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■ アメリカで、テロがあった。
アメリカでテロがあった。 ちょっと前から、自爆テロとかのニュースが多くてやな感じはしてたけど、まさかここまで大規模な事をするとは思わなかった。 事件の様子をライブで見ながら、映画のようだと思った。派手なCGの、アメリカの映画。真っ青な空と、描いたような白い雲を背景に、影のように暗い色の飛行機が、灰色の美しいビルに突き刺さっていった。 あれは、人が死ぬ瞬間だった。 TVの向こうで繰り広げられたそれは、現実の事だった。窓から飛び降りる人の姿がカメラに捉えられていた。助けを求める人の姿もあった。逃げる人も、助けに行く人も、全部。現実だった。そしてソレを喜ぶ人の姿もやはり、現実のものだった。 数日前に、自爆テロで死んだ青年の母親がインタビューに答えている映像を目にした。息子はジハードで死んだ。私は自分の息子を誇りに思うと、そう彼女は言っていた。けれど、その表情は言い知れぬ悲しみを無理やりに押し殺しているようにしか見えなかった。 己が息子の死を悼むのなら、何故、世の母親の全てがそうであると思う事が出来ないのか。子を喪って平気でいられる母親は普通いない。わたしはそう思うし、そう思いたい。 男も女も、母親から生まれるのに、その母親がどうして人を殺せというのだろう。人を殺して死ねと、何故言えるのかが分からない。 子供は、親が喜ぶことをするんだよ。 盲目に、たった一人自分を裏切る事は無いと信じて、親の為に何かをなすんだ。そんな子にどうして人を殺して死ねなんて言えるんだろう。それって、何のためなんだろう。思想があれば分かると言うなら、あたしはそんな思想は欲しくない。 アメリカは報復を行なうという。その報復の先には、やはり相手からの「報復」があるのだろうか。それとも、完膚なきまでに“壊滅”させるのか。 ある解説者が、湾岸戦争との関連をちらっと出していた。 もしそれが本当に関連のある事だとしたら、今回のテロは彼等において「過去の報復」にはなり得ないか。それに対するアメリカの報復は単なる攻撃になりはしないか。 どちらにせよ、アメリカが報復を行うなら、また人が死ぬだろう。死は哀しみと怒りをのみ人の心に残すだろう。 そして親は子に言い聞かせるのだろうか。怒りと、哀しみと、殺意に満ちた呪詛を。
煙と炎に包まれ崩れつつあるビルと、そこから飛び降りる人々の姿は、わたしにある光景を想起させた。
2001年09月12日(水)
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