2004年09月14日(火) |
想像してみてください |
岩手出張には同僚の後輩が一緒だった。 通常、交代しながらレンタカーを運転するのだが、今回は全行程600km(!)という移動距離を彼一人が運転した。俺は助手席で地図を片手に右だ左だと行き先を告げ、地図に競合店の位置を色分けしたシールで落とし込んだり、あれこれメモを取ったりする。彼はこの出張中あまり体調が良くなかったらしく、できれば助手席でうつむいて地図とにらめっこしたりメモを取ったりするというのは避けたい、ということのようだった。 とあるコンビニにたどり着いたときのこと。我々は店の駐車場の端のほうに車を停め、お客さんの出入りの様子などを伺っていた。そして暫くしてから店内の様子を調べ、バレないようにデジカメで写真を撮ったりした。 「のづさん、見ましたか?」 店を出ると、車のキーを前方に差し出して、自動ロックを解除しながら彼はそう俺に尋ねた。 「ん? 何を?」 「おばあちゃんのお客さん。いたでしょう」 「ああ、あの農作業の格好のまま店内に入ってきたおばあちゃん?」 「そうです」 「それが?」 「あのおばあちゃん、“ウィダーインゼリー”を大量に買い込んでたんですよ」 “ウィダーインゼリー”。栄養補給食品、とでも表現したらいいのだろか。ご存知ですね、銀色のアルミパッケージに入っているゼリー状の、あれ。木村拓哉がCMでやってるじゃないですか。疲れたときにちょっとした栄養補給に、俺自身もよく世話になっている商品だ。 「“ウィダーインゼリー”を買ってたの?」 「そうなんですよ。おばあちゃんが、ですよ?」 「孫か誰かにお遣いを頼まれたんじゃないのかな」 「いやあ、きっと、畑仕事の合間に飲むんじゃないですか」
想像してみてください。 農作業の合間に、麦藁帽子とタオルをかぶったおばあちゃんが銀色の“ウィダーインゼリー”を飲んでいる姿を。あのアルミのパッケージを強く握り締めるような感じで。
たまらなく面白い。
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