そこに映し出されてはいないが、彼女の後ろには『硝子の月』に関わる者達が事の次第を見詰めていることだろう。それを思い描いて、常に暇を持て余し気味の女性はまた笑う。「よい、許す」 水煙草の長い柄がゆらりと揺れる。「連れておいで」 艶(あで)やかな笑みを浮かべ、『英知の殿堂』の長は鷹揚に頷いた。