「建国祭には、当家の子女が『英知の殿堂』へ御挨拶にあがることになっているのです」 中庭へと続く明るい扉の前で、アンジュは一同にそう言った。「そしてその時にだけ、この扉はあちらへと繋がります」 彼女がそれを開くと、その向こうは石造りの建物の内部だった。ドアの両隣にある窓の向こうは日の光と緑溢れる戸外であるのに、扉の向こうは静謐な光を灯す室内で、それは現実離れした光景だった。