、島は北東の街についた。その頃には朝になっていた。 この街も、海賊による被害を受けていた。町全体がなんとなく閑散としている。 「俺、ちょっと用あるから……先に宿で休んでいてくれ」 ダノは港町で頼まれた薬を届けることにした。こういうことは早めに済ませたほうが楽だ。 街の人に聞き、病気の男の家を見つける。 「ちわっす。薬届けに来たぜ」 「あの、どちら様でしょうか?」 青い顔をした若者は、ベッドから起き上がろうとした。身のまわりはきれいに片付いている。掃除や洗濯をしてくれる親切な人がいるのだろうか、と彼は思った。 「いや、赤の他人だが……あんたの兄貴に届けてくれと頼まれてな」 薬の包みを若者に渡す。 「ええっ、あの海賊の中を? ありがとうございます。これですぐによくなります」 包みを抱えて若者はうれしそうに礼を言った。 「お礼は何も出来ませんが……熱にうなされながらよく夢を見たんですが、それが不思議な夢でして……青い竜が赤い玉を抱えているんです。そこに青い玉も出てきてそれが一つになると、大きな青い宝石になるんです。あなたがここに来たのも何かの縁ですし、一応教えておきますね」 若者は、玄関までダノを見送ろうとしたが、彼はそれを断って家を出た。 「早く良くなりなって、兄貴に元気な姿を見せろよ」 「ありがとうございます。旅の方」 タジュトとシルアが宿に入ると、暇をもてあます船乗りたちが食堂を陣取っていた。 かなり酒に酔っている船乗りが、皆の中央で語っている。他の男たちは、「やれやれ、またか」という顔で、仕方がなく話に付き合っている様だった。 「俺は、西の果てまで行ったんだ。ほんとだぜ。そこにな、大きな渦潮があって飲み込まれたんだ。そんとき、偶然俺は空気の実を持ってたから、助かったんだ。そして、俺は見たんだ。海底の町をな……。すげかったなあ」 「海底の町?」 「そんなものまであるのね」 動く島はあったが、さすがにそれは信じ切れなかった。 「そうさ、嬢ちゃんたち。ありゃ、すげえ」 「本当に見たの? おじさん」 「へっへー、嬢ちゃん。こいつは酔っ払うとほら吹きになるんだ。信用しちゃあなんねえぜ」 別の船乗りが笑いながら言う。 「嬢ちゃんたちはどっから来たんだ?」 「塔から」 タジュトが言うと、皆がしーんと静まり返った。そして、誰かが笑った。それが、呼び水となって全員が一斉に笑った。 「うひゃひゃひゃひゃ、嬢ちゃんは最高のほら吹きだぜ」 「本日最高だ! うひひひ」 「はーはっはっはっはっ、あんた、いい根性だ!」 「本当だってばっ!」 なおも大笑いが続く。タジュトはほら吹き男を信じたくなった。その船乗りは今は店の奥に引っ込んで酒を飲んでいる。 「ねえ、おじさん」 「なんだい、嬢ちゃん」 「空気の実って何?」 「ああ、水につけると空気が出て来るんだよ。ほれ、これだ」 胡桃の少し小さい実を胸ポケットから出した。酒の入ったグラスにそれを入れると、確かに泡が出てくる。 「これは、もう古いからあまりでないけど、これ一つありゃ、水の中で三日は暮らせるじゃねえか?」 「これ、どこにあるの?」 「さあなあ……俺も偶然手に入れたわけだし。南のじじいならなんかしってるかもな」 「じじい? おじいさん?」 『おじいさんを探しなさい』女の人の言葉がよみがえった。 「ありがと、おじさん。あたし、おじさんの言った事信じてるからね」 「おう、俺も嬢ちゃんのこと信じるからな」
2005年05月27日(金) |
今更ですが(その3) |
ケロロ軍曹、楽しいですね。 朝やっていたのは、仕事休みの日とかに見てましたけれど、今夕方だから続けて見れないことはない。気づいたらコミックとか集めてたりして。
その頃、宿のチェックインを済ませたダノは、やはりため息をついている男を見た。泊り客ではなさそうだったが、ロビーのソファーに腰かけている。 「何ため息ついてんだ?」 やはり似たもの兄妹なのか、彼はその男に声を掛けた。 「ああ、あんた。他所もんだな」 「そうだ」 「なあ、あんた。旅をしているなら、ここから北東の街に行って来て欲しいんだ。おれの弟が病気で薬届けなきゃならねえんだが……なにしろ海賊騒ぎで船が出せねえ状況だ。頼む」 「でもよ、船がないなら無理だ。やってやりてえのはやまやまなんだけどよ」 「それなら、心配はねえ。動く島がある」 「うごくしま?」 「そうだ、このあたりにちっちゃい島がいくつもあるだろ、そんなかに動く島があるんだ」 「へえ、動く島か……」 「これ、弟の薬だ。頼むよ」 男は無理やり包みをダノに押し付けて宿を出て行ってしまった。 しばらくして、宿にシルアとタジュトが入ってきた。タジュトはいの一番に、ダノに向かって言った。 「お兄ちゃん、動く島だって。それがあれば海をすいすい渡れちゃうってさ」 「さっきから変な話をしているの。そんなのあるのかしら。ダノさんからも何か言ってあげて」 「シルアったら、信じてくれないの。お兄ちゃん」 「うーん、探そうか。動く島」 「ダノさん!」 「さっすが、お兄ちゃん、話が早い」 翌日、三人は呆然としていた。ちっちゃい島はあった。それも、何百と。 「街の人の話だと、この洞窟は近くの島に通じてるんだって」 タジュトははしゃいでいたが、カラ元気に近い。ダノはすでに脱力している。シルアはめまいを起こしたのか頭を抑えている。 「でも、モンスターはたくさんね」 「探すのも一苦労だっていうのに……」 襲ってくるモンスターを蹴散らして三人は洞窟を駆けた。やや複雑な洞窟をくぐり、外に出て点在する小さな島を調べる。そこになかったら、また洞窟をくぐり違う島へ。小さな島を調べる。繰り返し。 「ここが最後みたいね」 シルアが疲れた声で言った。朝早く街を出たのに夕方になっていた。夜になるとモンスターが手に負えなくなる。 「これ、これだ、お兄ちゃん!」 タジュトが足をかけた島は少しゆれている。大きさは宿の部屋くらいだろうか、三人が乗っても余裕だ。下手をすれば、海のモンスターが出ても戦闘が出来る。 「でも、お兄ちゃん。刀、振り回さないでね」 「そうね。あたしたちの首が飛ぶわ」 「お前こそ、サブマシンガンこっちに打つなよ」 三人が乗ると、島はゆっくりと動き出した。 「どこに行くんだろ?」 「さあな。とにかく北東の街に行ってみたいんだが……」 点在する島々を上手に避けて島は、ゆっくりと動く。それが、北東に向かっているようだった。 「もしかして、お兄ちゃんが言ったことわかったのかな?」 「まさか、偶然だろ」 「でも、本当にあったのね動く島」 シルアは自分の知らないものがまだまだあることを知った。
2005年05月26日(木) |
初めての方は2004年 3月11日から |
お読みください。(一度中断して4月5日からもやっています) 勝手にストーリーを作っている部分がありますが、好きで書いているのでご了承ください。再会できたことを自分で喜びたいと思います。
「海だ」 ダノが外に出て、あたりを見回した。陸地がほとんどない。そのため、海は広く感じる。 「うーみーはー、でかいーねーどっこらしょー」 微妙な歌をタジュトが無邪気に歌う。作詞作曲は彼女だろう。 「ねーねーおにいちゃん。泳がない?」 「だめだ! 泳ぐにはちょっと寒い!」 「寒いとかの問題じゃないわ。見て」 シルアが海の向こうを指差す。黒い旗を掲げた船が通るのが見えた。 「海賊船よ」 「かいぞくせん?」 「そして、あっちの街を見て」 静かな港町だ。出ている船はない。多くの船が停泊している。 「何が、起こっているのか一目瞭然でしょ?」 「ああ、きっと今日は休みなんだな」 「違うでしょ、お兄ちゃん」 「ともかく、いろいろ買出しがあるから、行きましょ」 シルアは少し呆れて街へ向かった。そのあとをタジュトとダノはついていった。 港町は船乗りであふれていた。しかし、活気はない。ダノは宿の手続き、シルアは買出しに行き、タジュトは街を回ることにした。情報収集もかねた散歩である。 「はああ」 若い船乗りはため息をついている。倉庫の前の木箱に座りぼうっと目の前の船を見ていた。 「どうしたの?」 タジュトが思わず声を掛けた。 「どうしたも、こうしたも。こう海賊が多きゃ船がだせねえんだ。はあ」 「海賊やっつけちゃえばいいのに」 「そんな危険なこと、できるわけねえだろ、海は逃げ場がねえ。動く島にでも乗れりゃ別だけどよ」 「動く島?」 「知らねえのか? お嬢ちゃんどっから来た?」 「塔から」 「へえ、塔からなあ……」 「ねえ、その動く島、どこにあるの?」 「さあ、よくわかんねえけどあちこちにちっちゃい島があるだろ。そのうちのどれかだ」 「すっごいアバウトね」 「そりゃな、実際見た奴も何人もいねえ。塔から来たんだから外のモンスターにもたち打ちできるだろ、がんばりな」 タジュトはその船乗りと別れた。動く島のことは少ししか聞けなかったが、好奇心の強い彼女が魅力を感じたのは言うまでもない。
久しぶりに居酒屋(見たいなとこ)に行った。明日は休みではないので、ほどほどに飲んできた。このくらいがちょうどいいのですよね。
秀介が気づいたところは、ヨーロッパ風の豪華な造りの部屋だった。部屋の中央のベッドにいるらしい。腕を後ろでに縛られている。状況が飲み込めずに、ぼうっとしていた。 「やあ、お目覚めかい? 岡崎秀介君」 見慣れない男が入ってきた。年は同じくらいだろうと彼は思った。ブランド物だと思われるスーツを着こなして秀介の目の前に立つ。 「あんた、誰?」 「僕かい? 僕は佐藤和実。佐藤学園の理事長の息子だよ」 田学のライバル校と言うべき私立学校である。その理事長に息子がいることなど、もちろん知らなかったが。 「ああ、佐藤学園ね。で、なんだってこんなマネを」 和実は、ふっと笑った。 「身に覚えもないのかい? 君は僕の大事な人を傷つけているんだ」 「はあ?」 「だから、僕は君を許せない」 「はああ? 大事な人って誰だよ」 「もちろん、君がよく知ってる人だよ」 秀介が付き合っていた女性は、高校の時に別れている。それが、今でも彼を孤独にしている原因で、苦い思い出となっている。 「そんなの、こっちが傷つけられたんだ。そんなこと蒸し返すな」 「知らないよ、そんなの。君の恥ずかしいところを写真に収めるから、覚悟しろよ」 「なっ、なんだって!」 ベッドから転げ落ちた。何とか立ち上がる。 「まあ、せいぜい可愛がってもらってね」 あの黒スーツの男たちが入ってくる。じりじりと秀介に詰め寄った。和実が「やれ」と命じると、秀介に掴みかかってきた。
だん!
扉が開いた。何か、黒いオーラを放つ少女と、どす黒い何かを放つ男が入ってくる。 「ううぉりゃあああ!」 男が黒スーツの男を全て殴り飛ばした。 「春季! それに、可奈ちゃん?」 「わあああ、春季君!」 和実が叫んだ。それは、喜んでいるようにも聞こえる。 「貴様かああ、秀介をラチッたのはあああ!」 「会いたかったんだ、春季君」 そっちかよ、と秀介がもらす。 「おうぉりゃあ!」 春季のストレートが一発決まり、和実は撃沈した。 「大丈夫でしたか、秀介さん?」 「うん。でもなんで可奈ちゃんが?」 可奈が縄をほどいてくれる。自由になった腕を少しほぐして彼は礼を言った。 「占いで、わかりました」 「……そう。で、春季は?」 「俺は、ハルに……晴仁に聞いたんだ。お前と別れあと、変な音聞いたから戻ったら、車に乗せられてたって。それで、ナンバーを見たら、ここだって言うから」 「あ、そ。でも、助かったよ」 「さ、帰ろうぜ」 「そうだな」 可奈が何かつぶやいてから、あとをついてくる。 「どうかしたの?」 「いえ、ただのお返しです」 変態に愛され、そして変態に恨みを買われる。秀介はそう思うとため息をついた。
後日、佐藤学園の評価が一時がくっと下がったが、その原因は不明となっている。
はい、ポジションとかじゃなくて、郵便物を預かってくれるあの赤いポストです。友人に手紙を出すために、いつもとは違うポストに入れました。それでも近所のポストです。そのポストには……。 『年賀はがきは1月7日までに……』(堂々と張られている) 『郵便料金改正7月1日から……』(剥がされかけている) お前はいつのポストじゃあー! ちゃんと届けてくれるか、心配です。 田中学院、大学部。 岡崎秀介は憂鬱だった。いや、酷くいらいらしていた。自分の周りには常に何かいる。しかも、一人や二人じゃない。人間ではない何かもいる。 どういうわけか、変態に愛され続ける彼は、孤独を愛する人間だった。これだったら見える範囲にいつもいる中野春季の方がマシだと、思いつつもやはい春季も嫌だった。 帰宅途中、道を歩く。必ず付いてくる奴がいる。彼は商店街の人ごみの中に入り、出る。人間はいないだろうと、踏んで家に向かう。 角曲がると目の前に中学生とぶつかりそうになる。すぐ田学の生徒とわかるのは制服のおかげである。 「ごめん」(あれ、見たことあるな……) 「えーと、岡崎秀介さんだ。すいません」 「あ、えと?」 「野田晴仁。中野冬季の同級」 「春季の弟の片割れ」 そうだ、いつも何故だか一緒につるんでいる。 「片割れってほどじゃないです」 晴仁が釘を刺す。説得力はない。二人セットで見ないと何故だか認識できない。 「今日は一緒じゃねえな」 「うん。冬季はサッカーの試合で連れて行かれた」 「なんか、運動神経はいいって聞いたな」 「それより、秀介さん。二人ほどつけてるよ」 「やっぱり。まだいんのか……まあいいか」 「よくない。学校も取り締まればいいのに……気をつけてください。俺も良くわからない、把握できない部分があるからなんとも言えないけど」 田学一の頭脳を持つ彼は、学院の全てを知っている。しかし、それが届かないないところがあるらしい。 晴仁は、では、と言って一礼して言った。 「じゃあ……」 なんとなく背筋が寒い。後ろを振り返る。誰もいないが、隠れている奴はいる。 「岡崎さん、一緒に来ていただきたいのですが」 黒スーツにサングラスの男。どう見ても怪しい。もう少しで家なのに。 「なんだ? あんた?」 「我々は、頼まれただけでして。とにかく来てもらいます」 「断る」 「では、実力行使で……」 先に秀介が動いていた。蹴りが男の腹に決まる。地面に伏した。が、自分もだった。頭に衝撃が走ったのだ。 「我々って、言いましたでしょ?」 「俺はどうしよう」 「運び係」 黒スーツ三人は秀介を担いで車に乗り込んだ。(続く)
何がって、パイロットのミニ万年筆みたいの。(Petit1という商品名) 文房具屋さんに母と立ち寄ったときに見つけてつい購入。一色しか買わなかったけれど。
何書こうか、迷ってます。
田中学院、高等部。オカルト研究部。 「とうとう、来ましたね。部長」 「うん、そうだね」 「どうしましょう」 存続の危機。 部員、三名。(内、中等部二名)故に、廃部宣告が出された。 しかし、定員数が割れているからというだけではなかった。問題が多いのが、事実だった。 「さて、どうしたもんかな」 部長、岡崎良介は悩んだふうもなく、椅子に座っていた。それは学校の椅子そのもので、木と鉄パイプで作られた硬い椅子だった。 「今更廃部なんて、遅いわよね」 と、貴乃はぼやいた。 「でも、しょうがないよ。高等部管理者からの宣告だからね。廃部となったとしても部費がもらえないだけで、同好会は出来るし、部屋も空き室があれば借りれるし……」 「でも、恒例のお化け屋敷はできないわね」 と、可奈。少し残念そうだった。 「だから、それはしょうがないよ」 「入る人、募集しようか?」 「今から入ってくれる人、いるかなあ。掛け持ちは、あの冬季君だけが許されているし」 「あいつはどの部にも属さないからです、部長」 「今、使い魔に聞いたけれど、入部希望者はゼロです」 「……」 「可奈ちゃん。そんなことで使い魔使うの、やめよう」 「暇なので」 「とにかく、残念だけど。上の命令じゃね、俺たちにはどうしようもないよ」
後日、オカルト研究部は存続の危機から脱出した。 良介と貴乃は、可奈を見たが、彼女はそ知らぬふりだった。顧問の上田先生が尋ねても、答えはない。 「なんでも、高等部の上層部で事故が多発したらしいよ」 「オカ研を廃部させようとしたんですって」 「あの名物がなくなると思ったけどね」 「ああ、あれはすげえよな。本物だろう?」 生徒の噂は絶えない。事故は、オカ研が原因だと。しかし、オカ研を存続することが決まるとそれらはぴたりとおさまった。 「まあ、いいか。今日は……」 「はい、部長。今日はストーカーまがい行動するので帰らせてください」 「私も、いろいろ実験あるので……」 「……わかった。じゃあ解散」 二人の少女がうれしそうに帰っていくと、彼は、やれやれと椅子に座り込んだ。
を見て、解せないことが一つ。
携帯電話をどちらで持つか? 左手が頑固な性格で、右手は融通の聞く性格?
電話の受話器は左で持つようにされているが、携帯電話はどちらにもってもよいという。しかし、それを直さないというのは頑固な性格だと。
うーん。そうかなあ。
本来左利きであれば問題ないと思うんだけれども。それが、右利きだとしても頑固かなあ? それならば、Tシャツを頭からかぶるクセのほうが、よほど頑固だと思うけれど? 私は、左です。本来は左利きだし。電話しながらメモるとき右で文字を書くので問題ありません。(字は右に直された。他そろばんとボールを投げるなどは右。あとはほとんど左)頑固ですけど、それと関係ないと思います。(この辺が、頑固?) 性格判断というけど、二つに一つだし。性格判断というほどのものじゃないよね。おもしろいけど。
それよりも、パプリカが血管を丈夫にするという話を聞いて、「うちの利用者、丈夫じゃん!」と思いました。ほとんど毎日のように使ってるから(細かいところの彩として)。ピーマンが嫌いな馬鹿職員が残してくるけど、まあ利用者が丈夫ならいいか。 で、エセ左利きの主張。 その一、改札が不便。 左で切符を持ち、右手に荷物。そのまま人の流れに乗ると、右側にある改札機に左で入れ、出てくる切符を身体ひねりながら左で受け取る。はっきりいって自分でうざい。これは右利き社会の陰謀だとか、虐げられる左利きとか被害妄想に陥る奴は、いねえと信じたい。 その二、包丁。 包丁を持っていると、親にも「危なっかしい」と言われる。「怖い」とか。左イコール危ない。ちゅーか、右で持っているとこっちが怖いのよ。しかし、他の人が左手で包丁を持っているのをみると、危なっかしくみえるのは私だけだろうか? その三、早死に。 心臓に近い左手を使うので、負担をかけるという理由から。昔そういわれたことがある。そんなことないと思いつつちょっとショック。 その四、サウスポーは飲めない。 これは、左手の人はコップをひっくり返しやすい(右側にコップがあるので腕を伸ばすから)ということからきている、らしい。酔うとバランス感覚を失いひっくり返すことありますよね。(経験済み)決して、下戸ってわけじゃない。(と、思う)
読み終えました。 終わりの方で、爆笑して、ちょっと潤んでしまいました。(確かにノートに書いた人物の意味はわかったが、それがね……) 途中、『オーデュボンの祈り』の人物が出てきてにんまりしました。重力ピエロは、この話に似てますね、なんとなく。(著者が一貫して伝えたいことは、どの本も同じかな。まだ三冊目なので)
「ところで、お二人さん。あなた方はどうして旅をしているんですか?」 ヴィニーとセルヴェスは似ても似つかない。兄弟でもなんでもない。年も離れているように見える。それが、このドラゴンスレイヤーには不思議だっただろう。 「それに、僕にはドラゴンの気配を掴むことが出来るんです。あなたは、そのドラゴンだ」 さっきまでお茶を飲んで和んでいた彼の目が鋭くセルヴェスを突いた。セルヴェスは、睨み返す。 「そうだったら、どうする? 私を殺すか?」 人間に近くなっただけで、完全にドラゴンから離れたわけじゃない。今の彼は、中途半端なドラゴンだった。それだけに彼が見せる気迫もすごかった。彼は、少したじろいでいる。 「僕にはどうしてあなたがドラゴンになっているのか、わかりません。そういえば、前にもそんなドラゴンがいたっけ」 「エミイシェル!」 「そんな、名前だったかな」 「お前が、やったのか?」 セルヴェスが立ち上がって、彼に詰め寄った。彼はセルヴェスの気迫に怯んでいる。 「い、いえ。彼女は優しかった。人間が好きだったから手出ししませんでした。僕は、人間に危害を与えるドラゴンしか相手にしません。本当です」 それを聞くと、セルヴェスは気が抜けたように座った。 「そうか、悪かった」 「見たところ、あなたはそんな酷いドラゴンではなさそうです」 「だが、私たちの仲間には戯れで人間を殺す輩もいることは事実だ。同じ仲間として、恥ずかしいと思っている。人間の身を守るためにお前のような者がいてもおかしくない」 「そう言ってもらえると、助かります」 それでも、セルヴェスは浮かない顔をしていた。 「ただいま」 「おや、どうしたんです? セルヴェス? 浮かない顔して」 ルヴィアとロイタスが同時に帰ってきた。 「お前、ドラゴンスレイヤーだね」 彼の背負っている剣を見て、ルヴィアは指を刺した。 「あなたがたもドラゴンですか?」 「そうなるね」 「まあ、今はこんななりですけど」 二人は彼に対して敵意をあらわにした。それだけに、ドラゴンスレイヤーはドラゴンに影響を与える人間だった。 「二人とも、下がってくれ。向こうでお茶でももらって飲んでいろ」 セルヴェスは、何か思いをこめて二人に言った。 「この人間は、お前らに危害は加えないさ」 二人は顔を見合わせうなずいた。ヴィニーにも声を掛け、三人は用意が出来た部屋に向かった。 「分けありのようですね」 「ああ、分けならたくさんある。私の恋人はドラゴンスレイヤーに殺された」 「エミイシェルさん、ですね」 「ああ、人間が好きで、人間の姿をして暮らしていた。ドラゴンで言えば変わり者だったが、私はそんな彼女を愛していた。私は私で、こんななりで過ごさなければならない」 「そうですか、残念ながら僕にはエミイシェルさんを殺したスレイヤーはわかりません。他のスレイヤーたちのつてがありませんからね」 「そうか……」 「もし、無害なドラゴンが、ドラゴンスレイヤーに殺されそうな時は、そのドラゴンを助けます」 「ありがとう」 「じゃ、僕はこれで。実は、この街を出るところだったんです。さよなら」 「さよなら」 重そうな剣を背負った男は、席を立った。セルヴェスはその剣をまがまがしく思いながらも見送った。
十九度、それがどんなに温かく感じただろうか? 夜、ストーブを炊きたくなるような中で……。三日しか続かないらしいが。
そういえば、今読んでいる小説の登場人物に春っているなあ。(伊坂幸太郎著・重力ピエロ)まだ半分ってとこです。
彼らは街に着いた。長い間、村ばかりを歩いていたせいで彼は新しいものに餓えていた。一人を除いては。 「なかなかいい街じゃないか?」 と、ルヴィア。彼女の視線はすでに露店で売っているあぶりたての骨付き肉にいっている。 「広い街ですね。図書館などあれば見てみたいものです」 と、ロイタス。彼はあちらこちらを見渡している。悪く言えば田舎者だった。 「皆元気だなあ、僕疲れちゃったよ。早く休もー」 と、ヴィニー。彼はあくびをして言った。 「そんなに疲れたのか? なら、まず宿を決めるか」 セルヴェスは、宿選びをヴィニーに任せた。この作業は人間にしかわからない。少しくらい寒くとも、少しくらい湿気があってもドラゴンにはわかりにくいらしい。だから、宿はヴィニーが選ぶ。 「ここが、手ごろでいいと思うよ」 ヴィニーはいくつか宿を回った結果、街でも小さな宿を選んだ。 「ほう、私は構わぬが、二人は?」 「好きにしなよ。あたしはちょっと食べてくるから」 「私も、出かけたいところがありまして」 二人は宿の場所を覚えて、それぞれ行きたいところへ行った。 「セルヴェスはどうする?」 「私も疲れた。ヴィニーに付き合う」 人間に近い分、二人にはついていけないのだろうかと、ヴィニーは思い部屋の準備が出来るまで食堂でお茶をもらって飲んだ。 「疲れを取る薬茶だよ、ごゆっくり」 宿のおかみさんが、茶菓子も少し置いていってくれた。二人はそれをゆっくりと飲む。落ち着いてというわけではなく、お茶が熱いからだった。 セルヴェスが、音を立ててカップを置いた。全身に振るえが来る。 「どうしたの?」 「何か、いる。なんだ?」 「なんだって、なんだ?」 その時、後ろから声がした。 「あのお、すいません」 「なに?」 と、ヴィニー。声の主にぎょっとした。ヴィニーより少し年上の男が大きく、幅の広い、分厚い剣をしょっている。 「ここいいですかあ? 実は一人でお茶を飲んでも淋しいんです」 「はあ?」 「すいません」 男は返事を待たず、遠慮なく座った。 「ドラゴンスレイヤー。ドラゴン専門の殺し屋。違うか?」 セルヴェスが、声を沈ませてにらんだ。 「ええ、そうですけど……。何か?」 「いや、なんでもない」 「そうですか。お二人で旅をしているのですか?」 「ううん、もう二人いるよ」 「それはにぎやかですね。楽しい旅ですね」 「うん、とっても」 ヴィニーの声が暗くなる。彼は三人のドラゴンに振り回されっぱなしだった。彼らの奇行を止めてばかりの旅である。それでも、セルヴェスとロイタスは、まだ人間らしく振舞おうとしてくれるからいいのだが。 「いいですね。淋しくなくて。僕なんか……。あ、すいません。ところで、ドラゴンの噂を聞きませんか? バンドンに近い山のドラゴンが同時に三匹いなくなったんですよ。どこかで悪さをしていないかなっと思って」 「それは……」 「ない。そうだろう、ヴィニー。私たちは違う方から来たのだ。そんなことも知らなかった」 「そうですか。非常に危険なドラゴンと噂されてまして……。なにかわかりましたら、教えてください」 ドラゴンスレイヤーは、そういってお茶を飲んだ。
つまるとこ、一日ではおさまりにくいのですね。
サガはもう少し待ってください。
夕方、ブロードは部屋まで迎えに来た。 「お主にしては、なんだかずいぶん慎重だのう」 「ああ、相手が相手だからな。俺は知らねえけど」 「? ロセウ。飯にするぞ」 「うん」 食堂は混んでいた。それでも席は一つあいていた。テーブルに予約席と書かれた札がある。ブロードは札をポケットにしまい、席を勧めた。 「わざわざ、予約まで」 「いらっしゃいませ」 すかさず給仕がメニューを渡す。 「本日は、魚のマリネと子牛のレアステーキがお勧めですよ」 もちろん、知っている顔だった。 「セアレか」 「お久しぶりですね、アニムさん。ああ、そっちの子はエルフですか? なかなかいい感情を持っておられます」 「相変わらずだのう。二人がこうして宿に潜んでおるのはどうしてだ?」 「それは、そっちのブロードさんに聞いてください。僕は今、忙しいですから、それじゃ、ご注文が決まりましたらお呼びください」 セアレはとっとと他へ行ってしまった。彼もまた、魔族。それもかなり力を持った魔族だが、ああいう性格と、糧が感情と人間にはあまり害がない。そして、どういうわけか労働が好きだった。 「アニム、あの人も魔族?」 「そう。で、ブロード。一体何があるのだ?」 ブロードは、お冷を手に取りもてあましながら説明し始めた。 「封印されていた魔族が最近、解かれたんだと。それが、オフィーリス姉さんに匹敵するくらい古くて強い魔族らしい。本当はオフィーリス姉さんが行くべきところ、姉さんは、あたしの魅力に気づかないバカの相手はしたくない、とか言って拒否ったんだ。そんで、俺とあのバイト馬鹿が行くことになったんだ。気をつけろよ、何でも気に入った相手なら男でも女でも構わねえ野郎らしいから……」 「……」 「どした?」 「いや、小生はそのお勧めの魚のマリネとシーフードドリアをもらおうかのう。ロセウは?」 「俺は子牛のレアステーキ、セットで」 「はいはい、承りました。ところで、アニムさん。僕に隠し事は通用しませんよ」 「……」 「でも、かなりおいしい感情なので黙っておきますね。ブロードさん、どうやらもう仕事は片付きそうです。ご苦労様。僕はもう少しバイト続けるって言っておいてください」 セアレは感情を食らう魔族なんで、心が読める。それはアニムも十分知っていた。 「あー、なんだよ。それ!」 ロセウが、エルフのハーフとして存在していられる理由の一つには、彼が死にそうになった時、封印が解かれたばかりで身体を失った魔族が彼の身体を借りて復活した。そのおかげで、今のロセウがいる。 今、その魔族はアニムが封じているが……。 「まあ、よくわかれねえけど大丈夫らしいし、俺は明日にでも報告しに行くよ。あ、バイト料もらえるのかな……」 ブロードは自分が頼んだパスタをフォークでつついている。たまにアニムが頼んだマリネに手をつけているが、気にしなかった。 「ねえ、その魔族って俺の」 「黙っておれ、ロセウ。お主が気にすることでない。それに、あのセアレが良いといっておるのだから良い」 アニムは、半分自分に言い聞かせるように言った。
って、二日で一話じゃん!
ロセウは大きな街に足を踏み入れた。 「すっげー! でけえー!」 まだほんの入り口だった。大きな門が口を開いている。その先は幅の広い橋がかかっていて街の入り口へと続いている。 「しばらく見ないうちにずいぶん大きな街になったものだ」 アニムは久しぶりにこの街を訪れた。大きな街ゆえに、いろいろな種族も集まる。今日日のエルフはウォンテッダーをやるものも少なくない。そのほか、人の姿に近い獣人やら悪魔やら魔族やら天使やら、この街に来ない種族はいないとされている。ロセウが堂々と顔を出して街を歩けることはあまりないのだから、と思いこの街にやってきた。 「ロセウ。あまり先に行くでない。はぐれると小生では見つけられぬからな」 「うん」 しかし、もの珍しいものがたくさんありそうなこの街の誘惑に彼は勝てなさそうだった。だから、彼はアニムのローブの裾を掴んで放さないようにした。 「今日は疲れたであろう。ここしばらく野宿が続いたことだし、朝からずっと歩き通しだ」 アニムがこう言う時、自分が疲れているんだとロセウが解釈する。なので、彼はすぐそれに対して答えを出した。 「宿探すんだね?」 「どこか手ごろな値段のところはないかのう」 旅人用のガイドブックには、良心的な宿の紹介があり、それにしたがって探す。 「ここが、よさそうだのう」 「うん」 少々古いが小奇麗である。建物もしっかりとしていた。 「いらっしゃいませ。お泊りですか?」 受付の娘はやたら元気に挨拶をした。 「ああ、一部屋頼む」 「かしこまりました。荷物お願いします」 「へいへい」 現れた男は、彼らの荷物を持ち上げた。 「お、アニムじゃねえか」 「お主は……ブロードか。何十年ぶりかのう」 「この街には今着いたのか?」 「お主こそ、ここで何をしておるのだ?」 「バイト。みりゃわかるだろ」 「そりゃ、そうだのう」 「そっちの子、もしかして隠し子か?」 「まさか。大切な預かり子だ。ロセウという。ロセウ、こやつは小生の古い知り合いでのう」 「こんにちは。どれくらい古い知り合いなの?」 「おう。俺はこいつが、こーんな小さいときから知ってんだ」 ブロードが手を腰の上辺りにかざして言った。ロセウが首をひねる。 「おじちゃん、人間だよね?」 「こやつは、ただの人間ではないのだ。ブロード、さっさと部屋に案内せい。小生は疲れた」 「はいよ。こっちだぜ、お客さん」 ブロードは荷物を担いで廊下に出た。 「お主がバイトをしているということは、奴もおるな。何かあったのか?」 「まあな。だから首突っ込むんじゃねえぞ」 部屋の鍵を開け、荷物を置く。鍵をアニムに渡すと出て行く間際に振り向いた。 「でも、久しぶりに会ったんだ。俺は夕方にはバイト終了だから夕飯でも」 「たかるつもりか?」 「いや、夕飯は只で食べられるからいいんだ。注意事項を二、三伝えておく。じゃな」 「では、夕方な」 ブロードが部屋を出て行く。 「何か、本当にやばいことが起きているかもしれないのう」 アニムはブーツを脱いでベッドに寝転がった。 「なんで?」 それをまねてロセウも隣のベッドに転がった。 「あやつは魔族なのだよ、ロセウ。それも人間から魔族になったのだ」 「なんで? どうやって?」 「それが良くわからんのだ。そういう偶然が重なったのだよ、多分」 「ふうん」 転がっているとうとうとし始めた。こうして二人は夕方まで昼寝をした。(続く)
ああ、なんだか説明くさい話だわ。 あ、続くってつけるの忘れた。
数時間後、そこにアセテイトが帰ってきた。 「二万デリルの借金の肩代わりをした」 「……」 アセテイトが帰ってくるなりブロードに伝えた。二万デリル、贅沢しなければ一年くらいは暮らせる。そんな借金をどうやって作ったのか、相手が兄ならば安易に想像がついた。 「で、兄さんは?」 「逃走した。妖精で追ったが……はね返されてしまった」 「だろうね。兄さんも妖精使いだし」 ますます、断りにくい状況に陥った。ナイロはにっこり微笑んでいる。それが怖い。アセテイトがナイロの隣で無表情に座っている。 「じゃあ、聞くけど。なんの用事?」 「城の倉庫に住み着いた妖精の排除だ」 「かわいそうなことすんなよ」 「だが、こちらとしても迷惑なんだ。頼んだ」 やはり、無表情に言うと彼は立ち上がって部屋を出て行こうとした。 「おいおい、アセテイト。ちょっとは休んだらどうだい。そう、急ぐ仕事でも?」 「いや、ないが。しかし、もうここに用事はないからな」 ナイロが声を掛けたが、少し振り返ってすぐに出口に向かった。 「やれやれ、愛想のない。ねえ、ブロード君」 「ああ、そーだな」 「君のお兄さんに頼んだら」 「あ、それ俺の専門じゃねえからブロードに頼みな、って言ったんだね」 「そう」 「俺も専門ってわけじゃないけど」 「まあ、君はこの城の図書室を開放したっていう実績があるからね。まあ頼んだよ」
倉庫は地下二階にある。入り口は鉄でできた扉だった。ブロードは取っ手を掴んだ。 「うわっ」 びりっと静電気を受けた感触。 「大丈夫?」 アプリが付き添い(という名の野次馬)でついてきて、横で心配そうにしている。 「うん。んじゃ、気を取り直して」 もう一度取っ手を掴んで、扉を開けた。中は暗く何も見えない。アプリがランプで照らしても部屋の置くまで光は届かなかった。剣、槍、戦斧などがうっすらと見えていた。それらがひとりでに浮き上がって、 「ブロード君、危ない!」 ランプを放り出して、ブロードを突き飛ばし、自分は剣を抜いた。そして、襲い掛かってきた武器たちを剣で払いのけた。払いのけた剣がブロードの頬を掠めた。 「危ないのは、アプリさんだ!」 アプリはすでに第二撃を交わしている。 「でも、まあ直撃したら確かに命はなかったかも……」 さっきのも一歩間違ったら命はなかったが。 「おい、お前。いい加減にしろ。俺は交渉に来たんだ」 「交渉だと? 魔法使いを雇ったと聞いた。退治しにきたのではないのか?」 それがうっすらと現れた。見た目は女兵士だった。古い甲冑姿で重そうな剣を下げている。妖精だけあって美人だが、可憐さはなく冷たい表情だった。 「まあ、上の奴らは排除したがっているけれど。俺はしたくない」 「ふむ、では私をどうしようというのだ?」 「出来うる限りのことをする。で、あんたはここで何をしたい」 「無論、武器の手入れだ」 「でも、ここに来る人はあまりいないから……」 と、アプリ。妖精が、ガシャン、と足を踏み鳴らした。 「そうだ。私がせっかく磨いたのに誰も気づかん。それが許せん」 部屋や家につく妖精は、身勝手な者が多い。勝手に世話を焼いて、勝手に腹を立てる。 「腹立ち紛れに、全部錆させた」 そして、せっかくやったことを無駄にする。 「じゃあ、どうして欲しかったの?」 「武器を手入れする道具が欲しかった」 でもそれは、(主に人間の)物が欲しいための行動でもあった。 「人間の使う武器はいつもきれいにしている。だから私もきれいでありたい」 「……もしかしてあんた、剣か?」 「違う。そこの槍だ」 妖精が部屋の奥になると思われる棒を指差した。暗くてよく見えない。 「ある武器職人が私をあの槍に宿した。そのころの私は拗ねて魔槍として力を発揮しない、持っていれば徐々に腕が石になるという呪いがついているという理由であちらこちらを転々として最後はこの城の倉庫に流れ着いた。この暗い湿った倉庫の中で私は後悔した。すこしでも私が力を貸したならこの暗い倉庫に押し込められることはなかったと思った。そこで私はこの倉庫の中の武器をきれいにした」 「じゃあ、あんたが現役復帰ってことでいいんだな? 手入れする道具は自分がきれいになって使われるためなんだから」 「お主、この私を使うのか? その腕、石になっても構わぬのか?」 「その呪いを解くから。それに俺は槍なんか使えない。誰かうまい人に使ってもらうよ」 「この私の呪いを解くことが出来るのか? 面白い人間だな。では、任せた」 妖精は消えた。冷たい表情が少し崩れて笑っていた。一瞬だったが。改めてランプを用意して倉庫の中に入った。全ての武器が自ら光り輝いているようにきれいになっていた。その奥に、布に覆われた細長いものがあった。汚れた札がついてあり、『危険 呪われています』と書かれてあった。
「と、いうわけで、これが例の槍」 アプリが職人に頼んできれいにしてもらってきた。飾り柄のついた二つ刃の槍である。 「へえ、こんなすごい物が倉庫にね」 「調べてみたらね、先々代の王様がこの槍を預かったって書いてあったわ」 「しかし、ここには槍の名手はいない。どうする?」 と、アセテイト。 「それだけど、アセテイト。君が使えばいい」 彼は、一度ナイロを睨んだ。しかし、アプリがそれを差し出すと手に取った。ブロードが知る限り、アセテイトは剣の腕が長けている。ナイロが勧めるということは槍の腕も長けているのかもしれない。案外、どんな武器も使いこなせるのかもしれない。 「おい、これにはどういう効果がある?」 「彼女は石妖精だから効果は呪いと一緒だよ。ただ、呪いを解いたから少しの間足止めさせるくらいしか……」 「ただいま」 兄が戻ってきた。 「終わったか? ブロード。ありゃ、なんだその顔、怪我して……」 アセテイトはその槍で兄を突いた。針で軽く刺す程度の弱さで。 「何すんだッて、あ、あり?」 その場で兄は固まっている。 「か、身体がうごかねえ!」 「なるほど。おい、この解呪料金は二万デリルでいいな」 「あんたがそれでいいならいいよ」 「ナイロ、これは使わせてもらう」 「はいはい、どうぞ」 兄はまだ固まっている。 「お、おい、ブロード。どうなってんだよ」 「いろいろ、兄さんがどっか行ってるうちにあったんだよ」 ブロードはそう言って笑った。アプリも笑い転げている。兄はわけもわからず、しばらくは固まったままだった。
の五月。何を書いたのか、読んでみた。今、やってることと変わりねえなあ。
えーと。ちょっと今更なんですが。 ブロード(弟)についてです。剣売りの彼ですが、どうゆうわけかジョウロフェンツァ(あまり国名は気にしないでください。意味はほとんどありません)国のお偉いさんと知り合いです。(その辺のことを書くと長いので略)アプリさんのお兄さんが、ナイロさんといって、医者で参謀みたいなことしてます。ナイロの上司でも部下でもあるアセテイトって奴もいます。まあ、これから書く話にでてくるので、参考までに。
唯一、贅沢が出来る場所。ただし、朝は早い。 ブロードは故郷近くのジョウロフェンツァに立ち寄ったのは、お金がないわけではなかった。 「意外に早かったね。ブロード君。元気だったかい」 長い金髪を編んだ優男は、いつもの笑顔で迎えた。ブロードは、この男と真っ白い診療室が苦手だった。 「うん、まあ」 「急に呼び出してすまないね」 「泊まれる部屋を用意してくれるから助かるけど」 「そうかい。来たついでに検診もしてあげるよ」 「健康面なら、妖精主がついてるから大丈夫だよ。それより、用事って?」 「まあ、そう急くことはないよ。そこに掛けなさい。アセテイトが戻ってくるまでまだかかるし。アプリ、お茶を頼む」 アプリがすでにお茶を用意していたらしく、部屋に入ってきた。彼女は白いエプロンをしていた。どうやら、診療の手伝いをしていたらしい。 「ブロード君、久しぶり。元気だった? ちゃんと食べてる? 歯磨き忘れてない? ちゃんと寝ておきてる?」 ブロードは、このなかで一番アプリが苦手かもしれない。 「大丈夫だよ、アプリさん。なるべく全部やってるから」 「そう。それにしてもブロード君タイミングいいわね。ちょうどお茶にしようと思ってたの」 手作りのケーキとカップを置いて、彼女も座った。 「それにしても。なんだってこの役立たずな魔法使いを必要とするんだか……」 「でも、魔法使いは君しかいないからね」 「兄さんは?」 「ああ、ブロード君のお兄さんなら、つい最近根性まげてどっかに遊びにいっちゃった」 「……」 ブロードの兄は、とある事情で仮死状態となり二十年ばかり自宅の中庭の棺桶で眠っていた。しかし妖精使いであるアセテイトが妖精を宿らせることにより目覚めてしまった。妖精が身体から抜けると彼は再び仮死状態となる。完全に戻すために、ブロードはその方法を探している。当の本人は全くその気がないため、探そうとしていないのだが。 「そう、それでアセテイトが探しに行って。まあ、彼なら妖精がいるからすぐに見つけるだろうけれど」 「どこかで借金作ってたりして」 「そうなると、こちらとしては好都合だ。ブロード君に依頼しやすいし……」 「俺も断りにくい」 「そう、そうなんだ。まあ、よろしく頼むよ」 だから、ここは苦手だ。 ブロードは紅茶を一口飲んだ。
寒いっ! 北海道でも温暖な気候のここでも寒いッ! すでにストーブなどいらない次期になっているはずなのに。今年は冷夏か? 大丈夫か、米?
屋敷はカンテラをつけても、暗かった。しばらく玄関前で立ち尽くして、誰かが来るのを待ったが、誰も出てこない。 「もしかして、ここは……」 「どうやら、無人のようですね」 「じゃあ、ちょっと失礼してあがらせていただきましょう」 フレクアとゼデューは勝手に奥へと上がっていく。 「おいおい」 「これだけ広いお屋敷なら、私たちが入っても気づかないのですわね」 玄関に一番近い部屋を開けてみた。 暗い部屋に暖炉だけが燃え上がって赤く染めている。テーブルには今入れられたばかりの紅茶のカップが三つ、湯気を立たせていた。 「こんなことって……」 と、フレクア。 「きっと、入れたままどこかへ言ってしまったんですよ」 「やっぱりね。私も紅茶を頼んでおいて、ふとしたことで忘れてぬるい紅茶を仕方がなく飲んだことがありますわ」 「なんで、変に思わないんだ?」 「変ですわよ。だってこうやって三つも忘れてしまうんですもの。つまり、三人とも忘れてしまったんですね」 「……」 オーフは、何を言っても無駄だと思った。 「紅茶、いただいちゃいましょうか」 フレクアは鞄からクッキーなどを取り出して、テーブルにある紅茶を飲み始めた。ゼデューもそれに従う。オーフも一緒に飲んだ。不思議なことに悪い気はしない。 「いやあ、日ごろの行いがいいからですね」 「それは、違う」 「違います」 そればかりは、フレクアとも意見が合った。飲み終える頃には暖炉の暖かさで服も乾き、雨も晴れていた。
「いいお天気になりましたね」 屋敷から出たフレクアは伸びをして、晴れ渡った空を見た。 「これなら次の街まで今日中にいけるでしょう」 ゼデューが地図を確認して言った。オーフは、屋敷を振り返り首をひねった。 窓に何か書かれていた。 『請求 あなた方の今月分の幸運を少しずついただきました。良いトラブルを』 それは、オーフが読み終えると消えていく。 「行きますよ、オーフ」 「どうしたんですか?」 「ああ、今行く」 彼らはまだ気づいていない。ゼディーが地図を逆さにしていることを……。
どっかのホームページで無料占いがあるので、やっている。 夢はつじつまが合わなく変なものでも、出てきたものによってその人の心理状態がわかるそう。昨夜は、『結婚式のお色直し。赤いドレスを注文。でも黒いドレスが! お好きな花を選んでください』ってな夢。(夢なんで良くわかりません) ちなみに、印象深いのは、『虎を散歩させていたおじさんが虎を逃がし、町中パニック』っていうようなものです。(夢なんで勝手に解釈した部分あり)
フレクアたちは旅の途中、雨に降られた。珍しいことではない。しかし、その日は雷も鳴った。 光ったかと思えば、酷い轟音、そして近くの木に落ちた。 土砂降りで彼女らはずぶぬれだった。 「あそこに雨宿りさせていただきましょう」 ゼデューが指差したのは、古びた屋敷だった。 「仕方がないですわね」 フレクアは、呼び鈴を鳴らした。誰も出てこない。雨が降っているため聞こえないのだろうか、と思いドアを開けた。 ぎぎいい…… 油の足りない音がした。鍵はかかっておらず、中も暗い。 「なんか、気味悪りな」 と、オーフ。彼はどういうわけか、この二人についてきている。二人もそれを気にしない。 「そお?」 「そうですか?」 フレクアとゼデューはオーフを不思議そうに見る。彼は、なんだか釈然としなかったが中に入ることにした。 「でも、なぜ暗いのかしら?」 「それは急に降りだしたのですから、明かりをつけられなかったのでしょう」 「そうよね」 二人は、怖さを紛らわせるために言っているのではなく、本気でそう言っている。 「じゃあ、明かりはわたしがつけます」 フレクアがろうそくに火をつけて、それをカンテラに入れた。しんがりのオーフが完全に屋敷の中に入ると、 バーン ドアは勢い良く閉じた。 「やあね、オーフ。静かにしめなさいよ。よそ様の家なんだから」 「い、いや今のは勝手に……」 「フレクアさん、風ですよ」 「あ、そうか。そうね。ごめんなさいね、オーフ」 「いや、かまわねえけど……」 オーフは思った。この屋敷には何か特別なものがいることを。しかし、この二人は絶対にそのことに気づかないだろうと言うことを。(続く)
2005年05月13日(金) |
ご近所びっくりニュース |
近所の回転寿司屋に母と伯母二人で行った。近くに座っていたオバちゃんが、手で回っている寿司のネタだけを取って、手元にある軍艦巻きの上に乗せて食べた。片方だけネタのない寿司は私たちの目の前を通っていった。 「今、あのオバさんが……」 と、私。 「なんなの、あれ? 変なんじゃない?」 と、母。(オバちゃんの)一番近くに座っていた伯母も、気づいていたので、一緒にささやきあっていた。 昔で言う、オバタリアン(末期症状)。と、いうより犯罪に近いっすね。いくら百円寿司でも。(今、オバタリアンって言っても知らない人が多いかな)
イーリスは時々ふらりといなくなる。どこに行ってくるのかは、得意のだんまりで言わない。 グオンはあまり気にしなかったが、国王である父親はかなり気になっていた。なので、「跡をつけろ」と言われた。 彼が出かけるのは不定期で時間もまちまちだった。だから、グオンにも全く予測がつかなかったため、いまだに尾行は成功どころか、やってもいない。気づいたときにはもういないし、そして帰ってくる頃だった。 ヘネシーに聞いても、知らないの一点張りだった。彼女の表情から嘘はついていない、とグオンは確信している。彼には女性の心を読む力がある。 そんな時、イーリスが珍しい質問をしてきた。 「グオン。小さな女の子って何を欲しがる?」 答える前に、彼は大いに驚いた。 「はあ?」 思わず聞き返した。 「だから、小さな女の子って……」 「さあな。好きなものならなんでもいい。まあ、いくら女性でも小さな子だからな。宝石などを贈っても喜ばないだろう」 「そうか、そうだよな」 「相手が小さな子なら、夢をかなえるという方法もある。もっともかなえられそうな夢だったらの話だが」 「なるほど……」 イーリスは何度もうなずいて、どこかに行ってしまった。グオンはそれとなくつけてみた。 イーリスが向かったのは厨房だった。中に入り、中で働いている女中と何か話している。厨房から出て、部屋に向かい何かを持ってきてまた厨房へ。それから何時間も出てこなかった。夕方頃、彼は出てきた。 「何やってるんだ? グオン」 「お前こそ、厨房で何やっていたんだ?」 「……内緒」 次の日、朝早く。彼はやはり厨房に向かった。そして、彼は外へ出て行った。小さな包みを抱えて。 彼が向かった先は、町外れの孤児院だった。孤児院といっても老夫婦が数人を面倒見ている小さなところだった。 「あ、おにーちゃんだ」 「おはよう、ウィズ」 「おはよう」 ウィズと呼ばれた少女は元気に挨拶を返した。 「今日は朝早くどうしたの?」 「ウィズのお誕生日だから」 と、抱えていた包みを差し出した。 「わあ、ありがとうおにーちゃん。おじいちゃん、おばあちゃん。おにーちゃんから、プレゼントもらった!」 ウィズがはしゃいで老夫婦にそれを見せた。白い箱にピンクのリボンのついた小さな箱。彼女がこの老夫婦以外から初めてもらった物だった。 「ねえ、今度ぼくの誕生日にも」 「うん、もちろんだ」 「すまないね、君。いつも子供たちと遊んでもらって。プレゼントまで」 と、老夫婦は礼を言う。 「いえ、好きでやっているから。それより俺はこれで」 イーリスは急いで帰っていった。 「お前、いつもあそこに行くのか?」 帰り道、グオンは話しかけた。イーリスは黙っていたが、しばらくして口を開いた。 「たまに。あの女の子が迷子になった時、家まで送ったんだ。それが、孤児院だったんだ」 「ほう」 グオンもそれ以上は聞かなかった。ただ、気になるのは……。 「あの少女に何を贈ったんだ?」 「ウィズの小さな夢」 ウィズが彼に言ったがある。お菓子の家が出てくる物語を読んで、住んでみたいと。 だから、菓子作りが好きな女中と小さなお菓子の家を作ったのだ。住むことは出来なくても、食べることはできる。
なんだってば。辞めるのは。副園長……。 ともかく、職場の上がしっかりしていないからっていう理由も一つなのだよ。
彼はとある街のはずれで、ぼんやりとしていた。木に寄りかかって座っていた。夕暮れ時で、今にも太陽が沈みそうな時間だった。 「どこ行くんだ?」 彼の目の前を通り過ぎた裸足の女が、足を止めてこちらを振り返った。彼女は変えに気づいていなかったらしい。 「もう、夜になるんだぜ? そんななりでどこへ行くんだ?」 裸足の女は、薄い服を着ている。まだ冷える季節だと言うのに。彼女は答えなかった。そして、彼を無視して行こうとする。 「この先、危ないだろ。夜盗に会うかもしれない、狼に出くわすかもしれない、暗闇で迷うかもしれない」 彼女は、やはり無視していこうとする。彼は立ち上がって駆け寄って、彼女の腕を掴んだ。 彼女は、はっとして立ち止まる。そして、煙のように消えた。しばらく、手は掴んだ形のままになっていた。その手をほどき、空を見上げた。夜になっていた。 「……これで、満足なんだな」 「ええ、上出来よ」 彼はつぶやくと黒いストレートの髪の女が現れて、拍手を送った。 「オフィーリス姉ちゃん、一体何人の妹さんを葬ればいいんだ?」 「さあ、とにかくいっぱいいるから……」 「つーか、本当にいいのか?」 「いいのよ。いずれ私がやらなければならないし。放っておいてもそうなるのだから。せめて、あなたの糧になれば……そうでもしないとあなた、自分から糧を得ようとしないでしょ、ブロード」 「……その通りだけどさ」 わかっていても腑に落ちなかった。 「さ、次は……」 「まだ、やんの?」 「あの子は夜限定だから」 彼女は、淋しそうに微笑んだ。
あまり身が入らない。それでも、何か書いておきたい……。 嘘です。なんかしばらくクローズさせたい気分です。 そろそろ、サガの続きでもやろうかな。
話は、また三人組のことである。
路銀担当のアニムが、青ざめた顔(フードでほとんど見えないが)で何かを伝えようとしている。ちょうど食事をするために食堂のテーブルについている二人は、アニムのその様子に察しがついた。 「何、アニム。路銀つきそうなの?」 「まさか、あと金貨一枚しかないっていうんじゃねえだろうなあ」 「……銀三枚」 アニムが言った金額は、今食事をすればその三枚も足りなくなる額だった。 「どうゆうこったあ! アニム!」 「アニムらしくない、全然ないッ! どうしちゃったの!」 アニムがさらに青ざめる。 「すられた……」 「財布に縄つけているお前が、何故だあ!」 「おかしいわ。絶対おかしいわよ、アニム」 「わからん。小生にもさっぱり」 「と、とにかく、仕事だ! 仕事」 「そうね、仕事がなかったらバイトでも何でもやるわ!」 「すまぬ、皆」 「どうってことないわよ、あたしたち仲間じゃない」 「そうだぜ。大物とっ捕まえたらすぐだぜ」 一週間後。 苦労の末、やっと路銀を得られて余裕で旅をすることが出来るようになった。 「よかったわね。あたし、ウェイトレスの仕事もう嫌になってたのよ。よくお尻触られちゃうし」 「その後、一発食らわしただろ、客に。それより、思った以上に大変だった。まともな賞金がでねえからな」 「でも、まあこれで次にいけるわね」 そこへ、アニムが青ざめた顔(やはりフードで顔は見えないが)で入ってきた。 「すまぬ」 「どうした、アニム?」 「また、すられたの?」 アニムは首を振った。そして、懐からたんまりと入った財布を取り出した。 「すまん。あった」 「あった?」 二人の声がきれいに重なる。 「実は……」 スリ多発地帯を通るとき、懐では不安だったので鞄の底に隠したまま忘れた、という。 「……まあいいんじゃねえか。路銀あったし」 「そうよね、ないよりは。どうせなら贅沢しましょ」 「たまにいいじゃねえか?」 こうして、二人の強引な贅沢三昧で、結局、路銀は尽きた。
はじめまっせ。
盗難届けを出したが、宿の従業員は首を振った。 「実は……お客様が初めてではないんです」 従業員の話によると、ここ一週間、下着泥棒による被害が続いていて宿側からも報酬を出すことを約束したが、結局いまだ捕まっていない。 「どうにかしないと、女性客が減っていくのでこちらとしても……」 「うむ……」 アニムは気が変わった。何故なら、少しは賞金に箔がつくのだ。 「絶対捕まえてやるんだから!」 ルイが、どんとカウンターをたたいた。 「あれ、可愛くて気に入っていて高かったんだからー!」 そんなわけで、二人は犯人を捕まえることにした。
あっさり、犯人は捕まった。犯人は隣の温泉宿の主人だった。どうやら、勝手にライバル意識を持っていたらしく、こそこそと忍び込んでは盗みを働いていたらしい。 「売れば金になった……」 それも、理由だった。もちろん、彼は逮捕され役場へしょっ引かれた。アニムたちは宿から礼を言われ、夕食は特別豪華なものが用意された。 「へえ、そんなことがあったのか」 バルクは、豪華料理をつつきながらエモク酒をちびりちびりとやっている。 「バルクってば、結局今日はずっと寝ていたわけ?」 「まあな、夜にでも入ってくる。露天風呂で酒ってのもいいって聞いたことがあるなあ」 「バルク、飲みすぎては入れるものも入れなくなるぞ」 「わかってるって。アニム、神経痛は?」 「今日は忘れることが出来た。なかなかよいぞ」 「そりゃ、いいな」
宿を後にする。バルクは不服だった。 「どうしたの、バルク?」 「あ、いや。温泉も酒も良かったんだが……」 アニムは、神経痛もよくなりアルバイトの占いも繁盛してほくほくしていた。つまり、バルクとは正反対だった。 「腰が、まだ、ちょっと……」 「うっそー、あれだけ温泉入ったのに?」 「そうなんだよ。不思議なこともあるもんだな」 アニムは、一人ひっそりと思った。 (あの能書き、本当のことしか書いてなかったのか……) バルクの腰痛は、次の宿の温泉で完治することになる。それまで五日ほど微妙な腰痛に悩まされた。
書きました。今更だけど。 簡単に、簡潔に。自分が悪い部分もあるからね。 母の日には、バラの花を贈りました。皆カーネーション贈ってるからね。
温泉は数多くあるが、ここは世界でも最大といわれる温泉郷だった。そんなところに、バルクたちはやってきた。 「まさか、こんなことでここへ来ることになろうとはのう」 「全く、お前は……人間の歳じゃ十五じゃなかったか?」 「でも、いいじゃない温泉大好き」 「バルクもちょうど良かろう。最近腰がどうとか言っておっただろう」 「俺の腰はたいしたことはねえの。お前の神経痛の方が重症だ」 「ねえねえ、どこの宿にする? 客室に露天風呂ついてるのもあるよ」 ルイがどこからか持ってきたパンフレットを開いて、指差した。 「そこはいかん。高い」 「飯のうめえとこがいいよな」 「レディースプランっていうのもある」 とにかく、彼らは適当な宿(一番安いやつ)を選んだ。 「ゆっくり旅の疲れを取ってください」 部屋に案内されて彼はくつろぎ始めた。旅をするものは、休めるときに休む。だが、アニムは荷物を置いて立ち上がっている。 「ちょっと露店登録をしてくる」 「なんだよ、今日くらい休めよ。神経痛にさわらねえか?」 「そーよ。アニムの占いなんて、当たるも八卦当たらぬも八卦のハッタリじゃない」 「本当のこといわれると腹が立つのう。しかし、露店登録は前の日が鉄則なのだ。こればかりは譲れん」 「へいへい、行ってらっしゃい」 バルクはもとよりあまり期待してなかったため、手で払うとベッドにごろっと横になった。 「バルクは昼寝?」 「ああ、疲れた身体で入るなってよく言われるんだ」 あくびをしながら答えて、やがていびきをかき始めた。ルイは手持ちぶたさで落ち着かずにいた。自分も昼寝しようかと思ったが、あいにく眠くない。仕方がなく、周りにあるみやげ物売り場に向かうことにした。 適当に回っていると、アニムがこちらに向かってきた。 「お、ルイ。土産か?」 「うん。見るだけだけど。登録終わったの?」 「まあな。これから一風呂浴びようかと思っているのだが」 「そう、じゃああたしも、そろそろ」 宿に戻って、風呂道具を借り、露天風呂に向かう。ルイが第一条件として頑として譲らなかったので、「露天風呂で一番安い宿」となった。 「じゃ、アニム。後でね」 「おう」 当然ながら、男湯と女湯は別れている。ルイはうきうき気分で露天風呂に入った。 アニムはそばにある張り紙を見ながら温泉につかっている。 『効能:肩こり 神経痛 頭痛 冷え性 産後の冷え性 打ち身 軽いや けど にきび ストレス 呪術による身体のしびれ 魔力の損失による倦怠感 春による眠気』 「……腰痛がないのう」 しかし、アニムは気にせずゆったりと湯に身体を預けていた。 しばらくして、そろそろ上がろうとしたとき 「いやあああ!」 悲鳴だった。聞き覚えある悲鳴。声の主はルイだ。 「どうした、ルイ!?」 「アニム、ごめんあがってきて」 アニムは急いで湯から這い出て、着替えて浴場から出てきた。すでにルイは出てきていた。他の女性客も。 被害者はルイだけではないようだ。 「どうしたのだ、一体」 「下着泥棒よ」 ルイが、アニムに耳打ちする。 「下着泥棒か……あんまりいい賞金はでんのう」 「でも、立派なウォンテッド対象よ」 やれやれ、とアニムは思いながら犯人を捜すことにした。しかし、他の女性客もまた、ウォンテッダーがいて、犯人を捕まえようと意気込んでいた。(続く)
歩いて三十分の公園は観光地なんで観光している人がたくさんいた。 公園のお堀には鯉がいるけれど、ウミネコたちがでしゃばっていて、鯉のためにえさをあげてもウミネコが横取りしていた。そこではし烈な戦いが繰り広げていた。観光客は盛り上がっていたが。 花見をしている人は、桜そっちのけでジンギスカンしていた。それが、北海道の花見なのだからしょうがないのだが。公園はそのジンギスカンの煙と香ばしい香りで充満していて、中を散策している人の腹を空かせる。 ああ、ジンギスカン食いてえ~。
(おお、今日は何か日記らしいぞ。でも創作日記ではないね)
一日一話でやっていきます。 まあ、これは最初の方でやってたんですけど、またちょっとやりたくなったので、やります。(キャラ日記ね。あれは本当に日記形式?だったので)
彼は、朝が苦手だった。 もさあ、とした顔でベッドから起き上がった。豹のような魔獣はいつものように呆れたような顔で彼を待っていた。つい先ほどまでは起こしていた、のだが。 「おはようございます。魔王」 「おはよう……」 目覚めきっていない彼は、あさっての方向に挨拶した。 「あなたが眠って三日。世の中は動いてません。珍しいこともあるものですね」 「ふうん……」 きっと彼はどうして自分が起きたのか、寝ぼけていて思い出せないのだろうと、魔獣は思った。 「わたしはそろそろ、こどもたちに乳を与えなければなりません。ちょっと失礼します」 「そう……」 魔獣は器用にドアを開けて寝室から出て行った。 魔王はしばらく、ぼうっとしていた。しかし、魔獣は帰ってこない。仕方がなく、立ち上がり、顔を洗って着替えて身だしなみを整えた。
しばらくして、魔獣は戻ってきた。 「おかえり」 「お目覚めになられたんですね」 「うん。そこに朝ごはん置いてるから」 魔獣のいつも使っている皿に、米を炊いたものがよそわれていて上に削り節がたっぷりのっている。なぜか魔獣の大好物なのだが、この世界では削り節は手に入らないので彼がどこからか調達している。 「なんですか、このゴージャスなごはんは?」 「ティトの好きなものでしょ」 「そうですが……。何かたくらんでませんか?」 「いいえ、別に」 魔王はとぼけて、庭に出た。庭では魔獣の子供たちがじゃれ合って遊んでいる。花壇には赤い花が咲いていた。彼はそれを二、三本切ると、魔獣のもとに戻った。 「なんですか、その花?」 「カーネーションっていう花です。この世界では知りませんけど、母親に感謝する日があって、この花を贈るという風習が、とある世界の人間にあるそうです」 「わたしはあなたの母親ではありません」 「そんなの当たり前です。でも、いつも母親みたいなことをしてくれますからね」 「そんなものいりませんから……」 魔獣は、皿を彼に差し出した。 「おかわり、お願いします」
最初は良かったが、だんだん話が削れていってつまらない部分を残して終わりました。結局タイトルもつかないままこの話を終わらせることになりました。どうも、すいません。 でも、この話もいつか使えるようにリニューアルするつもりです。(いいんかい、それで!)
二、三日後、コウは無事にもとの世界に帰ってきた。 「ただいま、レスティ」 「コウ、もういいのかい?」 彼を見て彼女は驚いた。瀕死だった彼は、今は元気になっている。 「一体どうやって……」 「リサがいろいろ大変だったみたいだけど、もういいみたい」 保険証がどうとか、保護者がどうとか、などなどつぶやいてはいろいろ用意をした。魔法による偽造であるが、仕方がない。 「そうかい」 リサの妹、リタは魔女たちに連れられて帰っていった。 「リサは?」 「自分の世界に帰るって」 「そう……」 「ねえ、レスティ。女王はっどうなったんだ?」 「ああ、死んだよ。自分がやったことに恐怖を味わいながらね」 「……でも、もう俺みたいな魔女が食われることはないね」 「ああ、母親から子供を引きはなすこともね。あんたも母親のところに連れて行ってやるよ。もともと、そういう約束だったからね」 「でも、なんて言えばいいんだ」 「いらないよ。お前に会いたいのが一番だからね」
リサは高位魔女を辞退しなければならなくなった。 理由は、異世界にて禁止されていることを行った。コウを助けるためにいろいろ偽造をしてしまった。自分以外にそれをすることは禁止されている。 次に魔法力の低下。例の歌を連続歌ったため彼女の魔法力は低下してしまった。異世界の魔法は彼女に負担をかけたらしく、弱まってしまった。 彼女は本来なら罰を受けなければならないが、一つ大きな功績を残したため罰を免れ普通に生活をすることが出来た。悪魔たちの原因を突き止めたことだ。彼女は直接高位魔女をまとめる女王のもとへ駆け込んで、事情を全て話した。高位魔女たちは、半信半疑であったが女王は彼女の言葉を受け止め、数名を異世界に送った。 悪魔たちの原因を突き止めたためか、高位魔女はあまり必要なくなってしまった。それでも、街の発展や災害が起こったときなどてきぱき働く姿にあこがれるものは少なくない。それに、死と隣り合わせの仕事ではなくなった。 リサは、その世界で普通の人間として暮らしている。 「ごめんね、お母さん。楽させてあげられなくて」 「お姉ちゃんの分は私ががんばるよ」 リタが声を上げる。彼女は高位魔女になるために勉強していた。高位魔女になるためにはリサ以上に努力が必要になった。危険が少ない分、なる人が増え、条件が難しくなったのだ。 「あたしは二人が無事ならいいんだよ」 両親はリサとリタの無事を聞いてすぐ退院した。リサが帰ってきたときには大いに喜び、大いに泣いた。 この家族は、とりあえず平和に暮らした。
リタがある時、歴史の勉強をしていると、古い本がまぎれていた。三百年ほど昔の話がのっていた。 『光の王が、この地を治めていた……』 「こんな話、あったっけ?」 リタがリサに聞いた。 「さあ……」 彼女は忘れていたが、コウの保険証を作る際、名前を漢字にした。後で彼に「なんて意味だ?」と聞かれた時、彼女はこう答えた。 「コウって、『光』って意味だよ。なんか、いい意味だったから勝手につけちゃった」
それが、コウなのかはもちろん知る由もない。
終わり
全く第三者が現れて、物事を片付ける方法。 よくある三流推理小説タイプ。 でも、まあ、いいや。
「間に合ってよかった。レスティ、大丈夫?」 リサが呆然としているレスティに声をかけた。知っている声と姿で彼女は我に帰った。 「ありがとう、リサ。でも、もう遅い。コウが……」 「コウが?」 リサがレスティの指先を見た。ベッドに近寄り彼の顔に手を当てたり胸に耳を押し当てたりする。か細いが息はある。 「こんなことでコウを死なせたりしない。何とかなるわ、必ず」 何かで見たことがある。致命傷を負いながらも医師たちの懸命の努力で怪我を克服し、社会に戻ってきた。 あれは、確か、異世界の……テレビで見たんだっけ? 「病院に連れて行く」 「無駄だよ。血を作り出すなんてできっこないんだから」 「違う。血は分けてもらえるもの」 「分ける? どうやって?」 それも、何かで見た。自分も参加したことがある。献血といった。異世界の血と変わりないらしく、「A型」と言われた。何のことか良くわからなかったが。 「コウを助けるから」 リサはコウを起こして、彼女は異世界を思って歌った。
2005年05月04日(水) |
それでも続けなきゃならない |
ので、はじめます。
「なんてこと……」 レスティには、どうすることも出来なかった。彼を助けるすべを彼女は知らない。 「少し、遅かったのよレスティ。血はおいしかった。肉はどうかしら?」 女王が部屋に入ってきた。静かにゆっくりと。 「コウ……しっかりするんだよ」 「もう、無理よ。この子はわたくしの糧ですもの。さあ、レスティ。あなたもおしまいね。そうそうあなたに来られても、疲れるの」 レスティは動かなかった。動けなかった。女王が何か妙なことをしている。彼女はナイフを手に取り、レスティの首に当てた。兵士にはもう頼まず、自分で始末するつもりでいる。 「さよなら、レスティ」 手に力も入らずに女王はナイフを突きつけようとした。 「そこまで」 冷たい声がして、女王の手が止まった。黒服の女性が数名女王を囲っている。 「何、あなたがたは?」 女王はナイフから手を放さずに聞いた。驚いている、 「私たちは、別世界の魔女です」 「あなたの凶行により、私たちは被害をこうむった」 「ああ、あの……」 「そう、私たちはあなたを倒します」 高位魔女たちは、女王に詰め寄った。 「でも、ただで倒したのなら私たちの仲間が浮かばれません」 「あなたには私たちが受けた恐怖を受けてもらいます」 女王が悲鳴を上げた。いつまでもそれが続いた。
めっちゃくちゃですな、今回の話。 書いてて、面白くなくなってきているわ。 なんか、最初から書き直したい気分です。 でも、ここに書いている分は、完成させなくちゃならんですよね。やっぱり。(ここで完成してない文があった。SaGaだけど……)
妹がいきなり、「テニスの王子様」のゲーム買ってきた。(ブックオフで)なんで? でも、あんまり知らなくても見ていて笑えます。(無意味な設定が)
ハガレンの「パーフェクトガイドブック2」の書き下ろし漫画は必見です。立ち読みできる状態であれば見よう。(うちの妹のように先にカバー外して見ないように)
気づいたらもう、五月。明日は憲法記念日……。早いっすね。
「あら、一人でまた来たの?」 「ああ、そうさ。その子は、親に返す。そう決めたんだ。その子が生まれたときからね」 女王はくすくす笑った。 「あの子ならさっきの部屋にいるわ。今夜にでもあの子を食べる。でないとわたくしも持たないの。あの小さい子を逃がしたのもあなたね、レスティ」 「……そうさ。お前のためにもう犠牲を出したくないんでね」 「今、わたくしがいなくなったらどうなるかしら」 「平和だろうよ」 女王はやはり笑った。 「さ、これでおしゃべりは終わり。覚悟しな」 「覚悟をするのはどっちかしら」 女王とレスティはにらみあう。女王が動いて悪魔たちを作り出した。今回は、道化師のような悪魔たちがレスティに群がった。 「ふん、こんなものであたしをどうにかできると思っているのかい?」 道化の悪魔は人形に戻り床に倒れる。 「ふうん、参ったわ。あの子に会ってきたらどうなの?」 「言われなくてもするね」 レスティは先ほどの部屋、隣の部屋に向かった。コウはベッドの上で寝ていた。 「コウ!」 両腕に血が流れた後があった。シーツに血の跡が残っている。真っ青な顔のコウがそこに横たわっている。 死んでいる? 彼は瀕死だった。
今日も退職願書けそうにないです。
犬好きの伯父がうちのジュニちゃんと対面しました。ジュニアのびくびくぶりは何か笑えましたが、やっとこさ慣れたところでお別れの時間。それでも伯父は心許したジュニアに満足して帰ってゆきました。 ちょっと(?)人見知りなジュニア。つれない部分は母犬のココちゃんに似ております。
本日はばあちゃんに線香あげに行って、三年生(小学生だよ)の従妹と遊びました。「ちびまる子」のすごろくで酷ルール仕立てで遊んでました。大人気なく一番であがりました。それでも、子供特有の「一番になれなくて泣く」とか「途中で投げ出す」というものはないところは偉い子です。「プリキュア」好きです。(私が小学生の時、日曜朝アニメといえば「ビックリマン」だったな……)歳、バレる?
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