★★☆ 想 う ☆★★
目次|過去|未来
小学5年生
夕方、街まで夕食を食べに行こうと決めた。
インドネシア料理の店。スラバヤだ。
お互い飲みたいので、バスで行くことにした。
出かけるとき、長男がいう。
「車じゃないの?バスは嫌だ!」
「なんで?」「お父さんの合格祝いに来てくれないの?」
いろいろ聞いたが、要領をえない。
「バスが嫌だ。後はかまわないけど。」
「親と行くのが嫌なの?」
「そーいうわけじゃないけど、バスは絶対に嫌!バス停まで歩くのが嫌!」
「じゃぁバス停まで一回送ってあげればいい?」
「やっぱりバスが嫌!」
2,3年前だったら、なだめたり、すかしたり、ごまかしたり、
最後にはどなりつけたりしたものだが、長男もそろそろ思春期に入っていく頃。
こちらも短気はおこさない。
「何が嫌なのか言ってごらん!」
「もういい!僕は家に残る。ご飯もいらない。」ふてくされて2階へ駆け上がっていく。 ママがいう。「もう一回説得してみて!それでだめだったらしょうがないね」
2階へあがると、長男は倒れこんでいて、完全にいじけモード。
「僕のことは大丈夫だからみんなで行っておいで!って言えるならおまえをおいていくけど、おまえは納得していないんじゃないの? いじけてるんじゃないの? お父さんたちは怒ってないよ。理由を知りたいだけ。何が嫌なの?」
やっと長男が言う。
「家族4人でバスに乗るなんてみたことがない!」
はっは〜ん。どうやら親といるところを友人に見られるのが嫌なようだ。
「バスを変えて次ので行く!」
「一人で行けるの?」
「別に行けるけどお父さんも一緒に来て。」
「なんだ、お父さんとなら歩いてもいいの?」
「お父さんはいい。一家4人は嫌」
そうかそうか、そういう年頃か。
うちの兄貴はひどかったもんなぁ。
ものすごい反抗期だったし、親としゃべるのもケンカ腰だったし、
旅行やお出かけも絶対にしなかったし、
兄貴のおかげで、自分は親との反抗期はかなり少なかったよ。
親と一緒に街まで買物に行けたもんね。
もう外は、真っ暗闇。人の顔などそんなにわかるもんじゃないのに
長男はフードをかぶって足早に歩き出す。
バス停につくと。
「バス停でこうやって待っている時間が一番嫌なんだよね!」と奥に隠れる。
しかし、まだ寂しがり屋の長男。一人で暗がりにいれない。
結局こっちにやってくる。
「夜は顔なんて見えないよ!」
気分転換に、子供たちが小さかった頃のおもしろ話をする。
長男もだんだん気分がほぐれたようだ。
バスの中では2組に分かれたけれど、降りた時にはもう4人家族になっていた。
この分だと車でお出かけする限り、ついてこないなんてことはないかも。
子供が幼稚園に行かないうちに、小学校へ行ったら行けなくなるから、
思春期になったら一緒に行ってくれなくなるからとママに言われつづけて十数年。
こりゃ成人するまで一緒だぞー。
|