はなこせんせいの日記
教育の現場の様子と気付いたことを折々の出来事に載せて綴ります。

2012年03月09日(金) 続き

 音楽会の続きで
園児の話。

 最後の最後まで
子供が自分に自信を付けられる機会を
作り出したい、というのがわが園のモットーです。

 子供はすごい。
そして、伸びる「チャンス」が
それぞれある。
 早く来る子もいれば
じっくりとまって、一気に伸びを見せる子もいる。
もうできていると思っても
あと一押しで、しっかりと身につく子もいる。

 そんな思いで
一人一人のお子さん見ています。

 さて、音楽会。
年長は、このときにしか発表しない
和太鼓をします。
考えてみれば、大変贅沢というかなんというか。
ちなみにこの曲も
百石幼稚園オリジナル「日本の四季」という曲です。

 和太鼓は子供たち大好きで
すぐに覚えてしまいます。そして「もっとやりたい」というほどです。
よさこいソーランもそうですが、
日本人の心に何か訴えるものがあるのでしょうかね。

 さあ、ほとんど曲ができてきたところで
はじめの礼と終わりの礼の号令。
誰にお願いしようかな。

 これ、とても重要なのです。
ここがしまらないと
演奏全体が締まらない。
 
大きな声を出せる子はいるけれど・・・・
子供たちの顔を見回して、
あえて、いつもは静かなR君を指名しました。
「R君、やってくれる?」
こくりとうなずきました。
「じゃ、大きな声で」
1回目は大きな声を出せませんでした。
大丈夫かな?でも、だからこそ、挑戦させたい。
「とても大事だからね、おなかの底から声を出すんだよ。もう一回」

すると
「れ・い!!!」
周りの子が、ちょっとびっくりしたのがわかりました。
私も、驚きました。
R君のちからが発揮された瞬間でした。

それからの練習では、
とても大きな声ではっきりと「礼」を言ってくれました。
もともと、しっかりしているお子さんだけに
自信を付けて一歩前に踏み出せたことは
小学校への大きな一歩になったと思います。

 そのあとの、「そーれ」と合図をするのは
最近、ぐんぐん伸びているIくん。
伸びているときって、すごいです。
自信にあふれていました。

 最後の礼は、なかなか決めかねていました。

R君のがんばりを見た私は
ちょっと欲張りになって
これまた、いつも静かなMちゃんにお願いしました。
でも、プレッシャーにならないように
「とりあえず、今日、言ってくれる?大丈夫、今日の担当ね。
だから、やってみて」と
気軽な感じで(もちろん心の中では、やって欲しいのですが)頼みました。

その日はあまり大きな声を出せなかったMちゃん。
こちらは、とても苦手なことがわかっていたので
その日は、それでいいことに。

次の練習の日。
Mちゃん、いい?と私が聞くと
こくんとうなずいたので、
じゃ、大きな声でとお願いしました。
でも、普段から緊張すると、どうしても声が小さくなってしまうMちゃん。
やはり、小さい声になってしまいました。
でも、今日は2回目、そして
やってもいい、という思いを確認していたので
「もっと大きな声でなければ聞こえないよ。
もう一度」というと
「れい!」

Mちゃん、精一杯の大きな声がでました。
やった〜!できた。
ここを超えれば、きっとできる。
そんな瞬間でした。
Mちゃんも自分を開くきっかけを
つかめずにいた感じ。
だからこそ、この出来事で
ありのままの自分を出して欲しいです。

クラスでも
このことを境に
Rくん、Mちゃんの様子が違って
自信を身に付けたようだと
担任が話していました。

 もともと持っている力は
どこで花開くかわかりません。
だからこそ
種をまき続けるのが
私たちの大切な仕事だと思っています。

幼稚園のとき、いろんな思いを抱えたお子さんが
小学校で力を発揮していると聞いたとき、
あの迷いや学びが
その子を作っているのだと
確信できることがあります。

ここで会えてよかったと
思ってもらえる場所でありたい。
人の出会いでありたい。

子供はもちろん
保護者の皆様とも
いつでもそう思っています。

百石幼稚園は
家族の心の基地でありたい。
いつでも扉は開いています。

卒園は、出発のとき。

かえるHOMEは
ここにあります。

なるべく年をとらずにまってますよ。

副園長 松橋でした。


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