「『永き者の寵を受ける御方』」 若い男性の声が、殿堂の一族の長の名を呼んだ。「なんじゃ?」 いつものとおり長椅子に寝そべり水煙草をくゆらせながら、彼女は青年にゆったりと視線をやった。「アルティアより通信が入っております」「ふむ。『第一王国』の建国祭である故、な。あの子かえ?」 心なしか気難し屋の彼女の様子に喜色が混じる。青年は「はい」と頷いた。「お繋ぎ」 彼女のその言葉は、青年に対してではなく、彼が持ってきた鏡に対するものだった。